FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「扁桃炎」とは?症状・原因・治療法についても解説!【医師監修】

「扁桃炎」とは?症状・原因・治療法についても解説!【医師監修】

 更新日:2023/06/30
「扁桃炎」とは?症状・原因・治療法についても解説!【医師監修】

喉の強い痛みで知られる扁桃炎は、子どもだけでなく大人もかかる病気です。「単なる風邪」と思っていたら、実は扁桃炎だったということもあります。

扁桃炎という病名を知っている方は多いですが、原因や治療方法など詳しくご存じの方はあまり多くありません。

しかし、適切な治療や予防のためには、扁桃炎がどのような病気なのか知っておくことが大切です。

今回は、そんな扁桃炎の特徴や治療方法・扁桃を摘出する基準や予防方法など、気になる情報もみていきましょう。

中本 実沙

監修医師
中本 実沙(医師)

プロフィールをもっと見る
東京女子医科大学病院所属

扁桃炎の特徴

体調不良 喉の痛み 体温計

扁桃炎はどのような病気ですか?

  • 扁桃炎は、喉の奥にある「口蓋扁桃」に炎症が起こることで、さまざまな症状が現れる病気です。子どもだけでなく大人もかかる病気で、大人の場合は20~30代に多いです。
  • 口蓋扁桃は口蓋垂(のどちんこ)の両脇に左右1つずつ存在し、ウイルスや細菌に抵抗する役割があります。5~8歳頃に最も大きくなり、大人になるにつれて小さくなるのが特徴です。大人になると、パッと見ただけではわからない程小さくなります。
  • 扁桃炎は大きく分けて「急性扁桃炎」と「慢性扁桃炎」の2種類があります。扁桃炎を繰り返す状態が「慢性扁桃炎」です。急性扁桃炎が悪化すると扁桃に膿が溜まり、生命に関わる重篤な状況になるリスクがあります。そのため、喉の痛みは「単なる風邪症状の1つ」と侮ってはいけません。

主な症状を教えてください。

  • 扁桃炎の主な症状は、喉の痛みや発熱です。喉の痛みは違和感程度のものではなく、唾液を飲み込むのも辛いほど強い痛みを感じる方もいます。また、発熱も微熱ではなく38℃を超えるようなケースも少なくありません。喉の痛みや発熱の他には、悪寒(寒気)・頭痛・全身倦怠感・関節痛・食欲不振などがあります。
  • 耳の下から首にかけて腫れるのも、扁桃炎の特徴的な症状の1つです。扁桃炎は子どもだけでなく大人もかかる病気ですが、子ども・大人に関わらずこれらの症状が現れます。
  • 扁桃炎にかかると口蓋扁桃に白いものが見えることがありますが、これは「膿」です。先ほどお伝えしたように、急性扁桃炎が悪化して炎症が周りの粘膜に波及すると、扁桃周囲炎、さらには扁桃周囲膿瘍を生じて、口をあけにくい・しゃべりにくいといった症状が現れます。さらに放置すると、首の深いところや胸の方まで膿だまりが波及して、重症感染症や窒息をきたすリスクがあります。

どのようなことが原因で起こりますか?

  • 扁桃炎の原因の多くは、ウイルスや細菌に感染することです。原因となるウイルスには、アデノウイルスやRSウイルスがあります。季節性のものでいくと、インフルエンザウイルスも扁桃炎を引き起こすリスクがあるため注意しましょう。細菌では、溶連菌やブドウ球菌が扁桃炎の原因になりやすいです。
  • リンパ組織としての役割をもつ口蓋扁桃ですが、ウイルスや細菌に感染すると炎症を起こしてさまざまな症状が現れます。免疫力が下がっている状態でウイルスや細菌に触れると感染しやすいため、疲れやストレスが溜まっているときには要注意です。

子どもが扁桃炎になったときに気をつけることを教えてください。

  • もし子どもが扁桃炎にかかったら、しっかりと休む環境を整えてあげてください。また、熱で体内の水分が奪われてしまうため、水分摂取を促すことも大切です。
  • 喉の痛みで飲み込むのが辛い場合は、おかゆやゼリーなど食べやすいものを食べさせてあげてください。それでも食事や水分を摂取できない場合は点滴を行う可能性があるため、医師に相談しましょう。
  • また、扁桃炎の原因が「溶連菌感染」だった場合は、合併症としてリウマチ熱・急性糸球体腎炎・心内膜炎のような病気を引き起こすリスクがあります。溶連菌感染が原因だとしても適切な治療を受けることで合併症のリスクを下げられるため、扁桃炎を疑う症状があれば早めに受診することが大切です。

扁桃炎の治療方法

カウンセリングを受ける女性(のど)

何科を受診すればよいですか?

