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「食道裂孔ヘルニア」の原因や症状はご存じですか?過体重の方や喫煙者は要注意!

 更新日:2024/01/09
「食道裂孔ヘルニア」の原因や症状はご存じですか?過体重の方や喫煙者は要注意!

食道裂孔ヘルニアという病気をご存じですか?
本記事では、食道裂孔ヘルニアとは?原因や治療法について以下の点を中心に紹介します。
・食道裂孔ヘルニアとは
・食道裂孔ヘルニアの原因
・食道裂孔ヘルニアの治療法
食道裂孔ヘルニアについて知るためにぜひ最後までお読みください。

食道裂孔ヘルニアについて

食道裂孔ヘルニアについて

食道裂孔ヘルニアとはどのような病気ですか?

食道裂孔ヘルニアは、本来、横隔膜の下部にあるべき胃の一部が食道の方(上の方)に飛び出してしまう状態を指す疾患です。通常、食道は食べ物を胃に送るために胸部を貫通しますが、食道裂孔ヘルニアでは食道が食道裂孔を通り抜けて腹腔内に進出します。主な原因は食道裂孔の筋肉の弱さや開口部の拡大です。

食道裂孔ヘルニアにはどのような症状がありますか?

食道裂孔ヘルニアは、食道と腹部の間にある食道裂孔の異常拡大によって生じる疾患です。以下に、食道裂孔ヘルニアの一般的な症状を示します。

胸やけや逆流性の症状: 胸の中心に痛みや灼熱感が生じ、胃酸や消化物が食道に逆流することで起こる胸やけや逆流性の症状がよく見られます。

食後の不快感: 食事後に膨満感や満腹感を感じ、食べ物が胸や腹部に戻る感覚があります。

嚥下障害: 食べ物や液体を嚥下する際に苦痛や窒息感を感じることがあります。

呼吸困難や喘息の発作: 食道裂孔ヘルニアが進行すると、膈の機能が低下し、呼吸困難や喘息の発作を引き起こすことがあります。

胸部不快感: 胸部や上腹部に圧迫感や痛みが生じることがあります。

これらの症状が食道裂孔ヘルニアに関連するものである場合、早期の診断と治療が重要です。

食道裂孔ヘルニアはどのような種類がありますか?

食道裂孔ヘルニアには以下のような種類があります。

スライディングヘルニア(軽度型):最も一般的なタイプであり、食道と胃のつながり部分が食道裂孔を通って上腹部に滑り込む状態です。食道裂孔が広がっている場合や食道裂孔ヘルニアの初期段階ではこのタイプが一般的です。

パラエソファゲアルヘルニア(中等度型):食道裂孔ヘルニアは食道の上部にあり、逆流性食道炎や胸やけなどの症状を引き起こすことがあります。食道裂孔が拡大している場合や進行した食道裂孔ヘルニアではこのタイプが見られることがあります。

ミックスドヘルニア(重度型):食道裂孔ヘルニアの複数の部分が食道や胃の異なる位置にある状態です。複数のヘルニアが存在するため、症状の重さや進行度合いが異なる場合に見られます。

これらの種類は食道裂孔ヘルニアの進行度合いや症状の重さによって異なります。正確な診断と適切な治療法を決定するためには、医師の診断とアドバイスを受けることが重要です。

食道裂孔ヘルニアの原因は何ですか?

食道裂孔ヘルニアは、本来、横隔膜の下部にあるべき胃の一部が食道の方(上の方)に飛び出してしまう状態です。その原因は以下の通りです。

膈筋の弱化: 横隔膜は胸腔と腹腔を隔てる筋肉の膜性組織であり、食道との間にある食道裂孔を支える役割があります。膈筋の弱化や緊張の低下により、食道裂孔が開きやすくなり、ヘルニアが発生する可能性があります。

加齢: 年齢とともに組織の弾力性が低下し、筋肉や結合組織が衰える傾向があります。このため、加齢による組織の変化が食道裂孔ヘルニアの原因となることがあります。

腹圧の上昇: 長期間にわたる重い物の持ち上げや慢性的な便秘、過度な咳などによって腹圧が上昇すると、食道裂孔に圧力がかかり、ヘルニアが生じる可能性があります。

先天的な要因: 一部の人々は、生まれつき食道裂孔が大きい場合や組織の形状が異常な場合があります。これらの先天的な要因が食道裂孔ヘルニアの原因となることがあります。

食道裂孔ヘルニアは複数の要因によって引き起こされる場合があります。正確な原因は個人によって異なる場合がありますので、症状や診断に関しては医師の診察と専門的な意見を求めることが重要です。

食道裂孔ヘルニアのリスク要因は何ですか?

