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ワイヤーを用いた歯科矯正の特徴を徹底解説|メリットや歯科矯正の流れ・種類もご紹介します

 公開日:2023/06/08
ワイヤー矯正

歯科矯正と聞くと多くの人がイメージするのがワイヤーを用いた矯正ではないでしょうか?

「痛いイメージがある」「なんとなく見た目が嫌だ…」とマイナスな印象を抱いている方もいますが、ワイヤー矯正は正確に歯を移動できる優れた治療方法なのです。

今回はワイヤー矯正の特徴と、メリット・治療の流れ・ワイヤー矯正の種類について徹底解説していきます。

ワイヤー矯正をご検討されている方、他の治療方法と迷われている方はぜひ参考にしてみてくださいね。

古田 博久

監修歯科医師
古田 博久(歯科医師)

ワイヤーを用いた歯科矯正の特徴

歯を指さす女性
ワイヤーを用いた歯科矯正は、歯に装着したブラケットにワイヤーを引っ掛け、圧力をかけて歯を移動させていく方法です。
難しい症例にも対応できることが多く、少しずつ長い時間をかけて動かすことで歯列を改善していきます。
ワイヤー矯正を行うことで歯列の矯正はもちろん、噛み合わせの改善や顎関節症などの症状の緩和などさまざまな効果が期待できます。
ワイヤーは歯の動きに合わせて調整する必要があるため、2週間に1回~1ヵ月に1回程度の間隔で通院が必要です。
矯正にかかる期間には個人差がありますが、約2~3年かかることが一般的です。
下記ではワイヤー矯正の特徴についてさらに掘り下げていきますのでぜひご一読ください。

さまざまな歯並びに対応している

先述した通りワイヤー矯正はさまざまな歯並びの治療にも対応できます。症状の例としては下記の通りです。

  • 八重歯・すきっ歯などの歯列異常
  • 前歯が外側に飛び出る歯並び(上顎前突)
  • 噛み合わせたときに上下の歯の間に隙間ができる(開咬)
  • 下の歯が上の歯より外側に出るなど上下の歯が正しく噛み合っていない(交叉咬合)
  • 噛み合わせたときに上下の歯が左右にずれる(顎偏位)
  • 下の歯が前に出すぎている(反対咬合)

歯並びの悪さや不正咬合はただ単に虫歯や歯周病などの口腔内トラブルが起こりやすいだけでなく、全身疾患にも関係していることが明らかになってきています。
噛み合わせのずれなどから引き起こされると考えられる肩こりや首の痛みなどの慢性的な症状、また、歯列不正が原因で悪化する歯周病では、脳梗塞やアルツハイマー・早産や未熟児の発生リスクを上昇させる可能性があるとも報告されています。
歯科矯正を行うことでこれらのリスクの軽減にも繋がるため、歯列や噛み合わせに問題を抱えている方は一度矯正治療を専門とする医師の受診がおすすめです。

治療期間を短くすることができる

ワイヤー矯正は治療期間を短くすることも可能です。
どういうことかというと、通院の頻度を上げる(ワイヤーを調整する頻度を上げる)ことで想定よりも早く治療を終わらせられます。
ワイヤー矯正ならではのことであり、マウスピース矯正など他の治療方法では実現が難しいでしょう。
ただし、歯を動かすことは当然歯や歯茎にも負担が大きくかかります。
医師によっては通院の頻度を上げることを望ましく思わないこともあるため、かかりつけの医師の指示に従うことが大切です。
また、ワイヤー調整後は締め付けられるような感覚があり違和感や痛みから食事に抵抗を覚える方もいます。ただし、痛みは2~3日程度で治まるので安心してください。

ワイヤーを用いた歯科矯正のメリット

白衣を着た男性
ワイヤーを用いた歯科矯正のメリットには主に下記の2つが挙げられます。

  • 治療費が比較的安い
  • 治療が成功しやすい

2つの内容について詳しく解説していきましょう。

治療費用が比較的安い

治療費用が安いというのは、歯科矯正の治療にかかる費用が一般的に高い中で、ワイヤー矯正は他の治療方法と比較して治療費を抑えやすいことをいいます。
ワイヤー矯正による治療費は主に装置代・毎回の調整費用・診察・検査代などが含まれており、途中で追加費用がかかるケースがほとんどありません。
特殊な症例の場合、抜歯などのその他の処置が必要になり治療費が加算されることもありますが、治療途中ではなくカウンセリング時に事前に伝えられることがほとんどです。
支払い方法も分割払いが可能な医院も多いので、無理なく安心して通院ができるでしょう。

