「足が臭い」原因はご存知ですか?医師が男女別に徹底解説!
足が臭い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
楯 直晃 医師(リアラクリニック)
2015年 熊本大学病院 総合診療専門修練医
2018年 国立熊本医療センター 救急集中治療部医員
2020年 リアラクリニック名古屋院院長
2021年 メディカル・テート株式会社 CEO
救急科専門医、抗加齢医学専門医、プライマリケア認定医、内科認定医、産業医、健康スポーツ医、医療経営士、禁煙サポーター、日本産婦人科学会会員、厚労省緊急避妊研修修了、厚労省緩和ケア研修修了
「足が臭い」症状で考えられる病気と対処法
知人の家で靴を脱いだとき、飲食店などで靴を脱いだとき、ふと気になるのが自分の足の匂いですよね。自分では気づいていないうちに周りに不快感を与えているのでは?と不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は「足が臭い」症状について、何が原因で匂うのか、足が匂うときの対処法について考えていきましょう。
足が臭い症状で考えられる原因と治し方
足のイヤな匂いは、足の皮膚の常在菌が足から出る汗や皮脂、古い角質、垢(アカ)などを分解することが原因になります。分解を行うと酢酸やイソ吉草酸などの物質が発生して「足が臭い」といったことが起こります。中でもイソ吉草酸は独特の匂いを持つといわれ、人に不快感を与える匂いのひとつです。毎日きちんと足を洗い、清潔に保っていても匂いが気になる場合は、水虫や足蹠多汗症などの病気が原因であることも考えられます。匂いの原因が病気である場合は、治療によって改善される可能性もありますので、一度皮膚科で診察・治療されることを検討してください。
男性で足が臭い症状で考えられる原因と治し方
男性は女性と比べて皮脂の分泌量が多いため、汗をかくと皮脂の分解により汗が臭いやすくなります。全身の中でも足は特に汗をかきやすい部位です。足の裏には多くの汗腺があるため、多い人では1日に両足でコップ1杯分もの汗をかきます。足は靴下や靴で覆われているため、大変蒸れやすく、汗をこまめに拭き取りにくい場所になります。
また男性の場合、仕事で一日中革靴を履いている方も多く、通気性の悪い革靴は足が蒸れやすくなります。こまめに汗を拭き取ったり、できるだけ靴下や靴を履き替えることをおすすめします。
女性で足が臭い症状で考えられる原因と治し方
女性の場合においても、革靴やパンプス、ブーツなど通気性の悪い靴を長時間履くことにより、足が蒸れて匂いの原因になっている可能性があります。ストッキングやタイツなども通気性が悪いため、蒸れやすくなります。また足は、汗や古い角質などの汚れが溜まりやすく、指の間や爪の中にも垢や汚れが溜まり雑菌が繁殖しやすい場所です。足の爪は短く切り揃えたり、抗菌作用があるストッキングを使用したり、靴下でも5本指に分かれたものを履くと、指の間の汗を吸収するので足の匂いを改善するひとつの方法になるでしょう。
子供で足が臭い症状で考えられる原因と治し方
子供は大人に比べて新陳代謝が活発であることから、体温が高く、よく汗をかきます。そのため毎日同じ靴で長時間生活していたり、足がしっかりと洗えていない場合、足の匂いの原因になることが考えられます。匂いのことを大人が気にしすぎると子供が傷ついてしまうこともあるため、子供の気持ちを考えつつ、フォローしてあげるのが良いでしょう。しかし足裏にかゆみ等の異常な症状がみられる場合は、病気の可能性もありますので、早めに皮膚科へ受診するようにしてください。
足が臭い症状とストレスで考えられる関係と治し方
足が臭くなる原因のひとつに汗はありますが、人間が汗をかくにはさまざまな理由があります。体温を下げるための汗や辛いものを食べた時にかく汗、緊張や不安といったストレスによりかく汗(精神性発汗)もあります。精神性発汗は脇や手のひら、足の裏に短時間かく汗のことをいいます。これらの汗は誰しもがかく汗であり、一時的なものであれば全く問題ありません。汗をこまめに拭いたり、足を清潔に保つことで足の匂いは改善されるでしょう。しかし、もし何もしていないのに大量の汗をかくといった場合には、自律神経の乱れなどが疑われ、足の匂い対策とあわせて別の治療が必要になってくることもあります。
すぐに病院へ行くべき「足が臭い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
足の裏から大量の汗が出る場合は、皮膚科へ
体調に関係なく、足の裏から大量に汗が出る病気に足蹠多汗症があります。大量の汗によって雑菌の繁殖が促され、匂いの原因になります。足蹠多汗症の原因は、はっきりと解明されていませんが、自律神経や精神的緊張などによるものと考えられています。抗コリン薬や自律神経調整薬、漢方薬などの内服薬の他に、外用薬、神経ブロック療法などの治療があります。季節に関係なく常に足に汗をかいていたり、靴下が湿っているなどにより匂いが気になる方は、皮膚科に相談してみましょう。
「足が臭い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「足が臭い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
水虫(足白癬)
