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心房細動の症状や原因、治療法とは?

公開日:2019/01/15  更新日:2022/01/30
心房細動とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
村上 友太 医師

監修医師
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。

心房細動とは

心臓は、全身や肺に血液を送るポンプの役割を担っており、動脈に血液を送る大きなポンプ(心室)と静脈から血液を受け取り大きなポンプに血液を送る小さなポンプ(心房)があります。ポンプの動きは洞結節で作られる定期的に電気刺激により、コントロールをされています。
心房細動とは洞結節以外の場所で電気刺激が作られたり(トリガー)、その刺激が心房内をぐるぐると廻ったりすることで起こる不整脈です。
心房細動は英語(Atrial Fibrillation)の頭文字からAfと呼ばれることもあります。

村上 友太 医師村上先生の解説

心房細動は年齢が高くなるにつれて有病率も高くなる疾患で、70歳以上では男性で3.4%、女性で1.1%、80歳以上では男性で4.4%、女性で2.2%の有病率があると言われています。
心房細動では心房は250~350回/分の高頻度で無秩序に収縮と弛緩を繰り返し、有効な収縮ができないため、心房内に血流が滞留しやすくなります。血流が停滞することにより心房(特に左心房)内で血栓が作られて、脳梗塞などの塞栓症の原因となります。

心房細動ではどんな症状が現れるの?

心房細動では脈の不整や胸部の不快感(動悸や胸の圧迫感など)、易疲労感、呼吸困難感が出現することがあります。約40%は無症状と言われており、健康診断での心電図や自分で脈を触れた際の脈の乱れで発見される場合もあります。

村上 友太 医師村上先生の解説

心房細動には、普段は整脈であるが発作的に心房細動が出現する「発作性心房細動」と、常に心房細動の状態である「持続性心房細動/永続性心房細動」との2つがあります。
発作性心房細動では自覚症状を伴うことが多いのですが、痛みを伴うことはありません。

心房細動の原因は?

心房細動の発症要因には、

  1. 高血圧や弁膜症(心臓の逆流防止弁の異常)による左心房の器械的負荷
  2. 自律神経活動
  3. 心房を構成する心筋の構造的な変化(イオンチャネルの変化)

があるとされています。
心房細動のリスク因子には、弁膜症、心不全、心筋梗塞、高血圧、甲状腺機能亢進症、喫煙、睡眠時無呼吸症候群、加齢などがあります。

村上 友太 医師村上先生の解説

心房細動のリスクには加齢や心不全などの改善困難なものもありますが、生活習慣病や喫煙などの改善可能なものも多くあります。修正可能な危険因子の治療を受けることで発症リスクを下げることができます。

心房細動の検査方法・診断方法は?

心房細動は、心電図検査で心房細動の波形が見つかれば診断することができます。しかし、心電図検査では検査中の心電図波形しか記録できないため、心房細動が一時的にしかでない発作性心房細動では心房細動の波形を記録することが困難です。そのため、24時間心電図を計測するHolter心電図や1週間程度心電図を計測するイベント心電図で検査を行います。これらの検査でも見つからない場合には、3~5年間心電図を計測し続ける、植込型心電計を前胸部に植え込むこともあります。

村上 友太 医師村上先生の解説

植込型心電計では心電計の電池が続く限り継続して心電図の計測を行います。計測中にみられた異常波形は自宅内に設置したデータの転送装置を介して植え込みを行った医療機関に転送されます。そのため、異常な波形が出現すればすぐに診断を行うことができます。

心房細動の治療方法・治療薬

心房細動の治療には

  1. 心房細動の再発を予防する治療
  2. 心房細動の症状を抑える/発作を止める治療
  3. 心房細動の合併症を予防する治療

に大きく分かれます。

【1】心房細動の再発を予防する治療には、薬物療法と非薬物療法(カテーテルアブレーション)があります。
薬物療法は心房細動の発症リスクとなる要因(生活習慣病や喫煙など)に対しての治療薬や抗不整脈薬(Naチャネル遮断薬)により行います。心房細動は発作を繰り返すほど、心房細動をなくすことが困難になることから、心房細動の原因となる異常な刺激を出している心筋をカテーテルで焼灼する血管内治療(カテーテルアブレーション)も希望があれば積極的に行います。カテーテルアブレーションは3日~1週間程度の入院で治療を受けることができます。

【2】心房細動の症状を抑える/発作を止める治療には薬物療法と非薬物療法(電気的除細動)があります。薬物療法ではβ遮断薬(プロプラノロールやビソプロロール)やCa拮抗薬(ベラパミル)、抗不整脈薬、ジギタリスなどで心拍数の調整を行います。また強力な抗不整脈薬(Naチャネル遮断薬)で発作を止めます(薬物的除細動)。薬物療法で発作を止められないときには鎮静薬を併用して電気的除細動を行います。

