目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 症状から調べる
  3. 皮膚・爪・髪
  4. 「痣が消えない」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「痣が消えない」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

痣が消えないとき、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?ここではMedicalDoc監修医が痣が消えない症状で考えられる病気や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

楯 直晃 医師

監修医師
楯 直晃 医師(リアラクリニック)

プロフィールをもっと見る
2013年 熊本大学病院 初期臨床研修医
2015年 熊本大学病院 総合診療専門修練医
2018年 国立熊本医療センター 救急集中治療部医員
2020年 リアラクリニック名古屋院院長
2021年 メディカル・テート株式会社 CEO

救急科専門医、抗加齢医学専門医、プライマリケア認定医、内科認定医、産業医、健康スポーツ医、医療経営士、禁煙サポーター、日本産婦人科学会会員、厚労省緊急避妊研修修了、厚労省緩和ケア研修修了

「痣が消えない」で考えられる病気と対処法

痣(あざ)が消えない症状で考えられる病気には、生まれつきの痣である扁平母斑や蒙古斑、加齢や刺激で発生する老人性色素沈着(シミ)など、皮膚の色素が関連するものがイメージされるのではないでしょうか。
しかし、肝臓の病気になると肌が黄色くなりますし、白血病など血液の病気になると出血しやすくなって内出血を起こして青あざが見られるなど注意すべき病気も原因として考えられます。症状から考えられる病気と対処法をご紹介します。

痣が消えない症状の原因と治し方

痛みを伴う赤い痣が、足や腕、手指に見られることが多く、薄い赤色の丸い形のあざで、12週間ほど症状があったのち消えることがあります。このような場合、ベーチェット病などが疑われます。

ベーチェット病

ベーチェット病とは全身の炎症性疾患です。多くは20-40歳に発症しますが男女差はありません。男性の方が重症化しやすいとされています。
原因は不明ですが、遺伝的素因や感染、環境因子による影響などが考えられています。口内炎ができる、皮膚に赤い痣やニキビに似た皮疹ができる、陰部に痛みを伴う潰瘍ができる、目が痛む、充血するなどの症状が現れます。目の症状は失明に至ることもあり早めの治療開始が大切です。
自分でできる対処法は、全身の保湿に気をつけ、禁煙をすることです。歯磨きなどで口腔内を清潔に保つことや虫歯の治療をすることも重要です。しかしこれらで治るわけではないので、疑わしい場合は、内科や膠原病内科を受診し治療を開始しましょう。

茶色い痣が消えない症状の原因と治し方

茶色い痣が消えない場合には扁平母斑レックリングハウゼン病、老人性色素斑、炎症性色素斑などが疑われます。

扁平母斑

扁平母斑は薄い茶色をした痣の一種で、生まれつきのものと、思春期前後から目立ってくるものとがあります。
数mm〜数十cm程度の大きさで、手のひらと足の裏を除き身体中のどこでも発症します。扁平母斑は悪性化することは少ないのですが、見た目が気になる場合は皮膚科を受診しましょう。

レックリングハウゼン病

レックリングハウゼン病は、1.5cm以上の茶色いシミが6個以上ある場合に疑われます。この病気は遺伝子異常から発生する病気で、神経線維腫という柔らかい良性の皮膚腫瘍や、骨や脳神経に異常が見られることがあります。皮膚科を受診したほうがいいでしょう。

老人性色素班(シミ)・炎症後色素沈着

また、中年期以降によく見られる茶色いあざのような症状としては、老人性色素班(シミ)、炎症後色素沈着などがあります。
老人性色素班は加齢や日焼けなどによりメラニン色素が貯留した状態で、多く見られます。
炎症後色素沈着は、何かにかぶれた後や火傷をした後など炎症を起こした後に色素沈着を起こすものです。老人性色素斑に対する対処法は、紫外線対策を行って日焼けを予防し、肌の再生を促すビタミンCを多く含む食品を摂取することなどです。