治療が成功しやすい

治療が成功しやすいとは、歯列や噛み合わせが思い描く理想とする状態に近付けやすいことをいいます。
ワイヤー矯正はいくつか種類のある歯科矯正の中でも、より正確に歯を移動させられる治療方法です。
通院ごとに歯の動きに合わせてワイヤーを細かく調整できるため、理想とする結果を得やすいと考えられています。
反対に、通院を面倒くさがってしまうと治療期間が延びてしまうこともあるため注意してください。

ワイヤーを用いた歯科矯正の流れ

歯科治療を受ける男性
ワイヤーを用いた歯科矯正は下記の流れて行われることが一般的です。
1.カウンセリング
2.検査・診断
3.矯正装置の設置
4.矯正治療および定期メンテナンス
これから歯科矯正を始めようと考える方にとっては、治療がどのように行われていくのかは特に気になる部分でしょう。
それぞれの内容について詳しく掘り下げていきます。

カウンセリング

歯科矯正におけるカウンセリングでは下記のことを大切に行っていきます。

  • 矯正前後・矯正中の注意点
  • 矯正に対して患者さんが抱いている不安や疑問の解消
  • 口腔衛生についての指導

歯科矯正が初めての患者さんにとってはどのような装置をどこに付けるのか、期間はどのくらいなのか全て分からず不安な状態です。
そのためカウンセリングの時点で、治療に用いる装置や装着後の注意点・装着によって起こる変化・装着期間などを詳しい説明を受けることが大切です。
また、矯正にかかる費用についてもカウンセリング時に詳しい説明を受けられます。
決して安い費用ではないため、支払い方法についてもきちんとすり合わせを行っておきましょう。
疑問に感じた点は何でも相談し、納得のいく状態で治療に進むことが大切です。

検査・診断

モニターを見て説明を受ける男性
歯列矯正の検査・診断とは、歯列や噛み合わせ・骨格の状態を確認して、適切な治療方法を見極めて判断することです。
検査ではレントゲンやCTなどを用いて歯列の構造や歯根の位置・親知らずの有無などを確認していきます。
歯の大きさに対して顎が小さい場合や、親知らずが歯茎内に埋まっていた場合・治療に差支えがある場合は、装置の装着前に抜歯を行うこともあります。
この検査の結果から、使う装置の種類や治療にかかるおおよその期間などを細かく判断していくのです。

矯正装置の設置

検査・診断が終われば、いよいよ矯正装置を用いた治療がスタートです。
歯にブラケットと呼ばれる装置を接着させ、中心の溝にワイヤーを通して圧力をかけ歯を移動させていきます。
ブラケットは一昔前までは銀色で見た目に抵抗感を抱きやすいものでしたが、現在では白や透明などぱっと見では目立たない工夫がされているのです。
また、症状によってはアンカースクリューといった小さい装置を歯茎に埋め込むこともあります。
アンカースクリューとワイヤーを小さなゴムで引っ掛けることによって、八重歯など大きく移動させたい歯に対してピンポイントで力をかけることが可能です。
アンカースクリューは治療後に取り外します。最初は小さな穴が残りますが、時間の経過とともに自然と埋まるため安心してください。

矯正治療および定期メンテナンス

ワイヤーは変形や劣化することもあるため放置はしないようにしましょう。設置した後は定期的に通院しワイヤーの調整や交換を行う必要があります。
これを行うことで、理想とする治療効果を望むことが可能となるのです。
また、矯正治療中は歯磨きのしづらさから歯垢が溜まりやすくなります。
医院によっては、歯石除去やフッ素塗布など虫歯や歯周病を防ぐためのメンテナンスや指導を行っているところもあります。
診察やメンテナンスにかかる費用は全体の治療費に含まれていることがほとんどですので、なるべくこまめに通うことが理想です。

ワイヤーを用いた歯科矯正の主な種類

歯の模型
ワイヤーを用いた歯科矯正には、表側矯正・裏側矯正ハーフリンガル矯正などいくつか種類があります。
治療方法によって当然費用も異なりますが、1人1人の症例に合わせて適切な治療を行っていくことが重要です。
下記ではワイヤーを用いた歯科矯正の主な種類について詳しく解説していきます。