食道裂孔ヘルニアは、50歳以上の方や過体重の方(特に女性)そして喫煙者にとってリスク要因とされています。食道裂孔ヘルニアは、食道と腹部の隔たりをつくる食道裂孔が拡大し、その結果、胃が食道に逆流する状態を指します。この疾患は、年齢が上がるにつれて発症しやすくなります。過体重の人々もリスクグループに含まれています。特に女性は、食道裂孔の筋肉組織が弱いため、症状の発現がより顕著になる可能性があります。また、喫煙者は、喫煙によって食道の強度が低下し、逆流のリスクが増加します。これらのリスク要因は、生活習慣や個人の健康状態によって異なりますが、予防の観点から重要です。食道裂孔ヘルニアの予防には、バランスのとれた食事、適度な運動、喫煙の避けなどの健康的な生活習慣が推奨されています。

食道裂孔ヘルニアの治療法

食道裂孔ヘルニアの治療法

食道裂孔ヘルニアの検査方法とはどのようなものですか?

食道裂孔ヘルニアの検査方法は、以下のようなものがあります。

バリウム飲み込み検査(食道透視検査): 患者はバリウムと呼ばれる薬剤を飲み込み、X線で食道や胃の状態を観察します。この検査により、食道裂孔ヘルニアや逆流性食道炎などの異常が確認できます。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査): 患者は喉を麻酔し、柔軟なチューブを通じて口から食道・胃に挿入します。このチューブにはカメラが付いており、医師は内視鏡画像を見ながら食道裂孔ヘルニアの有無やその程度を確認します。

経鼻食道多チャンネル測定(MII-pH検査): 食道にチューブを挿入し、食道内の酸や食物の逆流の度合いを測定します。この検査により、食道逆流や逆流性食道炎を評価し、食道裂孔ヘルニアの診断に役立ちます。

これらの検査方法を組み合わせて、食道裂孔ヘルニアの検査をします。症状や検査結果に基づいて、適切な治療プランを立てることが重要です。ただし、具体的な検査方法は医師の判断により異なる場合がありますので、担当医師の指示に従うことが必要です。

食道裂孔ヘルニアは自然に治ることはありますか?

食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が食道裂孔を通じて胸腔内に逆流する状態を指します。これは通常、裂孔の筋肉が弱化または緩むことによって起こります。
食道裂孔ヘルニアの自然治癒については、一般的には難しいとされています。なぜなら、一度弱化した裂孔の筋肉が自然に元の状態に戻ることは少ないからです。しかし、症状の管理は可能で、ライフスタイルの変更や薬物療法により、症状を軽減し、日常生活に大きな影響を及ぼすことなく生活できます。

特に、食事の内容や量の調整、適度な運動、体重の管理、就寝前の食事を避けるなどの生活習慣の改善が推奨されます。重度の場合や症状が改善しない場合は、手術が必要となることもあります。

そのため、食道裂孔ヘルニアの自然治癒を期待するよりも、適切な治療法や生活習慣の改善を通じて症状を管理し、必要に応じて医療専門家のアドバイスを求めることが重要です。

食道裂孔ヘルニアはどのように治療しますか?

食道裂孔ヘルニアの治療方法は以下の通りです。

症状の軽減を目指す食事の改善: 食道裂孔ヘルニアによる胃酸の逆流を緩和するために、食事の内容や食べ方を調整します。食事の回数を増やし、量を減らすことで胃の負担を軽減し、逆流のリスクを低減します。

胃酸の制御を目的とする薬物療法: プロトンポンプ阻害剤やヒスタミンH2受容体拮抗薬などの薬物を使用して胃酸分泌を抑制します。これにより逆流の症状を軽減し、食道の炎症を抑えます。

重症な場合の手術治療: 症状が重篤な場合や薬物療法の望んだ結果が出ない場合は、手術が検討されます。手術には食道裂孔を縫合・修復する方法や胃の位置を修正する方法があります。手術により逆流のリスクを低減し、症状の改善を図ります。

生活習慣の改善: 食事の後に横になることや、過度な身体活動を避けるなどの生活習慣の改善も重要です。これにより逆流のリスクを軽減し、症状の緩和を促します。

食道裂孔ヘルニアの治療は、症状の重症度や患者の状態によって異なる場合があります。医師の指示に従い、適切な治療方法を選択してください。

手術適応になるのはどのような場合ですか?