いずれの病気も治療の必要はありませんが、見た目が気になる場合は皮膚科で相談してください。

黄色い痣が消えない症状の原因と治し方

黄色い痣が消えない場合は、黄疸の症状である可能性があります。このような場合には、肝臓の病気などが疑われます。

黄疸

黄疸は、血液中のビリルビンという色素が増えた状態で皮膚が黄色くなります。目の白目の部分が黄色くなるため、疑わしい場合はまず白目の色を確認しましょう。肝臓の機能が低下すると、黄疸の原因となるビリルビンという色素がうまく代謝されず症状が現れます。
肝臓が炎症を起こす肝炎という病気になると、黄疸や発熱、頭痛、皮膚のかゆみ、尿が褐色になる、全身倦怠感などの症状が現れることもあります。肝臓の病気の原因には、ウイルスによる感染や薬剤性、アルコールの過剰摂取などがあります。肝臓の病気の予防にはアルコールの過剰摂取を控えることや、ワクチン接種、肥満を解消することなどが重要です。肝臓の病気は進行すると肝がんになることもあるので、疑わしい場合は早めに内科を受診しましょう。

赤い痣が消えない症状の原因と治し方

赤い痣が消えない場合には、単純性血管腫多形滲出性紅斑などの可能性が考えられます。

単純性血管腫

単純性血管腫とは、生まれつきある境界が明瞭な平坦な赤いあざです。毛細血管の異常が原因と言われています。大人になっても自然に消えることはなく、体が大きくなるのに比例してあざも大きくなる傾向にあります。
顔面や頭にできた単純性血管腫は成人になると盛り上がってくることがあるため、その前に皮膚科や形成外科を受診し、治療を開始したほうがいいでしょう。また、まぶたにできた単純性血管腫は視力障害をきたす可能性があるのでできるだけ早く治療をしましょう。

多形滲出性紅斑

多形滲出性紅斑は、生まれつきではなく、ヘルペスウイルスやマイコプラズマなどの感染症に対するアレルギー反応や、薬剤、膠原病などを原因として発症する病気です。赤く盛り上がったまだら状のあざが多数できることが特徴です。この症状は2-4週間続くことがあり、治った後も再発することがあります。多形滲出性紅斑自身は治療が必要なものではありませんが、正確な診断には専門家の診察を受けることが望ましいです。症状が気になる場合は内科や皮膚科を受診した方がいいでしょう。

青い痣・青紫の痣が消えない症状の原因と治し方

青い痣や青紫の痣が消えない場合は、蒙古斑太田母斑などの可能性が考えられます。

蒙古斑

蒙古斑は大部分の赤ちゃんのお尻から背中にかけて見られる青い痣で、10歳前後までには大部分が消失しますが、約3%が成人になっても残るといわれています。多くは直径2cm程度の円形の青いあざです。青い痣は色素細胞が皮膚の深いところに集まることによりできます。
蒙古斑は日焼けをすると濃く見えるので、日焼けをしないよう気をつけましょう。見た目が気になる場合は皮膚科を受診しましょう。レーザー治療などを行う可能性があります。

太田母斑

太田母斑は、額や目の周り、ほお、鼻などにできることが多い青紫や灰紫青色の痣です。生後数週間程度で出現する早発型と、思春期以降に出現する遅発型があります。薄い褐色の小色素斑が混在します。シミやそばかす、目の下のクマと間違われることも多いです。こちらも見た目が気になる場合は皮膚科を受診しましょう。

打撲などぶつけた箇所の痣が消えない症状の原因と治し方

打撲などぶつけた箇所の痣が消えない場合には、血管炎などの可能性も考えられます。
通常、打撲をすると皮膚の下で毛細血管が破れてしまい皮膚の下で血液が広がり、滞った血液が肌表面に現れることで青あざができます。打撲をした場合は、直後は氷水などで冷やして血管を収縮させることにより内出血を抑え、1-2日経った後は逆に温めて血行を促進すると酸素や栄養が肌に行き届き、早めに痣が消えやすいと考えられています。
しかし、打撲してから1週間以上たっても消えない場合は、血管炎など他の病気も検討されます。血管炎は、血管が炎症を起こす病気で、腎臓や心臓、肺などの血管障害を起こすと腎不全や高血圧、肺炎などさまざまな症状が現れます。皮膚のあざに加えて、発熱、頭痛、倦怠感、体重減少などの症状がある場合は内科を受診しましょう。

ぶつけていないのに痣ができて消えない症状の原因と治し方

ぶつけた覚えがないのに青い痣や点のような出血班が出ることがあります。このような場合、ビタミン不足や薬の副作用の可能性の他に、白血病の可能性も考える必要があります。
白血病は、血液のがんの一種で、正常な血液が作られなくなる病気です。血液中にある止血作用のある血小板が減ることにより、出血しやすくなり痣ができたり消えなかったりする症状が現れます。他には、顔色が悪くなり立ちくらみがしたり、感染症にかかりやすくなる、鼻や歯肉から出血しやすくなるなどの症状が現れることもあります。白血病は、血液細胞の中の遺伝子が、何らかの理由で傷ついてしまうことで起こると考えられています。適切な治療が行われないと、感染症や出血により命に関わる注意の必要な病気です。自分で対処することはできないため、疑わしい症状があればすぐに内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「痣が消えない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

