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「急性骨髄性白血病の余命」はご存知ですか?生存率についても解説!【医師監修】

 公開日:2023/12/09
「急性骨髄性白血病の余命」はご存知ですか?生存率についても解説!【医師監修】

急性骨髄性白血病の余命はどのくらいなのか知っていますか?Medical DOC監修医が生存率を高めるために大切なことなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

  • ・急性骨髄性白血病とは
  • ・急性骨髄性白血病の生存率
  • ・生存率を高めるために大切なこと

生存率を高めるために大切なことについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

急性骨髄性白血病とは?

急性骨髄性白血病は、骨髄中で骨髄芽球(白血球に分化する過程の未熟な細胞)に異常が起こって、がん化した細胞(白血病細胞)が骨髄で異常に増える病気です。中でも、前骨髄球(骨髄芽球からさらに分化した細胞)に異常が起こった場合を、「急性前骨髄球性白血病」といいます。

血液は骨髄系とリンパ系の過程の中で作られますが、その骨髄系の過程で白血球や赤血球、血小板になる細胞ががん化することで発症するのが「急性骨髄性白血病」です。

中でも、白血球が作られる過程でがん化した細胞が無制限に増殖することで発症する事が多く、10万人に2〜3人の割合とされています。

高い年齢層に発症する事が多い事、また、急に症状が現れ進行がとても速い事が特徴ですので、早期の発見・診断・治療が生存率や予後における重要なポイントになります。

急性骨髄性白血病の症状

急性骨髄性白血病は、驚くほど急速に進行し、命に関わる病気です。この疾患は、骨髄で発生した未熟な白血球が異常に増殖し、正常な血液細胞の生成を妨げます。

発熱

急性骨髄性白血病では、がん化した異常な「白血病細胞」が増殖し、血液のバランスが乱れます。この状態で正常な赤血球や血小板も減少し、免疫を担う白血球の数が減ります。その結果、感染症に対する抵抗力が低下し、発熱が頻繁に起こります。発熱は急性骨髄性白血病の典型的な症状の一つであり、早期発見と治療が不可欠です。

倦怠感・動悸や息切れ

急性骨髄性白血病は、異常な白血病細胞が増殖し、正常な血液細胞の生成を阻害します。この過程で赤血球が減少し、酸素供給が減少するため、患者さんは倦怠感や動悸、息切れを経験することがあります。貧血によって体内の酸素供給が不足するため、日常生活においても疲労感が増し、心臓が酸素不足を補うために一層働き、動悸や息切れが顕著になります。これらの症状は急性骨髄性白血病の早期診断と治療の重要なサインであり、適切な医療ケアが必要です。

鼻血や歯肉からの出血

特に血小板の数が減少すると、体内の血液凝固が十分に機能しなくなり、鼻血や歯肉からの出血が頻繁に発生します。患者さんは些細な外傷や衝撃でも大きな内出血や青あざが生じやすく、これらは血小板不足の典型的な症状です。これらの症状が現れた場合、速やかな医師の診察と治療が必要です。

急性骨髄性白血病の特性について

白血病の進行度を理解するには、白血病細胞の特性を考慮することが不可欠です。急性骨髄性白血病(AML)は、特に異常な骨髄芽球(未熟な白血球の前駆体)ががん化し、骨髄で異常に増殖する疾患です。AMLは急速に進行し、治療が難しいことが特徴です。

また、AMLは遺伝子レベルでの複雑な変化も示すことがあります。例えば、FLT3-ITD遺伝子変異を有するAMLは、治療が難しく、予後が悪い傾向があります。さらに、PML-RARA遺伝子変異を示すAMLは、重篤な出血傾向を伴い、命に関わることもあります。

白血病の種類や遺伝子プロファイルに基づく個別の特性を理解することは、治療戦略の選択と予後の評価に重要です。患者さんと医師は、これらの特性について詳しく話し合い、適切な治療プランを策定する必要があります。

急性骨髄性白血病の生存率

急性骨髄性白血病(AML)の生存率は、早期診断と治療の重要性が際立ちます。治療法の進歩により、AMLの生存率は向上していますが、種類や患者さんの年齢により異なります。

小児の生存率は70%

急性骨髄性白血病においても、生存率は年齢によって大きく変動します。特に小児に見られる急性骨髄性白血病の生存率は、幸いにも70%程度に達しています。この高い生存率は、小児患者さんへの適切な治療法の発展と、早期の診断による治療の成功によるものです。しかし、年齢層によって生存率にはばらつきがあるため、患者さんの年齢や病態に合わせた個別の治療計画が重要です。

成人の生存率は50%未満

急性骨髄性白血病(AML)の成人における生存率は、残念ながら50%未満であることが知られています。AMLは高齢者に多く見られ、治療が難しく進行が速いため、生存率が低い傾向にあります。しかし、近年の医療の進歩により、新たな治療法や臨床試験が行われ、生存率向上の努力が続けられています。早期の診断と適切な治療は、AML患者さんの生存率を向上させるために不可欠です。

