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「体のあちこちがつる」原因はご存知ですか?考えられる病気も医師が解説!

「体のあちこちがつる」原因はご存知ですか?考えられる病気も医師が解説!

体のあちこちがつるとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

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「体のあちこちがつる」症状で考えられる病気と対処法

筋肉がつることを筋痙攣といいます。筋痙攣は突然起きる痛みを伴う筋肉の収縮です。下肢に起こることが多く、これをこむら返りといい、運動に伴って発生しやすいです。一方、下肢以外の体のあちこちがつる場合には全身性の病気が隠れている可能性があり注意が必要です。

体のあちこちがつる症状で考えられる原因と治し方

筋痙攣が起こる原因として、以下のことがあげられます。

  • 運動に伴う筋痙攣
  • 血行不良、脱水
  • 電解質異常(カリウム、マグネシウムなどの異常)
  • 神経疾患(筋ジストロフィー、筋委縮性側索硬化症など)
  • 代謝疾患(甲状腺疾患、糖尿病など)
  • 薬剤性の筋痙攣

全身の筋痙攣が起こった場合の対処法として、手足などの伸ばせる筋肉であれば、ストレッチが効果的です。また、脱水が疑われる場合には、水分補給をすることも大切です。それでも症状が改善しない場合には、内科を受診することをお勧めします。全身の筋痙攣の場合には、全身性の病気が隠れている可能性があるからです。
筋痙攣の症状が持続する場合には、早めに受診をしましょう。また、一旦改善しても何度も症状が出る場合にも一度内科の受診をし、上記のような病気が隠れていないか調べた方が良いでしょう。

夏に体のあちこちがつる症状で考えられる原因と治し方

夏に体のあちこちがつる症状が現れた場合、まずは脱水を考えます。運動で汗を大量にかいた後や、外での仕事で熱中症をおこした場合にも筋痙攣をしばしば合併します。まずできる対処法としては、水分補給です。大量の汗をかいた場合には、スポーツドリンクなどで塩分の補給もしましょう。熱中症を伴う場合には、涼しいところで休ませ、体を冷やすことも大切です。症状が続く場合や、意識障害がある場合にはすぐに病院を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「体のあちこちがつる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

体のあちこちがつって水分補給でも改善しない場合は、内科へ

全身性の運動をした場合には、全身の筋肉が運動に伴い「つる」場合もありますが、一般的に運動に伴わない全身の筋痙攣は、重大な病気が隠れている場合が多いです。この中で、脱水を伴うものでは、水分補給で改善することが多いのですが、水分補給でも改善しない重症の脱水症やそのほかの病気では病院を受診し、原因を調べる必要があります。原因として多い病気は、糖尿病や甲状腺疾患、肝臓病、電解質の異常があげられます。いずれも、内科受診で採血の検査などで診断がつきます。早めに受診をしましょう。

受診・予防の目安となる「体のあちこちがつる」ときのセルフチェック法

  • 体のあちこちがつる以外に意識障害がある場合
  • 体のあちこちがつる以外に動悸がある場合
  • 体のあちこちがつる以外にむくみがある場合
  • 体のあちこちがつる以外にだるさがある場合
  • 体のあちこちがつる以外に体重の増減がある場合
  • 体のあちこちがつる以外に強いのどの渇きがある場合

「体のあちこちがつる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「体のあちこちがつる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

熱中症

暑い環境に居る、もしくは居た後に体調不良を起こしたもので体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などを起こしている状態を熱中症といいます。重症になると意識障害を伴い命の危険性も伴うため、早めに適切な治療をすることが大切です。熱中症が疑われた場合には、涼しい場所に移動させ、首やわきの下、太ももの付け根などを冷やし、体温を下げるようにします。また、意識がある場合には塩分も含むスポーツ飲料などで水分補給を行うことが重要ですが、意識障害を伴う時には誤嚥する可能性があるため、無理に飲水させず、救急車を呼び病院を受診しましょう。軽い熱中症であれば、内科を受診してください。

橋本病

橋本病は自己免疫疾患の一つです。橋本病では、甲状腺に対する抗体がつくられることにより慢性的に甲状腺に炎症が生じます。この慢性的な炎症により徐々に甲状腺の組織が壊され、甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまいます。なぜ、免疫異常が起こるかは不明です。しかし、甲状腺に対する抗体を持っている人が、ストレスなどをきっかけに甲状腺機能低下症を発症すると考えられています。のどぼとけのあたりにある甲状腺の腫れが認められることが多く、甲状腺機能低下の症状として、だるさ、全身のむくみ、寒がりなどの症状がみられます。また、筋肉の痛み、筋力低下や筋肉のつりを高率に認めます。治療としては、内服薬で甲状腺ホルモンの補充を行います。橋本病が疑われた場合には、内科を受診しましょう。

バセドウ病

バセドウ病とは、自己免疫疾患の一つで、自分の甲状腺を刺激する抗体が体で作られることにより、甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。バセドウ病になりやすい体質の人が、感染やストレスなどをきっかけにして発症すると言われています。バセドウ病の症状としては、動悸、体重減少、手の震えなどがあります。また、疲れやすさや筋肉痛、筋痙攣を伴うこともあると言われています。治療としては、薬物療法が一般的ですが、放射線治療や手術が適応されることもあります。疑わしい症状がある場合には、内科を受診しましょう。甲状腺機能が亢進した状態で放っておくと、不整脈や、手足が突然動かなくなる周期性四肢麻痺といわれる症状が出ることもあり、非常に危険です。