手術適応となる場合は以下のような状況です。

治療の範囲が手術を必要とするレベルに達した場合。例えば、進行したがんや重度の外傷など、他の治療法では対処しきれない場合。

病状の進行や合併症のリスクが高まっている場合。手術によって病状の進行を防止し、合併症のリスクを軽減できます。

症状の軽減や機能の回復を目的とする場合。手術によって症状を軽減し、身体の機能を回復させることが期待できます。

長期間の治療でも改善がみられない場合には、手術が必要な場合があります。

手術適応は個人の状態や病状によって異なりますので、病状や治療方法については医師との相談が重要です。医師の専門的な判断に基づいて、適切な手術を検討する必要があります。

食道裂孔ヘルニア手術の入院期間はどのくらいですか?

食道裂孔ヘルニア手術の入院期間は個人の状態や手術の方法によって異なりますが、一般的には3日から5日程度の入院が必要です。手術後の経過や合併症のリスク、患者の体力や年齢なども入院期間に影響を与える要素です。手術後には絶食期間が設けられることもありますが、食事の摂取や活動制限は手術の進行状況や医師の指示によって異なります。手術後は十分な安静と経過観察が必要であり、医療チームの指導に従いながら回復を促すことが重要です。具体的な入院期間については、担当医師との相談や手術の進行に基づいて判断されます。

食道裂孔ヘルニアの合併症は何ですか?

食道裂孔ヘルニアの手術後には、いくつかの合併症が起こる可能性があります。特に注意が必要なのは、食事の嚥下困難です。この症状は、食事を飲み込むことが難しくなるものであり、胃食道逆流症の手術と同様によく見られます。手術には噴門形成術が含まれており、これが嚥下困難に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、食道裂孔を縫縮するために裂孔が絞めすぎられる場合もあり、これも嚥下困難の原因となることがあります。ただし多くの場合、嚥下困難の症状は手術後約1か月程度で改善し始め、約3か月経過すると違和感を感じることなくなるとされています。つまり、この症状は一時的であり、通常は自然に回復する傾向があります。
したがって、食道裂孔ヘルニアの手術を検討している患者や手術後の患者さんは、嚥下困難についての注意を払う必要があります。

食道裂孔ヘルニアで術後の食事に気をつける点はありますか?

食道裂孔ヘルニアの手術後は、通常の食事ではなく、胃酸を抑える食事を心掛ける必要があります。重要なポイントは、胃酸を過剰に分泌させないような食材を選ぶことです。消化に優れた食べ物を摂取することで、胃酸の分泌量を抑えられます。
手術後の体は弱っているため、胃酸過多にならないように注意が必要です。具体的な食事内容については、インターネットや医師の指示を参考にすることが重要です。食道裂孔ヘルニアに関連した情報を探し、適切な食材を選んでください。
ただし、術後の食事に関しては個人の状態や医師の指示に応じた対応が必要です。食事の内容や摂取量については、個別のケースに合わせて調整する必要があります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が胸部に突出する状態であり、症状や重症度は個人によって異なります。もし疑いがある場合は、早期の診断と適切な治療が重要です。食生活の改善や適切な姿勢など、日常生活で気を付けることもあります。自身の健康を大切にし、専門家のガイダンスに従って行動しましょう。

編集部まとめ

食道裂孔ヘルニア
食道裂孔ヘルニアについて紹介してきました。
・食道裂孔ヘルニアは、胃の上部が食道の方(上の方)に飛び出してしまう状態を指す疾患
・食道裂孔ヘルニアになる原因は、「加齢」「腹圧の上昇」「遺伝」など様々な要因がある
・症状の重症度や患者の状態によって異なるが、治療方法は「薬物療法」「食事や生活習慣の改善」「手術」などがある
これらの情報が食道裂孔ヘルニアについて知りたい方の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師