水虫とは、白癬菌と呼ばれるカビが、足などの皮膚に感染して起こる病気です。水虫になる主な原因は、水虫に感染している人との、スリッパやバスマットなどの共有です。症状は、かゆみや足の指の間や足裏の皮が剥ける、皮膚の乾燥やひび割れなどがみられますが、水虫を放置すると、足から特有の匂いがします。白癬菌は高温多湿な環境を好むため、蒸れを防いだり、足を綺麗に洗うことで感染を防ぐことができます。水虫の治療には、カビの増殖を抑える抗真菌薬の外用や、症状次第では内服薬が必要な場合もあります。水虫になってしまった場合は、周りの人にうつさないためにも、早めに皮膚科を受診するようにしてください。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
掌蹠膿疱症とは、手のひらや足裏に膿が溜まった小さな膿疱が多数みられる病気です。明確な発症メカニズムはわかっていませんが、扁桃炎や歯周病、ストレス、アレルギー、長期にわたる喫煙、金属などが発症に関与していると考えられています。掌蹠膿疱症は、足の水虫と似た症状がみられることもあり、顕微鏡の検査が必要な場合もあります。掌蹠膿疱症の治療には、軽症ならば、ステロイド薬やビタミン剤の外用を行います。症状の程度によっては、内服薬や紫外線照射、生物学的製剤の注射などを行う場合もあります。
点状角質融解症
点状角質融解症は、コリネバクテリウム菌という細菌が足裏に住みつくことにより、足がふやける、剥ける、足から悪臭を発するなどの症状があります。この病気の特徴は、足裏の皮膚が点状に虫食いのようにみられます。高温多湿の環境に発症しやすく、通気性の悪い靴や靴下は避けるなどの対処が必要です。治療としては、皮膚科で抗菌薬の外用を用いて治す方法が有効です。
「足が臭い」症状の正しい対処法は?
市販の消臭剤や制汗剤にはたくさんの種類があります。脇やからだ用と記載されたものもありますが、足独特の臭いを消すためにも、足用の商品を使用すると良いでしょう。
またスプレータイプのものよりクリームタイプやスティックタイプの商品を選ぶことをおすすめします。クリープタイプなどの方が指の間など細かい部分にも直接塗り込めるため、効果を感じやすいとされています。また医療機関において、内服・外服薬だけでなく、イオントフォレーシスといった治療を行なっているところもあります。
「足が臭い」症状の正しい予防法は?
毎日同じ靴を長時間履いていると、雑菌が繁殖・蓄積されていきます。使用する靴はローテーションして連日履かない方が良いでしょう。使用していない間は消臭スプレーや脱臭乾燥剤などで雑菌の繁殖を防ぐようにしてください。掃除などに使われる重曹は消臭・吸湿効果があるので、消臭対策として使えます。また靴を日光に当てて殺菌する簡単な方法もあります。
足の匂いが気になる場合は、市販の薬局などで売られている足用のソープや石鹸をして、洗い方は指の間や爪までしっかりと洗うようにしてください。足裏に溜まった角質や垢も匂いの原因になるため、スクラブやピーリング剤を使用したり、かかと用のやすりなどを使用して角質ケアするのもおすすめです。
「足が臭い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「足が臭い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
しっかり足を洗っても匂いが気になるのは何かの病気でしょうか?
楯 直晃 医師
足を清潔に保っていても匂いが気になる場合、何らかの病気の可能性も考えられます。お近くの皮膚科を受診することを検討してください。
足が臭い症状は遺伝や体質と関係があるのでしょうか?
楯 直晃 医師
匂いの原因となる汗をかきやすいかどうかという面に関しては、遺伝や先天的なものかは明らかにされていません。汗をかくことにより雑菌が繁殖し足が臭い症状が起こりますので、まずは足を清潔に保つことが重要になってきます。
いつも足が臭くて気になるのは、何科の病院で相談できますか?
楯 直晃 医師
足の匂いにお困りの方は、一度皮膚科へ相談されるといいでしょう。
足の匂いを消す方法は、何が一番効果的ですか?
楯 直晃 医師
足の匂いを消すには、汗を抑えること、そして消臭スプレーや脱臭乾燥剤などで匂いを抑えることです。匂いを抑える消臭剤などの商品は数多く売られているため、手がつけやすく効果を感じるためにも一度をお使いになってみるのもいいでしょう。
まとめ
足や靴などの足元を清潔に保つことが、一番の匂い対策になります。清潔に心がけていたり、洗っても匂いが気になる場合は、病気が潜んでいる可能性もありますので、できるだけ早く皮膚科へ相談するようにしてください。
「足が臭い」で考えられる病気と特徴
「足が臭い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
多くの場合はセルフケアで対処できますが、皮膚科で専門的な治療を受けないと改善しない症状や病気もあります。
「足が臭い」と関連のある症状
「足が臭い」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
「足が臭い」の他に、これらの症状がある際は、「足白癬」「接触皮膚炎」「掌蹠多汗症」「点状角質融解症」「乾癬」などの疾患の可能性が考えられます。清潔さを保つように心がけていたり、洗っても匂いが気になる場合は早めの医療機関への受診を検討しましょう。