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「足の付け根にしこり」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

足の付け根にしこりが見つかると、体に害があるのではないかと不安になりますよね。ここでは、知っておきたい足の付け根にしこりができる症状の特徴と原因やすぐに病院に行くべき症状についてMedicalDoc監修医が紹介します。

「足の付け根のしこり」で考えられる病気と対処法

足の付け根を触ってはじめて気づくしこりは、腫れ上がった(腫脹した)鼠径リンパ節であることが多いのですが、リンパ節が腫れる原因には自然と治るものから治療が必要なものまでいろいろあります。症状ごとにどのような病気が考えられるのか、どのような時に病院への受診が必要になるのかを紹介します。

足の付け根・股関節にしこりがある症状の特徴・原因と治し方

足の付け根、股関節にしこりがあるものの、そのほかに症状はなく、触ってみて初めて気づくような状態を指します。この触れている構造物は、鼠径リンパ節と考えられます。

鼠径リンパ節

リンパ節はサイズが直径1cm未満であれば正常範囲内であり、しこりを見つけた場合にはどれくらいの大きさかを確認しましょう。しこりが1cmを超えている場合には何かしらの要因で鼠径リンパ節が腫れていると考えられます。リンパ節が腫れる原因には感染症や膠原病、悪性腫瘍などがあります。感染症であれば感染部位の掻痒感や痛み、熱感などの随伴症状があることが多く、膠原病や悪性腫瘍であれば全身のリンパ節が腫れることが多く見られます。また、悪性腫瘍であればサイズが大きくなるにつれてリンパ節がゴツゴツと表面が不整で硬くなる傾向があります。リンパ節は首やわきの下などにも触れるため、他のリンパ節が腫れているか、足の付け根のしこりの性状はどうか、時間経過とともに変化があるか確認してみましょう。
リンパ節は風邪などのウイルス感染症でも腫れることがあるため、鼠径部のしこりを見つけた場合には強い痛みなどがなく、大きさが2cm未満と小さければ1週間程度様子を見てみましょう。1週間程度の経過でしこりの大きさが小さくならない場合には内科を受診してください。もし、痛みが強い場合やサイズが大きい場合にはすぐに受診しましょう。

足の付け根にしこりがあって押すと痛い・膿が出る症状の特徴・原因と治し方

足の付け根にしこりがあって押すと痛い、サイズも大きく痛みも強いなどの状態が当てはまります。

リンパ節炎

このような場合、感染症に伴うリンパ節炎などが疑われます。耳の後ろや首のリンパ節も腫れており、足の付け根に比べて痛みが強い場合には伝染性単核球症や急性上気道炎などが原因と考えられ、発熱やのどの痛みなどの症状が軽ければ市販の風邪薬などでよくなることが期待できます。他にも、結核などの難治性の感染症や、菊池病や川崎病などの膠原病、梅毒やクラミジアなどの性感染症、腫れているリンパ節から比較的近い部位における蜂窩織炎のような皮膚・軟部組織感染症の可能性も考えられます。また、鼠径ヘルニアでもしこりという形で見つかる場合があります。これらの病気は自然に治ることは少ないため、1週間程度の経過でしこりの大きさが小さくならない場合には一般内科を受診してください。症状が改善しない場合には、内科を受診しましょう。

粉瘤(ふんりゅう), 化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)

また、皮膚にできものがある、膿が出るなどの症状がある場合には粉瘤(ふんりゅう)や化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)が疑われます。このような場合には、皮膚のすぐ下にしこりがあり、発赤や皮疹などの皮膚所見がみられます。清潔で風通しが良い状態にすれば自然に治ることもありますが、抗生剤の内服や膿を出す手術が必要になることも多いため、徐々に悪化する場合には早めに皮膚科を受診しましょう。

足の付け根にしこりがあるが痛くない症状の特徴・原因と治し方

足の付け根に、痛みのないしこりがある状態を指します。
このような場合、膠原病やリンパ腫、がんの転移などが疑われます。膠原病にはシェーグレン症候群や若年性特発性関節炎など様々疾患がありますが、膠原病ではリンパ腫の腫脹以外に寒いところで手先が白くなったり、全身性に点状の皮疹が出たり、関節に痛みが出たりと随伴症状が出現します。リンパ腫やがんの転移などの悪性腫瘍に関わるものの場合にはリンパ節が2cm以上と大きくなり、石のように硬いものが触れます。随伴症状としてはだるさや寝汗、体重減少など非特異的な症状しか出ないため、注意が必要です。
そのため、痛みのない足の付け根にしこりに気付いた際は2cm以上の大きさの場合、しこりがすごく硬い場合(炎症性のものではゴムボールぐらいの硬さ)、発熱や倦怠感などの全身症状を伴う場合、原因不明の体重減少がある場合には内科を受診してください。