左右対称でない6mm以上の大きさのあざがある場合は、皮膚科へ

茶色や黒色で、左右対称でない、周りがギザギザしている、濃淡が混じっている、6mm以上の大きさである場合は、メラノーマという病気の可能性が考えられます。
メラノーマは悪性黒色腫とも呼ばれ、皮膚のメラニンという色素を作る細胞ががん化した病気です。足の裏や手のひら、手足の爪にできることが多いのですが、胸や腹、背中、顔面など様々な場所に発生します。メラノーマは非常に悪性の高いがんで、早期の治療が必要です。少しでも疑わしい場合は皮膚科を受診しましょう。

「痣が消えない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「痣が消えない」症状に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

再生不良性貧血

再生不良性貧血とは、何らかの原因で血液を作る造血管細胞が障害され赤血球、白血球、血小板が減少してしまう病気です。
皮膚の症状としては、皮膚に点状の出血や、紫斑と呼ばれる紫色のあざができます。他には貧血によるめまいや、頭痛、発熱、鼻血が出やすくなるなどの症状を伴うこともあります。原因は不明ですが、免疫システムが関連しているのではないかと考えられています。痣だけではなく複数の症状から見られる場合は、早めに内科を受診した方がいいでしょう。

「痣が消えない」ときに使用しても良い市販薬は?

原因が判明していて、症状を改善する目的なら市販薬の使用が可能でしょう。
打撲後の内出血などによるあざに対しては、市販薬を使用しても良いかもしれません。市販薬の例としては、アットノン「アオキュア」などがあり、これは血行促進作用で皮膚の新陳代謝を促進されます。生まれつきのあざや、病気により発生するあざへの対処は市販薬では効果が期待できないため、医療機関を受診した方が良いでしょう。

「痣が消えない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「痣が消えない」症状についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大人のあざを早く治す方法はありますか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

あざの種類にもよりますが、打撲による青あざの場合、早く治すには受傷直後はしっかり冷やし、1-2日後からは温めて血行を促進すると早く治ると言われています。

子供の痣が一週間以上消えない場合、痛くなくても病院にかかるべきでしょうか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

子どもの痣が一週間以上消えない場合は、痛くなくても小児科を受診した方がいいでしょう。
血を止める働きをする血小板が減少する血小板減少性紫斑病や白血病、血液の凝固因子が減少してしまう血友病、免疫システムと関係があると考えられているアレルギー性紫斑病などであれば、早めに治療する必要があります。

痣がなかなか消えない症状は病気の可能性もありますか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

1ヶ月程度も痣が消えない場合は、血管炎や白血病、肝臓病の可能性が考えられるため、内科への受診を検討しましょう。
通常、打撲による痣は通常1-2週間で改善します。

まとめ

消えない痣は、生まれつきのもので健康上心配ないものも多いのですが、なかには血液や血管の病気や肝臓病、がんによるものなど放置しては危険な病気が原因である可能性もあります。症状が改善しない場合には、医療機関を受診し、原因を突き止め、早めに対処する方がいいでしょう。

「痣が消えない」症状で考えられる病気と特徴

皮膚科の病気

内科の病気

皮膚の病気であることが多いのですが、全身的な病気の症状の一つとして現れることもあるため、注意が必要です。

「痣が消えない」症状と関連のある症状

「痣が消えない」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 痣が痛む
  • 痣がかゆい
  • 痣が増える
  • 打ち身
  • 鼻血が出やすい
  • 歯茎から血が出やすい

「痣が消えない」症状の他に、これらの症状がある場合も「白血病」「再生不良性貧血」「ベーチェット病」「扁平母斑」「肝臓病」などの疾患の可能性が考えられます。
複数の症状が見られる場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

【参考文献】
・日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/Behcet%27s_disease_GL.pdf
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa21/q07.html
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa34/s1_q04.html
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa21/q14.html
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa12/q02.html
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa12/q03.html
・難病情報センター ベーチェット病
https://www.nanbyou.or.jp/entry/187
・肝炎情報センター 急性肝炎
http://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/010/kyuusei.html

この記事の監修医師