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汗が臭い原因は何?病気の可能性は?医師が徹底解説!

汗が臭うとき、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?ここではMedicalDoc監修医が汗が臭い症状で考えられる病気や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

楯 直晃 医師

監修医師
楯 直晃 医師(リアラクリニック)

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2013年 熊本大学病院 初期臨床研修医
2015年 熊本大学病院 総合診療専門修練医
2018年 国立熊本医療センター 救急集中治療部医員
2020年 リアラクリニック名古屋院院長
2021年 メディカル・テート株式会社 CEO

救急科専門医、抗加齢医学専門医、プライマリケア認定医、内科認定医、産業医、健康スポーツ医、医療経営士、禁煙サポーター、日本産婦人科学会会員、厚労省緊急避妊研修修了、厚労省緩和ケア研修修了

「汗が臭い」症状で考えられる病気と対処法

汗が臭い症状は、単に汗が多い体質であることや加齢に伴って現れる加齢臭である場合もありますが、胃腸や肝臓、腎臓など内臓の不調が原因となっていることも少なくありません。汗は体内から分泌されるものなので、体に不調があると汗の臭いとなって現れることがあるのです。放置せず原因を探り、早めに対処することが大切です。

脇汗が臭う場合の原因と治し方

脇汗が臭う場合、腋臭症という病気の可能性が考えられます。

腋臭症(わきが)

腋臭症とは、脇の下が悪臭を放つ状態のことです。汗そのものは無臭ですが、汗に含まれる脂質やタンパク質、アンモニアなどの成分が皮膚表面の常在菌に分解されることでにおいが発生します。
脇毛は汗を留める役割があるため、脇の下の湿度が高まりさらににおいが増加してしまうことがあります。腋臭症の原因は、遺伝や、性ホルモン、脇毛の量、ストレスなどが考えられています。
対処法は、禁煙や生活リズムの改良など生活習慣を見直すこと、脇毛を処理する、市販の制汗剤を使用することなどです。それでも臭いが気になる場合は形成外科、皮膚科を受診しましょう。

汗がすっぱい、甘酸っぱい臭いの場合の原因と治し方

汗がすっぱい臭いであったり、甘酸っぱい臭いであったりすることがあります。この場合、糖尿病の可能性が疑われます。

糖尿病

糖尿病はインスリンというホルモンの不足や作用低下により、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気です。糖尿病になると体の中にケトン体という物質が作られますが、このケトン体が甘酸っぱく果物が腐ったような匂いがします。糖尿病が進行すると汗にもケトン体が混じってきて汗が甘酸っぱいような臭いを放つようになります。
その他には、喉が乾く、尿の回数が増える、体重が減る、疲れやすくなるなどの症状が現れることがあります。
対処法は、汗をかいたらすぐ拭き取る、バランスの良い食事をとる、運動をするなどがありますが、疑わしい場合はすぐに内科、糖尿病内科を受診しましょう。

汗から腐敗臭がする場合の原因と治し方

汗から腐敗臭、つまり腐ったような臭いがする場合は、胃腸の病気の可能性が考えられます。
胃炎胃潰瘍などになると食べ物を消化する機能が低下し、食べ物が体内に長く留まることになり腐敗臭が発生します。
対処法は、肉類は消化されにくいため、肉類のとりすぎに気をつけバランスの良い食事を心がけることです。コーヒーや香辛料などの刺激物を控え、飲酒、喫煙を避けることも重要です。 症状が良くならない場合は内科を受診しましょう。

汗からアンモニア臭がする場合の原因と治し方

汗からアンモニア臭がする場合は、肝機能が低下している可能性があります。
肝臓は、代謝や解毒などの役割を担っています。食事により摂取したタンパク質は分解されるときにアンモニアが発生します。通常アンモニアは肝臓により尿素に分解され、尿となって体外へ排出されますが、肝臓の機能が低下するとアンモニアの分解ができず、一部が血液中から汗に混じりアンモニア臭が発生します。
対処法は、お酒を飲みすぎない、食べ過ぎを控えるなど肝臓に負担がかかる生活習慣を見直すことです。肝臓の病気の多くは進行してから初めて症状を自覚します。少しでも疑わしい場合は内科・消化器内科を受診しましょう。