女性の生理中に足の付け根にしこりができる症状の特徴・原因と治し方

生理期間中に足の付け根のしこりが目立つようになる、痛みを感じるなどの症状が当てはまります。
このような場合、鼠径ヘルニアやNuck管水腫、子宮内膜症などが考えられます。これらの疾患は腹圧で押し出されるなどして鼠径部にできた異常な空間に組織が入り込んだり水がたまったりして見られるもので、痛みが軽度の場合には市販の鎮痛薬で痛みの軽減させることができます。しかし、根本的な解決には異常な空間を手術などでふさぐ必要があり、生理ごとに繰り返す場合には、産婦人科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「足の付け根のしこり」の症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

足の付け根のしこりが2cm以上の場合は、内科へ

足の付け根に触れたしこりが2cm以上ある場合には、悪性リンパ腫やがんのリンパ節転移などの悪性腫瘍が疑われます。がんの種類により血液内科、外科、泌尿器科、産婦人科など受診するべき専門の診療科が異なります。まずは、CTなどが撮影可能な内科を受診して診断を受けるようにしてください。

「足の付け根のしこり」が特徴的な症状の病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「足の付け根のしこり」がてきる症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)

足の付け根のしこりが初期症状となる病気として鼠径ヘルニアが挙げられます。
鼠径ヘルニアは、腹部臓器(主に小腸)が腹腔内から鼠径のところに逸脱する疾患で、生理的に弱い(筋肉の切れ目や腹膜が薄いところ)に腹圧がかかることなどのために、腹膜が押し出されることで発症します。しこりがあるという段階では経過観察で問題ありませんが、だんだんと大きくなって見た目でも盛り上がってしまったり、ヘルニア門(ヘルニアの入り口部分)が狭い場合に絞扼(飛び出した腸がヘルニア門で締め付けられる)を起こしてしまったりすることがあり、その場合には手術が必要となります。仰向けになるとしこりがなくなる場合もあり、早期では診断がつかないこともありますが、大きなしこりでは癌などの疑いもあるため、しこりが2cm以上に大きくなった場合には一般内科で診断を受けるようにしましょう。

「足の付け根にしこり」があるときに飲んでも良い市販薬は?

市販薬の制限は特にありませんが、足の付け根にあるしこりを小さくするような薬はありません。発熱や痛みがある場合には解熱鎮痛薬を服用すると多少は効果があるかもしれません。あくまでも症状に合わせた使い方になりますので、市販薬の使用には限界があるでしょう。症状が改善しない場合には、医療機関を受診することをお勧めします。

「足の付け根のしこり」で考えられる病気と特徴

「足の付け根しこり」症状から医師が考えられる病気は21個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

感染症によるリンパ節炎

  • 梅毒
  • クラミジア
  • 伝染性単核球症
  • HIV感染症
  • 単純ヘルペス
  • トキソプラズマ症
  • 膠原病/自己免疫性疾患によるリンパ節炎

    • 全身性エリテマトーデス
    • サルコイドーシス
    • 川崎病
    • 若年性特発性関節炎
    • 菊池病

    皮膚・軟部組織感染症

    • 蜂窩織炎
    • 猫ひっかき病
    • 粉瘤
    • 化膿性汗腺炎

    悪性腫瘍に関連したもの

    • 悪性リンパ腫
    • 大腸癌
    • 卵巣がん
    • 子宮体癌
    • 腎がん
    • 尿路上皮癌

    まとめ

    足の付け根のしこりの多くはリンパ節の腫脹ですが、リンパ節が腫れる原因にもはさまざまなものがあることを説明いたしました。また、足の付け根のしこりだけの症状であっても、しこりが大きい場合には注意は必要であって。悪性腫瘍を発症しているサインであることも考えられます。全身の他の場所にもしこりがある場合やしこりが2cm以上と大きい場合には、医療機関に受診するようにしましょう。

    この記事の監修医師

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