【3】心房細動の代表的な合併症は脳梗塞などの塞栓症であり、合併症の予防は抗凝固薬による薬物療法を行います。

村上 友太 医師村上先生の解説

抗凝固薬などを内服していない場合には、心房細動発症後48時間程度で左房内に血栓ができている可能性があります。左房内に血栓があるときに洞調律に戻ると、血栓症を発症しやすいと言われます。そのため、発症48時間以上経過していることが想定される心房細動では、除細動は行わずに心拍数の調整を中止とした治療を行います。

心房細動の予防方法

心房細動の発症リスクを高める修正可能な要因としては高血圧や肥満などの生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群、喫煙、アルコールの多飲、高尿酸血症などがあります。そのため、バランスの取れた食事をとり、適度な運動をして、禁煙や節酒を心がけることで心房細動の予防ができます。

村上 友太 医師村上先生の解説

生活習慣の改善だけでは生活習慣病が改善しない場合には病院で十分な薬物治療を受けることも重要です。

もしかして心房細動?初期症状・気になる自覚症状を解説

ここでは心房細動の初期症状や、心房細動の疑いのある症状、病院へ行くべき目安や対処法などをなどを解説します。

動悸、胸部の違和感

  • 心房細動の可能性があると見られる特徴
  • 初期症状として現れる可能性について
  • 病院へ行くべき目安となる症状
  • 受診するまでの対処法(症状によりパニックになる、症状を自覚していないなどの場合)

心房細動の約40%は無症状ですが、発作性心房細動では発作時の脈拍は100~150回/分と頻脈となることが多く、動悸や胸部の違和感が出現することが多くなります。
症状がある場合には、首や腕で脈を測って乱れているか確認しましょう。
乱れている場合には、何かしらの不整脈が出ているため、循環器内科を受診してください。
不整脈の診断は、不整脈が出ているときに心電図検査を行わないとできないため、可能であれば不整脈が出ている間に検査を受けられるように、速やかに受診してください。

心房細動についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「心房細動」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心房細動のセルフチェックにヘルスケアツールはどこまで信頼していいの?

村上先生村上先生

心拍数をチェックするヘルスケアツールとしては、代表的なものとしてApple watchがあります。Apple社は、600人が参加したApple watchの心電図アプリケーションで計測されたリズム分類と12誘導心電図によるリズム分類を比較した臨床試験で、98.3%の感度、99.6%の特異度を示したと報告しています。
Apple watchに記録された波形のみで心房細動と診断することはありませんが、心房細動の約40%は無症状であり、臨床試験の結果を踏まえると心房細動を疑うきっかけとして、一定の有用性があると考えられます。
Apple watchは身に着けている時間が長いため、低頻度の発作性心房細動の発見に役立つ可能性があります。Apple watchで心房細動の可能性が指摘された場合には、イベント心電図などを使った精査が必要です。

心房細動に罹患している場合、運動はしてもいいの?

村上先生村上先生

心房細動に罹患していることでの行動制限は、特にありません。心不全を併発している場合には、過度な運動は控えることが望ましいこともありますが、心房細動のみであれば運動の制限や車の運転の制限は特にありません。
しかし、心房細動が止まる際に一時的に脈が止まったり遅くなったりして、意識が遠のく/失うことがあります。過去に急に意識が遠のいたり、意識を失ったりしたことがある場合には、運転は控えて循環器内科を受診しましょう。
心房細動停止時に、一時的に脈が止まる/遅くなる場合には徐脈頻脈症候群と呼ばれます。意識が遠くなるほどの徐脈となる場合には、ペースメーカー植込みが必要となります。徐脈頻脈症候群では、カテーテルアブレーションで心房細動を止めることで、ペースメーカー植込みを回避できることもあります。

まとめ

心房細動は、脳梗塞などの塞栓症のリスクとなり、心房細動が続くほど発作を止めることが困難となるため、早期の発見と合併症治療が重要です。
心房細動は約40%が無症状で早期の発見が難しい場合もありますが、最近ではApple watchなどのヘルスケアツールも出てきており、心房細動の早期発見に役立つ可能性が期待されています。

心房細動と関連する病気

「心房細動」と関連する、似ている病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

心臓に負担がかかることで起きる病気

  • 心不全
  • 弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症)
  • 不整脈

左房内に血液が滞留することで起きる病気(動脈塞栓症)

不整脈によって心機能低下につながることや、不整脈によって血栓が形成されて動脈塞栓症を発症する可能性があることが、臨床上の問題となります。

心房細動と関連する症状

「心房細動」と関連している症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

約40%は自覚症状がありませんが、不整脈の症状として動悸や胸部不快感などを訴えるかたが多く見られます。