汗をかくと加齢臭がする場合の原因と治し方

汗をかくと加齢臭を感じる症状のことを指します。加齢臭とは年齢を重ねるうちに出てくる体臭のことで、青臭い、ろうそく、古い本のような臭いなどと表現されます。
加齢臭が発生するのは、皮脂腺から分泌される皮脂に脂肪酸が増加し、それが酸化するのが原因と言われています。40歳をすぎた頃から、酸化を抑制する力が低下し、症状が現れやすくなります。
飲酒、喫煙、ストレスのほか、動脈硬化や生活習慣病なども加齢臭の原因です。対処法は、皮脂腺の多い耳の後ろや首の後ろ、頭皮などの汗や皮脂をこまめに拭き取り清潔に保つことです。また、肉類など脂っこい料理は食べ過ぎないよう食習慣を心がけましょう。30歳代以下の方で加齢臭を強く感じる場合は、生活習慣病などの病気にかかっている可能性がありますので、早めに内科を受診するといいでしょう。

自分の汗の臭いに自分で気づくほど臭い場合の原因と治し方

ふとしたときに、自分の汗の臭いに自分で気づくほど臭く感じることがあります。自分の汗の臭いは、鼻が慣れているため通常は他人より気づきにくいものですが、自分で気づくほど臭う場合はかなり臭いが強く体調に異変が起きている可能性もあります。
アンモニアのような臭いがすれば、肝臓が弱っていたり疲れやストレスが溜まっている、甘酸っぱいような臭いであれば糖尿病や栄養不足、加齢臭のような臭いであれば脂質のとりすぎや動脈硬化が原因の可能性があります。原因によって対処法は異なりますが、栄養バランスの良い食事をとることと適度な運動と十分な睡眠は全てに必要なものと言えます。症状が良くならない場合は内科を受診しましょう。
また、実際の臭いはそんなに強くないのに、自分の体臭が過剰に気になって非常に臭く感じる病気に自臭症というものがあります。自臭症の症状には、実際は臭っていないのに臭っているように感じる「幻臭」や、自分は臭いと思われているのではないかと不安になってしまうなどがあります。心当たりがある人は精神科、心療内科を受診しましょう。

自分の汗の臭いに気づかない場合の原因と治し方

反対に、自分の汗の臭いに気づかないこともあります。通常、自分の体臭には気づきにくいものです。服を脱いでその臭いを確認する、汗や皮脂を指でぬぐい臭いを嗅いでみるなどの方法を試してみるといいでしょう。
もし自分の体臭だけでなく、食べ物やタバコの匂いなど他のにおいも気づかないのであれば、においの感覚が弱い、においを感じないという嗅覚障害になっている可能性があります。嗅覚障害に最も多い原因は副鼻腔炎です。

副鼻腔炎

副鼻腔炎とはウイルスや細菌、アレルギーなどにより副鼻腔の粘膜に炎症が起こる病気で、鼻づまり、鼻水が出る、膿がたまる、匂いがわからなくなるなどの症状が現れます。副鼻腔炎が慢性化して3ヶ月以上症状が続くものを慢性副鼻腔炎といい、鼻茸が発生したり、嗅覚障害を伴うことが多いことが知られています。疑わしい場合は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「汗が臭い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

汗から甘酸っぱい匂いがする場合は、内科へ

汗から甘酸っぱい臭いがする場合、糖尿病の可能性が疑われます。糖尿病は、汗や尿から甘い臭い、甘酸っぱい臭いがする、足が痺れる、疲れやすい、喉が渇く、多尿などの症状が現れることがあります。糖尿病を治療せずに放置すると、心臓病、失明、足の壊疽による切断など恐ろしい合併症を引き起こします。疑わしい症状がある場合は内科をすぐ受診しましょう。

「汗が臭い」が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「汗が臭い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肝機能障害

肝機能障害とは、何らかの原因で肝臓の機能が低下している状態を指します。
肝臓は、食べ物から栄養を吸収するために必要な物質を作ったり、体内で発生した有毒物質を解毒し排出したりする役割を担っています。タンパク質を分解する際、アンモニアが発生しますが、肝臓の機能が低下しているとアンモニアがうまく解毒、排出されず汗に混じりアンモニア臭が発生することがあります。
他の症状としては、倦怠感食欲の低下皮膚のかゆみむくみ黄疸などが挙げられます。しかし肝臓は初期には自覚症状がないことが多く、健康診断で発見されることも少なくありません。
原因には、ウイルスや自己免疫疾患、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足、肥満などが挙げられます。
対処法は、肝臓の解毒作用を強めるアサリやシジミなどの貝類、タコやエビなどの食品を摂取する、脂質や糖質やアルコールは控えめにしてバランスの良い食事を心がける、適正体重を維持するなどです。疑わしい場合は、内科や消化器内科を受診し、自分の肝臓の状態を確認することをお勧めします。

生活習慣病

生活習慣病とは、食事や運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が原因で起こる病気一般を指します。病気としては動脈硬化症糖尿病高血圧症脂質異常症などがあり、がん脳血管疾患心疾患などの危険因子としても知られています。脂っこいものの食べすぎ、アルコールの飲みすぎや運動不足、喫煙などの生活習慣を続けていると血管中にコレステロールが蓄積され、皮脂の酸化が起こりやすくなり、ロウソクや古い本のような加齢臭が発生することがあります。加齢臭の原因は皮脂の酸化によるものなので、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEを含む食品を摂取すること、適度な運動を取り入れ、規則正しい生活を心がけることなどが大切と言えます。
汗が臭い以外に、疲れやすい、息切れがする、体重減少がみられる場合は糖尿病や心臓病など病気の可能性があります。内科を受診しましょう。

「汗が臭い」なときに飲んでも良い市販薬は?