表側矯正

表側矯正とは、名前の通り歯の表面に装置を取り付けて行う治療方法です。
装置が目立ちやすいという懸念から抵抗を持つ方もいますが、幅広い症例に対応しやすく、治療が成功しやすい方法でもあります。
また最近では歯に取り付けるブラケットやワイヤーの色も白や透明など目立たないものも増えているため、見た目を気にする方でも挑戦しやすくなっています。

裏側矯正

裏側矯正とは、歯の裏側に装置を取り付けて歯を移動させる治療のことです。
装置が裏側に付くため周りから矯正していることがバレにくく、接客業などで見た目を気にされる方でも挑戦しやすい治療方法といえます。
こちらも表側矯正同様、こまめに通院しワイヤーの調整を行うことで治療期間を短縮させることが可能です。
表側矯正よりも複雑な技術が必要になることから、費用が上がったり症例・医師によっては対応ができなかったりするケースもあります。

ハーフリンガル矯正

ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正とは、上の歯は裏側矯正・下の歯は表側矯正のように上下の歯で異なった治療方法を取り入れることをいいます。
上の歯は裏側矯正になるため、こちらも比較的目立ちにくい治療方法といえます。
費用としては表側矯正と裏側矯正の間くらいであるため、裏側矯正が良いけどもう少し費用を抑えたいという方におすすめです。
ただし、症状によっては表側矯正の方が確実な治療効果が得られるケースもあるため、治療前にしっかりとカウンセリングを行うことが重要です。

ワイヤーを用いた歯科矯正の費用はどのくらい?

歯の模型とお金
ワイヤーを用いた歯科矯正の費用は歯列の状態や病院によっても異なりますが、表側矯正でおよそ80万円~100万円です。
費用の中には装置代だけでなく、処置代・メンテナンス費・検査代などが含まれている場合と含まれていない場合があります。医院によって違うので注意しましょう。
カウンセリング時で治療方針が決まることが多いため、治療途中に追加で料金を支払わなければいけないケースはほとんどありません。
そのため、他の治療方法と比べて比較的安価で収まりやすいといわれています。
また、裏側矯正は表側矯正の費用にプラスで30万円ほどかかります。
費用の支払い方法についてはカウンセリング時に医師に相談することがおすすめです。

ワイヤーを用いた歯科矯正で注意すべきこと

バツを作る男性医師
ワイヤー矯正で注意すべき点は通院とメンテナンスにあります。
まず、通院は最低でも月に1度は行うようにしましょう。面倒ではありますが、こまめにワイヤーの調整を行うことは、より正確な治療治療期間の短縮にも繋がります。
治療後に痛みが出る場合もあるため、通院日はやわらかく歯に負担がかからないメニューを選ぶと良いでしょう。
また、ワイヤー矯正は食べ物がつまりやすく磨き残しも増えがちです。
ブラッシング方法など適切なメンテナンスを行わないと、虫歯や歯周病といった口腔内トラブルが発生する原因にもなります。
歯石除去やフッ素塗布など通院時にメンテナンスを行ってくれる病院もあるので、カウンセリング時に確認してみることもおすすめです。

ワイヤーを用いた歯科矯正を検討している方は歯科医に相談を

カウンセリング
ワイヤー矯正を検討している方は、まずは矯正治療を専門としている歯科医に相談しましょう。口腔内の状態を見極めて、適切な治療方法を提案してくれます。
歯科医に相談する際には、口腔内の悩みや噛み合わせの状態、それによって引き起こされている症状など小さなことも全て伝えましょう。
また治療期間や費用についても医師とよく話し合い意思を共有しておくことが大切です。
カウンセリングは無料で行ってくれるところもあるので、気になる病院は何件かピックアップして比較することをおすすめします。

編集部まとめ

歯ブラシを持つ女性
ワイヤーを用いた歯科矯正は、他の矯正方法と比較してより正確な治療を行える方法です。

裏側矯正ハーフリンガル矯正などいくつか種類もあるため、より装置が目立ちにくい治療方法の選択もできます。

ただし、症例によっては表側矯正の方がより理想とする治療効果を得られることもあるため、カウンセリング時に医師としっかりすり合わせを行うことが大切です。

歯科矯正は決して安価な治療ではありません。小さな疑問や不安も全て相談し、納得のいく状態で治療を始めるようにしましょう。

この記事の監修歯科医師