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「唾が飲み込めない」のはどんな病気が原因?対処法も医師が徹底解説!

「唾が飲み込めない」のはどんな病気が原因?対処法も医師が徹底解説!

唾が飲み込めない時、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

白井 沙良子

監修医師
白井 沙良子(医師)

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小児科医(日本小児科学会専門医)。慶應義塾大学医学部卒業。総合病院にて研修を修了し、現在はクリニックにて、様々な感染症やアレルギー疾患の診療、乳幼児健診、育児相談などを担当。オンライン医療相談、医療記事の執筆・監修、企業向けセミナーなども通じて「エビデンスに基づいた育児情報」を発信している。

「唾が飲み込めない」症状で考えられる病気と対処法

唾が飲み込めない・飲み込みづらいという経験は、程度の差はあれ、経験されたことのある方も少なくないでしょう。様々な原因が考えられますが「唾が飲み込めない」以外の症状に注目しながら、対処法や受診の目安を紹介していきます。

喉が痛くて唾が飲み込めない症状で考えられる原因と対処法

喉が痛いために、唾が飲み込めない・飲み込みづらい状態です。最も多いのは、ウイルスや細菌の感染症による咽頭炎や扁桃炎、喉頭炎です。特に扁桃炎や扁桃周囲膿瘍は、強い痛みを引き起こします。喉頭炎では声が枯れることもあります。
対処法ですが、ウイルスの感染による場合は、抗菌薬は効果がないため、基本的には時間経過にともなって症状が改善するのを待つことになります。市販の鎮痛剤などは、用法用量を守って使用しましょう。一方で細菌の場合、特に溶連菌などは、医療機関で処方される抗菌薬によって症状が改善します。
最も注意しなくてはいけないのは、急性喉頭蓋炎です。最初は飲み込みづらい、から始まりますが、そのうち喉の急速な腫れにより、唾が飲み込めない、よだれが口から出てしまうという症状になります。腫れが急速に進行し、気道をふさいで、呼吸ができなくなる危険な病気です。
「喉が痛いために、唾が飲み込みづらい」以外の症状に乏しく、呼吸も普段通りできるのであれば、急いで受診する必要はないことがほとんどです。数日経っても症状が改善しない、悪化するなどの場合は、内科を受診しましょう。一方で、呼吸が苦しい、数分〜数時間単位でどんどん痛みや飲み込みづらさが悪化する、高熱も出る、などの症状があれば、急性喉頭蓋炎も疑われるため、速やかに救急外来を受診してください。

気持ちが悪く唾が飲み込めない症状で考えられる原因と対処法

気持ちが悪い、吐き気がするために、唾が飲み込めない・飲み込みづらいという状態です。多いのは、ウイルスや細菌による、感染性の胃腸炎です。最初は吐き気や飲み込みづらさだけですが、徐々に腹痛、また最後に下痢、という経過をたどることが一般的です。
ウイルスによる胃腸炎の場合は、吐き気止めや解熱鎮痛剤など、対症療法のみで経過をみることになります。市販のスポーツドリンクや経口補水液などを摂取し、糖分や電解質を補います。数日間で良くなることが多いですが、どんどん症状が悪化する、水分摂取も難しいほどぐったりしてくるなどの場合は、点滴による脱水治療が必要な場合もあるため、内科の受診を検討しましょう。
細菌による胃腸炎の場合も、必ずしも抗菌薬の治療が必要というわけではありません。もともと基礎疾患がない方であれば、ウイルス性の胃腸炎と同じような対症療法で改善するケースがほとんどです。一方で、高熱や血便など、症状が悪化する場合は内科を受診しましょう。

唾が飲み込めなくて息苦しい症状で考えられる原因と対処法

唾が飲み込めないだけではなく、息苦しさも伴っている状態です。最も注意しなくてはいけないのは、急性喉頭蓋炎です。最初は飲み込みづらいだけの症状ですが、その後急速に喉が腫れるため、気道がふさがり、呼吸ができなくなる病気です。自宅や経過観察で治る病気ではなく、必ず緊急の受診が必要ですので、救急外来を受診してください。

