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「急性大動脈解離の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2024/01/16
「急性大動脈解離の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!

急性大動脈解離の前兆とは?Medical DOC監修医が急性大動脈解離の前兆・なりやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

春日 武史

監修医師
春日 武史(医師)

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練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門

「急性大動脈解離」とは?

血管の一部が裂け、血液が本来流れる部分とは違うところに流れ込んでしまう状態を指す「急性大動脈解離」。これは、突然発生する緊急性の高い病気であり、速やかな診断と治療が欠かせません。本記事では、急性大動脈解離がどのような病気か、早期発見がなぜ重要なのかについて解説します。身近な症状やリスク要因にも気を付けましょう。

急性大動脈解離の前兆となる初期症状

急性大動脈解離は、しばしば予測困難な病態を持つため、早期の診断が重要です。
以下に紹介する初期症状が一度でも現れた場合、迅速に医療機関を受診し、適切な検査・治療を受けましょう。急性大動脈解離は重篤かつ急速に進行する疾患であるため、早期発見と早期治療が生命を救う鍵となります。

胸痛と不快感

急性大動脈解離の最も一般的な初期症状は胸痛や不快感です。この痛みは通常、胸骨の後ろや背中に広がることがあり、心筋梗塞と似た症状が見られることもあります。

腹痛や足の痺れ

大動脈は一度上に登ったあと下に降りてくる構造をしていますが、大動脈解離がこの降りてくる血管(下行大動脈)に及んだ場合、腹痛や脚の痺れが現れることがあります。これらの症状が突然発生した場合は腸や足の病気ではなく、大動脈解離かもしれません。

発汗やめまい

急性大動脈解離では、発汗やめまいなどの症状がしばしば起こります。これは、強い痛みにともなって冷や汗をかき、脳への血流が低下しているためにめまいや目の前が真っ暗になるような感覚が発生するために起こります。したがって、このめまいは非常に緊急性が高い可能性があります。胸の痛みに加えて、これらの症状がある場合はすぐに救急車を呼びましょう。

急性大動脈解離になりやすい人の特徴

急性大動脈解離は、いろいろなリスク要因が組み合わさった場合に発生しやすくなります。以下に、なりやすい人の特徴を挙げてみましょう。

男性

急性大動脈解離は男性に多く見られます。男性の方が女性よりも2〜3倍発症リスクが高いとされています。

40歳以上の中高年層

大動脈の組織が加齢とともに変化しやすく、40歳以上の中高年層での発症が増加します。

高血圧患者

高血圧は大動脈の負担を増加させ、解離のリスクを高める要因となります。血圧の定期的なモニタリングが重要です。

喫煙者

タバコの喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を進行させるため、急性大動脈解離のリスクを高める要因となります。
急性大動脈解離のリスクは個人差がありますが、健康な生活習慣や定期的な健康診断は、大動脈解離の発症リスクを低減させる助けとなります。

すぐに病院へ行くべき「急性大動脈解離の前兆」

ここまでは急性大動脈解離の前兆を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

激しい胸痛や背部痛がある場合は、救急科へ

急性大動脈解離の最も警告すべき前兆の一つが、激しい胸痛や背部痛です。この症状は突然発生し、非常に強く、持続するのが特徴です。痛みは通常、胸の中央や背中に集中し、ときには肩や腕へと広がることもあります。このような症状が現れた場合、速やかに救急外来への受診が必要です。症状が強い時には無理をして自分で病院に行くのではなく、救急車を呼んで安静にしながら迅速に病院へ搬送してもらいましょう。

受診・予防の目安となる「急性大動脈解離の前兆」のセルフチェック法

  • ・激しい胸痛や背中の痛みがある場合
  • ・呼吸困難や動悸がある場合
  • ・めまいや意識の混濁がある場合
  • ・寒気や発汗がある場合
  • ・片側の足のしびれや麻痺がある場合