汗が臭い症状が気になる場合、まずは原因を突き止め病気があれば治療を開始し、食生活をはじめとした生活習慣を見直すことが重要ですが、市販薬を使用してみるのも一定の効果が出ることもあります。腋臭症(わきが)が原因の場合、汗の分泌を減らす、皮膚の常在菌の殺菌が大切です。「防已黄耆湯」は多汗に効果のある漢方薬です。
制汗剤は汗が出るのを抑える制汗成分と殺菌成分が配合されているものが多く、手軽なスプレータイプや効果が高めのクリームタイプなど様々なタイプがあります。
汗を抑える制汗成分として最も効果が高いのが医療機関でも使われる塩化アルミニウムです。塩化アルミニウムは刺激が強く肌荒れを引き起こすため注意が必要です。肌に異常が現れた時は使用を停止しましょう。クロルヒドロキシアルミニウムは、塩化アルミニウムの改良版であり、肌の刺激が少なく制汗成分として一般的に使われています。さらに肌への刺激が少ない制汗成分はミョウバンです。ミョウバンは食品添加物にも使われるもので安全性が高いため、敏感肌の人などにおすすめです。ご自分の症状の強さと、肌の状態と相談しつつ選ぶといいでしょう。症状が良くならない場合、他の症状が現れた場合などは使用を中止し、医療機関を受診しましょう。

「汗が臭い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「汗が臭い」症状についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

女性と男性で「汗の臭い」の原因は違うのでしょうか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

一般に皮脂の多い男性の方が臭いが強いとされています。
女性ホルモンには汗を抑える役割があると言われており、それが関係していると考えられています。女性が閉経後に汗をかきやすくなるのは、女性ホルモンが低下するためだと言われています。

洗濯をしても衣類の汗のにおいが取れない場合はどうすればいいですか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

洗濯をしても衣類の汗の臭いが取れないほど臭いが非常に強い場合は、肝臓や腎臓の病気が疑われます。
肝臓や腎臓の働きが弱まると体内で発生する毒素を解毒したり体外に排出したりすることができず、汗からアンモニア臭が臭うことがあります。主な診療科は内科、消化器内科です。
対処法は、肉類など高タンパク質の食事を控えること、肝臓の働きを助けるオルニチンという成分を含む食品を積極的に摂取すること、汗をかいたらこまめに拭き取る、などです。それでも症状が良くならない場合は病気が進行しているか別の病気の可能性もありますので内科を受診して相談しましょう。

まとめ

汗が臭い原因は、加齢や汗が拭き取り切れていないこともありますが、中には肝臓や腎臓の病気、糖尿病など重大な病気の可能性もあります。臭いが対策しても続く場合や気になる場合、他の症状がある場合は医療機関を受診しましょう。

「汗が臭い」で症状で考えられる病気と特徴

「汗が臭い」症状から医師が考えられる病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

形成外科・皮膚科の病気

耳鼻咽喉科・精神科の病気

汗が臭くなる原因には、内臓の不調により汗の成分が変化することや、汗や皮脂の量が増えること、精神的なものなどが考えられます。

「汗が臭い」症状と関連のある症状

関連する症状

  • 汗がたくさん出る
  • 口が臭い
  • 尿が臭い
  • 体温が高い
  • 肌が脂っぽい
  • 息切れがある

「汗が臭い」の症状の他に、これらの症状がある場合も、「腋臭症」「自臭症」「肝不全」「糖尿病」「副鼻腔炎」「胃腸炎」などの疾患の可能性が考えられます。
汗が臭い場合や、他に症状が併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

【参考文献】
厚生労働省 生活習慣病

生活習慣病


日本形成外科学会 腋臭症
https://jsprs.or.jp/general/disease/sonota/wakiga/
糖尿病情報センター 糖尿病とは
https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html
日本消化器病学会ガイドライン NAFLDの患者さんはどのくらいいるのですか
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/nafld.html
日本臨床内科医会 糖尿病
https://www.japha.jp/doc/byoki/030.pdf

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