咳が出て唾が飲み込めない症状で考えられる原因と対処法

唾が飲み込みづらい以外に、咳も出る状態です。最も多いのはウイルス感染症、いわゆる風邪の状態です。医学的には、急性喉頭炎や急性気管支炎といった状態です。ほとんどは抗菌薬が効かないウイルス感染症なので、市販の鎮咳薬や鎮痛剤などで対応可能でしょう。
一方で、咳がひどい場合は、気管支喘息も考えられます。もともと気管支喘息と診断されている方が、ウイルス感染症などをきっかけに、咳がひどくなるケースが多いです。この場合普段の気管支喘息の薬をしっかり続けること、咳がひどい発作に対する薬をしっかり使うことが大事です。薬が切れてしまっている、薬の使い方がわからない、咳がどんどんひどくなるなどの場合は、普段のかかりつけ先、または呼吸器内科に相談しましょう。

鼻づまりで唾が飲み込めない症状で考えられる原因と対処法

唾が飲み込みづらいと同時に、鼻づまりもある状態です。たとえば風邪(ウイルス感染症による、鼻水や咳などの症状)によって、副鼻腔炎を生じているケースです。鼻づまりの他にも、匂いのある鼻水、頬や額が痛い、顔やまぶたの腫れ、発熱などがみられることもあります。場合によっては抗菌薬の治療が必要なこともあるため、気づいたら耳鼻科や内科を受診しましょう。
アレルギー性鼻炎による鼻づまりも多いです。鼻の粘膜の、炎症や腫れをおさえる薬を使って治療します。こちらも緊急ではありませんが、耳鼻科や内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「唾が飲み込めない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

呼吸がしづらい場合は、救急外来へ

唾が飲み込みづらいだけではなく、呼吸のしづらさもある場合は、速やかな受診が必要です。喉の奥が急速に腫れて、呼吸ができなくなる急性喉頭蓋炎が考えられます。また気管支喘息の発作も、重症化すると死に至る可能性があります。
いずれも診療所やクリニックで、順番を待ってから診察や治療を受ける…という類のものではなく、救急外来などで最も重症な状態として、緊急に対応が必要な状態です。救急外来で内科や耳鼻科など、必要な科の医師による、迅速な対応を要します。

受診・予防の目安となる「唾が飲み込めない」ときのセルフチェック法

  • ・唾が飲み込めない以外に「呼吸がしづらい」症状がある場合
  • ・唾が飲み込めない以外に「喉の痛みがどんどん悪化する」症状がある場合
  • ・唾が飲み込めない以外に「咳が悪化し、睡眠や食事に支障をきたす」症状がある場合

「唾が飲み込めない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「唾が飲み込めない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

扁桃炎

扁桃といって、喉の奥にある免疫組織が、感染症などによって炎症を起こしている状態です。唾が飲み込みづらい以外にも、喉の強い痛みや、発熱などを伴うこともあります。
治療は、解熱鎮痛薬などの対症療法や、必要に応じて抗菌薬を使用します。特に溶連菌の場合は、抗菌薬によって症状が改善しやすいです。炎症がひどく水分が摂取できない場合は、脱水治療のために点滴が必要なこともあります。
飲み込みづらさや、痛みがどんどん悪化する場合、また高熱が続く場合などは、内科や耳鼻科を受診しましょう。

急性喉頭蓋炎

喉頭蓋という、口を開けただけでは見えない深い部分の喉が、急速に腫れて炎症を起こす病気です。怖いのは、喉頭蓋が腫れると、気道を完全に塞いでしまうこともある、つまり窒息によって死亡してしまう可能性もあることです。飲み込みづらさや、喉の痛みが出てから気道が閉塞するまで、数時間など急速に進行することにも注意が必要です。
自宅で対処できる疾患ではないので、どんどん呼吸が苦しくなる、呼吸がしづらくなるなどの症状があれば、速やかに救急外来への受診が必要です。点滴で抗菌薬やステロイドの投与を行ったり、場合によっては気管挿管など高度な呼吸管理が必要になります。

声帯ポリープ

声を出すときに使う「声帯」という部分が変形することで、声が枯れる・声が出しにくいなどの症状が生じるものです。声の出しすぎや、喫煙、感染症などによって、声帯に炎症が起きることが原因です。
ただし声が枯れる病気は他にもあり、中には喉頭がんなどの悪性腫瘍も挙げられます。唾が飲み込みづらい以外にも、声が枯れる・声が出しにくいという症状がある場合は、本当に声帯ポリープでよいのかという診断の目的で、一度、耳鼻科を受診することをおすすめします。

咽喉頭異常感症

様々な原因によって、のどに違和感をおぼえる状態です。何かがひっかかったり、痰がこびりついているように感じたり、のどが狭くなったように感じたり、などの症状があります。アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)や、感染症による咽頭炎・喉頭炎、胃食道逆流症などが原因として多く挙げられます。ただし他にも貧血、糖尿病、精神的・心理的な疾患、甲状腺の病気や、喉頭がんなどの病気も原因になり得ます。咽喉頭異常感症と診断できるのは、あくまで、こうした他の危険な病気がない、あるいは明らかになさそうだということが判断できる場合です。症状が続く場合や、悪くなる場合は、一度、耳鼻科や内科の受診をおすすめします。

「唾が飲み込めない」の正しい対処法は?