急性大動脈解離を予防する方法

定期的な健康診断

定期的な健康診断では、血圧やコレステロールの測定を含む一連の検査が行われます。これらの測定は、大動脈解離のリスク因子である高血圧や動脈硬化の兆候を早期に発見するのに役立ちます。早期に高血圧や高コレステロールの治療を行えば、その後の動脈硬化や血管への負担を抑えることができ、大動脈解離を起こしにくくなります。

禁煙

タバコの煙に含まれる化学物質は血管を収縮させ、血圧を上げる原因となります。さらに動脈硬化や狭心症、心筋梗塞のリスクも高まります。これらは大動脈解離のリスクを高める重要な要素です。禁煙することで、これらのリスクを大幅に低減できます。禁煙は難しいかもしれませんが、ニコチンパッチやカウンセリングなど、成功率を高めるための支援が存在するため、禁煙外来への受診を検討してみてください。

適度な運動

定期的な運動は、心臓と血管の健康を保つのに役立ちます。適度な運動は血圧を下げ、健康的な体重維持にも効果的です。ウォーキング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動は特に効果的ですが、基礎疾患がある方は新しい運動を開始する前に医師と相談することをお勧めします。

バランスの取れた食事

健康的な食事は、大動脈解離を予防するための鍵となります。高血圧やコレステロールを管理するためには、飽和脂肪やトランス脂肪の少ない食品を選び、果物、野菜、全粒穀物を多く摂取することが推奨されます。これらの食品は血管の健康を促進するだけでなく、肥満や生活習慣病など大動脈解離のリスク因子を減らす助けにもなります。

ストレス管理

ストレスは血圧を上げ、心臓に負担をかけることがあります。緊張状態が続く職場など慢性的なストレスがかかる状況に晒されていると高血圧症になりやすくなります。また、動脈硬化などですでに血管が脆くなっているところに、強いストレスによる血圧上昇が起きると大動脈解離発症のきっかけになりかねません。
深呼吸、瞑想、ヨガ、趣味など自身で取り組むことができるリラックス方法を探し、実行してみましょう。

「急性大動脈解離の前兆」についてよくある質問

ここまで急性大動脈解離の前兆などを紹介しました。ここでは「急性大動脈解離の前兆」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

急性大動脈解離の前兆となる症状で急死することはあるのでしょうか?

春日 武史春日 武史 医師

はい、急性大動脈解離は非常に重篤で緊急性の高い病気であり、前兆となる症状が現れたすぐ後に本格的な大動脈解離の症状が出現する可能性があります。したがって、急性大動脈解離の症状が無視されたり、適切な治療が行われなかったりした場合、急死することがあります。

編集部まとめ

急性大動脈解離は、突然命を脅かす可能性がある非常に深刻な病気です。今回の記事を通じて、皆様が急性大動脈解離の前兆とリスク要因について理解を深め、自身や周囲の人々の健康を守るための一助となれば幸いです。不安な症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。また、定期的な健康診断と健康的な生活習慣を心掛けることで大動脈解離発症のリスクを下げることができます。

「急性大動脈解離の前兆」と関連する病気

「急性大動脈解離の前兆」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

脳神経科の病気

泌尿器科の病気

これらの疾患は、急性大動脈解離と似た症状を引き起こす可能性があります。症状が現れた場合は、迅速な医師の診断と適切な治療が重要です。症状が深刻であれば救急車を呼ぶことも検討してください。

「急性大動脈解離の前兆」と関連する症状

「急性大動脈解離の前兆」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸痛
  • 背中、腰、または腹部へ広がる痛み
  • 息切れや呼吸困難
  • 意識障害
  • 足や腕の麻痺・しびれ

これらの症状がある場合は大動脈解離の他、狭心症や心筋梗塞、食道裂孔ヘルニア、急性胃炎、尿管結石などの疾患の可能性が考えられます。強い疼痛がある場合や冷や汗をかくような場合は早急に医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師