糖尿病

糖尿病とは、血糖値を調整するインスリンの作用不足が原因となる慢性的な高血糖状態をいいます。糖尿病に伴う高血糖の症状として、多尿、口渇、体重減少などが認められます。この時には、脱水を伴っており、筋痙攣をひき起こしやすい状態です。また、神経障害の合併や、動脈硬化の影響により糖尿病を持つ人は一般の人より高率に筋痙攣が起こりやすいと言われています。頻繁な筋痙攣の発症や口渇、体重減少がある場合は、糖尿病かもしれません。内科を受診しましょう。

肝臓病

ウイルスやアルコール性の肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎により慢性的に肝臓に炎症が生じる慢性肝炎や、さらに進行した肝硬変がある場合、筋痙攣をよく起こします。下肢のむくみや、腹部が腹水により膨れて張る場合、白目が黄色くなる黄疸の症状が見られる場合には肝臓病が考えられ、早めの病院受診が必要です。専門外来は、消化器内科です。何科に行けばよいか迷う場合には、内科を受診し、肝臓病の可能性がないか採血などで調べても良いでしょう。

「体のあちこちがつる」ときの正しい対処法は?

筋肉のつりが起こった時、治し方として、手足などストレッチしやすい場所であれば筋肉を伸ばすようにストレッチをすることが挙げられます。運動不足があり、急に運動をした際には、体のあちこちが筋痙攣をおこすこともあり、運動後によくストレッチをすることで筋痙攣を防ぐことができます。ストレッチができない場所がつった場合には、湿布や消炎鎮痛剤の塗り薬を使用しても良いでしょう。
血行不良で起こることも多く、運動後に入浴で体を温め、筋肉のマッサージをすることが筋痙攣の予防になります。脱水が疑われる場合には、水分摂取をしっかりしましょう。スポーツ飲料は塩分の補給にもなるためお勧めです。早く治したい場合には、漢方薬の『芍薬甘草湯』の内服が効果的ですが、高血圧などの副作用が起こることもあり、用法、用量を守って使用しましょう。
運動後の筋肉のつりは、筋肉の疲労によって起こるため、入浴で体を温め、筋肉のマッサージをした後にしっかり睡眠をとって体を休ませることが非常に重要です。
一般的に運動や脱水に伴わない全身の筋痙攣は、全身性の病気が隠れている可能性が高く、原因を調べ、治す必要があります。繰り返し、筋痙攣が起こる場合は早めの病院受診が勧められます。

「体のあちこちがつる」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「体のあちこちがつる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ストレスが原因で体のあちこちがつることはありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

通常、ストレスのみが原因で体のあちこちがつることはありません。しかし、ストレスが引き金になり甲状腺疾患や糖尿病が悪化し、これが原因となり筋肉のつりの症状が出ることはあります。

体のあちこちがつるのですが何科に行けばいいですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

全身の筋肉がつる場合には、まず内科を受診しましょう。

体のあちこちがつるときは何が足りてないのでしょうか。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

水分不足が原因であることが多いです。また、大量に汗をかいている場合には塩分も同時に不足している場合があります。また、そのほかにカリウムやマグネシウムなど電解質のバランスが崩れることでつることもあるため、採血で原因を確かめてから、食べ物、サプリなどで補給をしましょう。

体のあちこちがつるのは栄養不足ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

体のあちこちがつるだけでは栄養不足とは言い切れませんが、栄養が偏ることにより、電解質のバランスが崩れている可能性があります。頻回につる症状が起こるのであれば、採血でバランスがくずれている電解質がないか調べ、必要な栄養素を補いましょう。

体のあちこちがつるのを予防する食べ物はありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

大量に汗をかき、脱水を伴う場合には塩分と水分の摂取が筋肉のつりを予防します。カリウムやマグネシウムのバランスが崩れることで筋肉のつりが起こることがありますが、通常の食事をとっている場合には、病気の合併がない限り、不足になりにくいです。塩分摂取が多く、むくみもある場合にはカリウム摂取で改善することがあります。カリウムは野菜、果物、イモ、豆などに含まれているためこれらの食品を積極的にとることでつりの予防につながるため、試してみてください。

まとめ 体のあちこちがつるときは全身の病気の可能性あり

体のあちこちがつる場合には、全身性の重大な病気が潜んでいる場合があります。熱中症や脱水に伴うものでは、水分、塩分補給で改善することが多いですが、改善がない場合や繰り返す場合には原因を調べることが大切です。原因として、糖尿病、甲状腺疾患、肝臓病などが多いですが、なかには筋ジストロフィー、筋委縮性側索硬化症などの神経疾患や脳梗塞など様々な疾患のサインであることも多くあります。早めの治療が必要です。どこに行けばよいかわからない場合には、内科を受診し、検査を受けましょう。

「体のあちこちがつる」症状で考えられる病気

「体のあちこちがつる」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

代謝・内分泌系の病気

  • 甲状腺疾患(橋本病、バセドウ病)

消化器疾患の病気

  • 肝臓病(肝炎、肝硬変)

腎臓系の病気

  • 尿細管障害(電解質の異常)

神経系の病気

整形外科系の病気

そのほかの病気

  • 熱中症

全身性の様々な病気の可能性があり、精密検査をする必要があります。あちこちが繰り返しつってしまう場合には、必ず病院を受診しましょう。

「体のあちこちがつる」に似ている症状・関連する症状

「体のあちこちがつる」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 全身の筋肉痛
  • 全身のむくみ
  • 体の冷え
  • 体のだるさ

「体のあちこちがつる」症状の他にこれらの症状がある場合でも「熱中症」「甲状腺疾患」「糖尿病」「肝臓病」「神経疾患」の可能性があります。症状が続く場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。

この記事の監修医師