  • 扁桃炎を疑ったら、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
  • 耳鼻咽喉科は喉の病気を専門とするため、ファイバースコープのような喉の検査に対応している可能性が高いです。お子様の場合は、通いなれた小児科で問題ありません。大人の場合、身近な場所に耳鼻咽喉科がなければ、内科を受診して症状を伝えましょう。
  • 扁桃炎にかかったことがある方は、前回と同じ医療機関を受診することをおすすめします。扁桃炎を繰り返す方もいるため、経過を知っている医師に診てもらうと安心です。

扁桃炎の検査方法や診断基準を教えてください。

  • 扁桃炎は喉の腫れや各種症状から判断することが多いです。喉の痛みを主訴に受診すると、まずは喉の腫れを確認します。その際に、口蓋扁桃が腫れていれば扁桃炎であることがわかります。
  • 喉の痛みの他にも、高熱や耳の下から首にかけてのリンパ節が腫れるといった特徴的な症状が出ることも少なくありません。口蓋扁桃の腫れと特徴的な症状があれば、扁桃炎と診断されます。
  • また、原因を究明や治療方針を決めるために、検体を採取したり血液検査を行ったりする場合もあります。

治療方法も知りたいです。

  • 扁桃炎の治療方法は原因によって異なります。ウイルス感染が原因の場合は、辛い症状に対して対症療法を行うことが多いです。細菌感染が原因の場合は、抗菌薬を用いて原因を除去します。
  • 飲食ができる状態なら飲み薬が処方されますが、喉の痛みや食欲不振で十分な飲食ができないこともあるでしょう。その場合は、点滴で水分と栄養を補いながら抗菌薬も投与します。点滴が必要なほど症状が重いケースでは、入院を勧められることが多いです。
  • また、急性扁桃炎が進行して扁桃周囲膿瘍になった場合、口蓋扁桃の周りの粘膜に穿刺や切開をして膿を取り除く処置を行います。

扁桃炎の予後と注意点

水分補給をする女性

扁桃炎はどれくらいで治りますか?

  • 扁桃炎は自然に治るケースから入院が必要なケースまであり、症状の程度によって治るまでの期間が異なります。
  • 2〜3日で解熱する方もいれば、1週間以上症状が続く方もいるのです。
  • 入院が必要なケースでは、治療と経過観察のために4日〜1週間ほど入院します。

扁桃炎を繰り返す場合は摘出すると聞いたことがあります…。

  • 扁桃炎を繰り返す場合は、扁桃摘出を医師から勧められることがあります。「扁桃炎を繰り返す」という基準は、4歳以上で1年間に4回以上、または扁桃炎インデックス(扁桃炎インデックス=1年間の扁桃炎の罹患回数×罹患年数)が8以上が目安です。
  • 扁桃摘出は入院して全身麻酔下で行います。全身麻酔にはリスクもあるため不安になる方もいるでしょう。お子様の手術を検討する場合は、特に不安で躊躇する方も少なくありません。不安なことは医師に相談しながら、摘出するかどうかを決めてください。

治療中や治療後に気をつけることがあれば教えてください。

  • 扁桃炎の治療中は、しっかりと休養を取ることが大切です。扁桃炎の原因はウイルスや細菌でも、その背景には疲れやストレスによる免疫力低下が隠されていることも少なくありません。免疫力が低下しているときだからこそ、無理をせず休みましょう。
  • また、原因となるウイルスや細菌は咳や痰によって人にうつすリスクがあります。子どもの場合は兄弟にうつさないように注意しましょう。
  • また、扁桃炎が治ったからといって油断してはいけません。扁桃炎の原因である感染を防ぐために、手洗い・うがいといった基本的な感染対策を行ってください。
  • 乾燥しやすい時期は加湿器を使ったり、水分を取ったりすることも大切です。また、口蓋扁桃に刺激を与えないように、喫煙や飲酒の習慣も見直しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 喉の痛みに代表される扁桃炎は、子どもだけでなく大人もかかる病気です。高熱が続くことも多く、強い喉の痛みだけでなく頭痛や食欲不振など辛い症状が現れます。
  • 症状が進行すると扁桃周囲膿瘍になるリスクがあるため、「単なる風邪」と思わず症状があれば医師に相談しましょう。扁桃炎を予防するために、しっかり休養を取りバランスのよい食事を心がけることも大切です。

編集部まとめ

回復・スッキリ・解決した女性
扁桃炎は大人もかかる病気で、強い喉の痛みや高熱が特徴です。ウイルスや細菌に感染した口蓋扁桃は赤く腫れ、膿が溜まることもあります。

扁桃炎の原因によっては重い症状が出ることもあり、場合によっては入院しなければなりません。子どもの扁桃炎の原因が溶連菌感染の場合は、合併症にも注意が必要です。

大人も症状が悪化することがあるため、「風邪症状だから大丈夫」と思わず気になる症状があれば受診しましょう。

扁桃炎を繰り返す場合は扁桃を摘出することがあります。最適なタイミングで適切な治療を受けるためにも、喉の痛みや腫れを放置しないでください。

また、ウイルスや細菌に感染しなければ、扁桃炎を防ぐことができます。手洗い・うがいをしっかり行い、水分補給も忘れないようにしましょう。

この記事の監修医師