高齢者の生存率は10%前後

急性骨髄性白血病(AML)は高齢者にとっては非常に厳しい疾患です。特に80歳代の患者さんにおいて、生存率は10%前後にとどまります。高齢者の場合、AMLはより治療が難しく、予後も複雑です。高齢になると慢性疾患や体力の低下が影響し、治療への耐性が高まります。しかし、最新の治療法や医療の進歩により、高齢者のAMLに対するアプローチも進化しています。

急性骨髄性白血病の再発の生存率

急性骨髄性白血病(AML)の再発は治療後の患者さんにとって深刻な課題です。再発時の生存率は治療法や患者さんによって異なります。

65歳未満は80%

急性骨髄性白血病(AML)の再発は治療後の患者さんにとって懸念事項です。再発は治療終了後3〜5年以内に起こりやすいとされています。しかし、65歳未満のAML患者さんにおいては、約80%が完全寛解を達成し、そのうちの40%前後が治癒に至る可能性があるとされています。再発を予防し、再治療の選択肢を検討することは、AML患者さんの予後向上に向けた重要なステップです。

65歳以上は60%台

65歳以上の急性骨髄性白血病(AML)患者さんにおける完全寛解率は60%台にとどまります。高齢者のAMLは治療が難しく、再発のリスクが高いことが特徴です。再発に対処するためには、がんの進行状況、患者さんの総合的な健康状態、年齢などを総合的に考慮し、適切な治療戦略を立てる必要があります。高齢者における再発治療には個別化が重要であり、医師との協力によってアプローチを見つけることが生存率向上につながります。

生存率を高めるために大切なこと

白血病や他のがん疾患において生存率を高めるためには、早期の発見と治療が重要です。定期的な健康チェックと自己検診、がんリスク因子の管理が必要です。

違和感を感じたら病院に検査に行く

体調に違和感を感じたら、決して無視せず、早急に医療機関に相談しましょう。特に、体がいつもより疲れやすい、発熱が続く、皮膚に不審なあざが増えるなどの症状は、血液疾患や白血病の早期兆候かもしれません。白血病はがんであり、自然治癒せず、悪化することがあります。小さな変化も重要な情報です。早期の検査と診断によって、治療の成功率が大幅に向上します。

早期に治療を開始する

早期の治療により、病状が進行する前に制御できる可能性が高まります。また、症状が軽度であれば、より積極的な治療オプション、例えば骨髄移植を検討できることもあります。病気の兆候や異変に対しては敏感に反応し、早期の医療チェックを受けることが、自身や家族の健康を守るために不可欠です。

「急性骨髄性白血病」についてよくある質問

ここまで「急性骨髄性白血病」の症状を紹介しました。ここでは「急性骨髄性白血病の余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

急性骨髄性白血病の生存率は性別によって異なりますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

急性骨髄性白血病(AML)の生存率は性別によって一般的には大きな差は見られません。治療法や生存率において、性別が主要な要因となることは稀です。AMLの生存率は、年齢、病態、治療の適切さなど、他の多くの要因に影響される傾向があります。ただし、個別の症例や遺伝子プロファイルによっては、性別による微妙な違いがあることも考えられます。最終的な治療法と生存率については、個々の患者さんに合わせた詳細な評価が必要であり、性別だけでは判断できません。

急性骨髄性白血病の余命はどのくらいなのかを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

急性骨髄性白血病(AML)の余命は一概に言えません。AMLの進行度や予後は個々の症例に依存し、患者さんの年齢、一般的な健康状態、治療への応答など多くの要因が影響します。治療によって完全寛解が得られ、長期的な寛解が維持できる場合もありますが、再発や合併症が生じることもあります。最新の治療法や臨床試験への参加が、予後の改善に寄与することがあります。病気の進行度や治療については、医師との詳細な相談が必要であり、一般的な余命を単純に指摘することは難しいとされています。

編集部まとめ

ここまで急性骨髄性白血病の余命はどのくらいなのかについてお伝えしてきました。急性骨髄性白血病の余命はどのくらいなのかの要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・急性骨髄性白血病は、骨髄中で骨髄芽球に異常が起こって、がん化した細胞(白血病細胞)が骨髄で異常に増える病気のこと。
  • ・急性骨髄性白血病の生存率は、小児は70%程度に達しているが、80歳代の患者さんの生存率は10%前後にとどまっている。
  • ・生存率を高めるためには、体調に違和感を感じたら決して無視せず、早急に医療機関を受診することが大切。

「急性骨髄性白血病」と関連する病気

「急性骨髄性白血病」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

病気

  • 感染症
  • 出血
  • 骨痛
  • 転移

AMLは急速に進行するため、早期発見と適切な治療が不可欠です。治療が成功すれば、これらの合併症を最小限に抑え、予後を改善できる可能性が高まります。

「急性骨髄性白血病」と関連する症状

「急性骨髄性白血病」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 貧血
  • 感染症
  • 骨痛
  • 肝脾腫大
  • 体重減少

MLは急速に進行するため、これらの症状が現れた場合は早急に医療専門家の診察を受けることが重要です。早期の診断と適切な治療が、AMLの予後を大きく左右する要因となります。個々の患者さんに合わせた治療計画が立てられ、結果を得るための助けとなります。

この記事の監修医師

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