「唾が飲み込みづらい」という一つの症状でも、様々な原因があります。
もし「呼吸がしづらい」など、急速に進行する症状がなければ、まずは市販薬を飲んで様子を見ても良いでしょう。「唾が飲み込みづらい」以外にも喉が痛ければ、痛み止めや、咽頭炎・扁桃炎用の薬を、気持ち悪ければ吐き気止めを、咳が出る場合は風邪薬を、また鼻詰まりの場合はアレルギー性鼻炎の可能性を考えて、花粉症やアレルギー用の薬を試しても良いです。喉の違和感には、漢方薬の効果があることもあります。用法用量を守って使い、また薬にアレルギーが疑われるような既往がある方は、薬局の薬剤師に確認してから使用することが大切です。
薬以外にも(確固たるエビデンスはありませんが)たとえば乾燥していると、喉の痛みがさらに悪化する方もいるため、冬場は加湿器などを使用して、乾燥をふせぐのも良いでしょう。また食事が飲み込みづらい場合は、固形物が飲み込みづらくても、やわらかいものや麺類など、食べやすいものがあれば、それを心がけて摂取するようにしましょう。
いずれにせよ、症状がどんどん悪化する、慢性的に続いているなどの場合や、耳鼻科や内科を受診しましょう。

「唾が飲み込めない」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「唾が飲み込めない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

唾が飲み込めない状態を放置した場合、どのようになりますか?

白井 沙良子医師白井 沙良子(医師)

唾が飲み込みづらい原因の多くは、ウイルス感染症による咽頭炎などで、基本的には時間経過で改善していくことも多いです。
一方で細菌感染による咽頭炎の場合は、抗生剤を内服しないとなかなか改善しない場合もあります。また急性喉頭蓋炎のように、急速に進行し呼吸ができなくなる重症な病気もあります。アレルギー性鼻炎など、継続した治療を受けないと慢性的に症状が持続してしまう場合もあります。

唾を飲み込むと喉に違和感を感じるのはストレスが原因でしょうか?

白井 沙良子医師白井 沙良子(医師)

たしかに「咽喉頭異常感症」といって、ストレスなどの精神的・心理的な要因から、喉の違和感を感じることはあります。
ただし必ずしもストレスだけが原因というわけではなく、アレルギー性鼻炎、咽頭炎・喉頭炎、胃食道逆流症、他にも貧血、糖尿病、甲状腺の病気や、喉頭がんなどの病気も原因になり得ます。あくまで、こうした他の危険な病気がない、あるいは明らかになさそうだということが判断できる場合に咽喉頭異常感症と診断されます。症状が続く場合や、悪くなる場合は、耳鼻科や内科を受診して相談するのも良いでしょう。

まとめ 唾が飲み込みづらい症状が続く場合は内科や耳鼻科で相談を

「唾が飲み込みづらい」症状を引き起こす原因は、様々なものがあります。多くは咽頭炎・扁桃炎など、市販薬などで対応できるものですが、中には急性喉頭蓋炎や重症な気管支喘息発作など、速やかな受診や治療が必要なものもあります。
「呼吸がしづらい」「喉の痛みがどんどん悪化する」「咳が悪化し、睡眠や食事に支障をきたす」などの場合は、救急外来などを速やかに受診しましょう。慢性的に続いている場合や、だんだん悪化するという場合も、内科や耳鼻科に相談しましょう。

「唾が飲み込めない」症状で考えられる病気と特徴

「唾が飲み込めない」から医師が考えられる病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

口腔内・喉頭の疾患

気管支の疾患

その他の疾患

多いのは口腔内・喉頭の疾患ですが、ほかにも鼻腔や気管支などの疾患が原因になることもあります。また検査などをしても病気が特定されない場合、精神的・心理的な要因で症状をきたす咽喉頭異常感症と診断されることもあります。

「唾が飲み込めない」と関連のある症状

「唾が飲み込めない」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記のような症状が悪化していく傾向があったり、慢性的に続いていたりする場合には早めに医療機関への受診をお勧めします。