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不整脈の症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

不整脈(読み方:ふせいみゃく)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師

不整脈とは

心臓は、全身に血液を送り出すポンプのような働きをしています。ポンプを動かしているのは、心臓内を伝わる電気刺激です。まず、右心房にある洞結節が興奮し、電気刺激が心筋全体へと伝わります。
この心臓の電気刺激の伝達経路に問題が生じたり、余計な場所で電気が発生したりすると、脈が不整になり、これを不整脈といいます。
不整脈には大きく分けて3つの種類があります。脈が遅くなる「徐脈性不整脈」、脈が飛んだり抜けたりする「期外収縮」、脈が速くなる「頻脈性不整脈」です。

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師監修ドクターのコメント
不整脈は幅広い年齢で起こる疾患です。生まれつきの心臓疾患が原因で命にかかわる不整脈を起こす小さなお子さんもおられます。

不整脈の症状

不整脈によって心臓の血液を送り出す能力が損なわれると、脱力感や持久力の低下、息切れ、ふらつき、めまい、失神などの症状があらわれます。心臓から送り出される血液が少なくなり、十分な血圧を維持できなくなり失神することもあります。このような不整脈が続けば、死に至ることもあります。また、不整脈はその原因となっている心疾患の症状、例えば胸痛や息切れを悪化させることもあります。症状を引き起こしている不整脈には、早急に対応する必要があります。

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師ドクターの解説
不整脈の症状の程度に関しては、強いめまいや息切れ、長く続く胸痛、意識障害などを伴うものから、たまに脈が飛ぶといった程度の良性のものまでいろいろあります。発症の病因に関しても、心臓の伝導路の異常、心筋梗塞など他の病気から派生して起きる2次的なものまであります。

不整脈の原因

不整脈の最も一般的な原因は心疾患で、多くは冠動脈疾患や心臓弁膜症、心不全がアドア多くを占めています。また、薬剤によって不整脈が引き起こされる可能性があり、それは市販薬だけでなく病院から処方される薬(心疾患の治療薬も含む)も原因になることがあります。生まれたときから存在する異常(先天異常)によって引き起こされる不整脈もあります。心臓の刺激伝導系に加齢による変化が生じると、特定の不整脈が起こりやすくなります。
ときに不整脈の原因を特定できないこともあります。

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師監修ドクターのコメント
原因としては、元々の心臓の病(心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症、心不全、先天性心疾患など)によるもの、加齢や体質によるもの、遺伝的なもの、ホルモン異常(甲状腺ホルモンなど)、その他原因が特定できないもの等あります。また、ストレス・疲労・睡眠不足・コーヒーやアルコールなどは不整脈が起こりやすくなる素因となることがあります。心筋梗塞、心筋症、心不全などが原因であれば、その原因疾患に対する最適な薬物的加療を行うことが最重要となります。

不整脈の検査法

不整脈の検査は、心電図検査を中心に、胸部X線、血液検査、さらにホルター心電図、運動負荷心電図、心臓超音波検査などによって行います。
ホルター心電図検査は、携帯式の小型の心電計をつけたまま帰宅してもらい、体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化するかをみる検査です。
不整脈の数がどれくらいあるか、危険な不整脈はないか、症状との関係はどうか、狭心症は出ていないか、などがわかります。
運動負荷検査は、階段の上り下りや歩行運動、自転車こぎ運動などをしたときに、その運動によって不整脈がどのように変わるか、狭心症が出るかどうかをチェックします。
心臓超音波検査は、心臓の形態や動きをみるもので、心臓に病気があるかどうかが診断できます。
また、EPカテーテルを使った検査もあります。
この検査は、太ももの付け根などに局所麻酔をし、EPカテーテルを血管の中を通して心臓内に挿入して、外部電気刺激装置を使って不整脈の検査をします。
この検査では、心臓ペースメーカーやICD、CRT-D、カテーテルアブレーション治療が適応される不整脈なのかを診断します。

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師監修ドクターのコメント

検査方法は一般的に以下の通りです。

・心電図
一般的で基本的な検査です。心臓の電気活動を記録します。

・ホルター心電図(24時間心電図検査)
24時間分の心電図を携帯型心電計に記録し、より詳しく心臓の不整脈の発症状態を解析するのです。

・イベントモニター
症状のあった時に携帯型心電計による心電図を記録します。

・ループレコーダー
通常の診断方法では不整脈の検出が困難な場合、小型の心電計を皮下に留置して長期にわたり不整脈の出現の有無を検索します。

・電気生理学検査
電極カテーテルという数ミリ径の細い管を、足の付け根や鎖骨下の静脈から、心臓に向かって数本挿入します。患者さん特有の不整脈のメカニズムを明らかにすることを目的とします。

不整脈の治療方法

不整脈の治療は、不整脈の種類や、自覚症状や基礎心疾患の有無(心筋症、心筋梗塞後や心臓の機能が悪いかどうかなど)などによってさまざまです。
自覚症状もなく、心臓の機能も良好で不整脈の頻度も少なければ経過観察になる場合もあります。
ストレスや生活習慣の乱れが原因であれば、それを是正するようにします。
不整脈の原因としてホルモンや電解質異常などが疑われれば、その治療を行います。症状が強いようであれば不整脈を抑える薬(抗不整脈薬)を処方することがあります。しかし、抗不整脈薬の処方により別の不整脈が出現する可能性もあります。ストレスや不安感が強い人は、安定剤を処方するときもあります。
不整脈の種類(とくに心房細動)によっては無症状でも脳梗塞を起こす危険性が高いときがあります。そのような時には脳梗塞予防の薬(抗血栓薬)を処方することがあります。

抗不整脈を処方しても不整脈を抑えることが出来ず、不整脈による自覚症状が強い人、不整脈により心不全などを起こす、またはそのリスクが高い人、薬を飲まないで根治治療を目指す人に対してカテーテルアブレーション術(心筋焼灼術)という非薬物療法を行うこともあります。

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師監修ドクターのコメント

良性の場合は治療しなくても大丈夫ですが、重篤な場合その原因疾患の治療はもちろん、不整脈そのものを止める薬(抗不整脈薬)が必要になることがあります。薬以外にも機械による治療が必要なこともあります。脈が遅い場合はペースメーカーの留置が必要になることもあります。また、致死的不整脈の発症時に備え、植え込み型除細動器が適応となる患者様もいらっしゃいます。

一般的に症状を感じない不整脈は良性であることが多いですが、心房細動といった脳梗塞の原因になる不整脈が出ていても症状がない場合もありゃいます。「不整脈かな?」と思われたら、自己判断せず循環器科専門医に相談されることをおすすめします。

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