「お腹の左側が痛い」のは「大腸がん」が原因？医師が徹底解説！

お腹の左側が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
齋藤 雄佑（医師）

「お腹の左側が痛い」原因と対処法

お腹の左側が痛むとき、考えられる病気は何の病気でしょうか？
お腹の左側にある臓器は消化器では大腸や小腸、泌尿器では左の腎臓や尿管、婦人科では卵巣や子宮があります。その他、腹部大動脈などの動脈や左の腸腰筋などが位置しています。お腹の左側が痛い場合には、複数の臓器がある中で、痛みの他にどのような症状があるかに着目することが大事です。今回の記事でお腹の左側が痛む病気を学んで、その特徴を理解しましょう。

お腹の左側が痛い原因と対処法

お腹の左側が痛む消化器の病気は便秘や感染性腸炎、機能性ディスペプシア、大腸憩室炎（けいしつえん）、虚血性腸炎、腸閉塞、大腸がんなどがあります。泌尿器科疾患では尿路結石、左腎盂腎炎（じんうじんえん）、などがあります。婦人科疾患で卵巣捻転（らんそうねんてん）、子宮外妊娠、などがあります。症状だけでは判断できませんが、それぞれに特徴的な症状があるので、まずはそれを抑えましょう。

女性でお腹の左側が痛い原因と対処法

女性特有の病気のうち、お腹の左側が痛む病気は婦人科疾患で卵巣捻転、子宮外妊娠、などがあります。卵巣捻転は卵巣に腫瘍（しゅよう）などができた状態から卵巣が根本でねじれてしまった状態を示します。緊急手術を要することが多い病気です。子宮外妊娠とは妊娠が子宮ではなく卵管で起こってしまうことです。卵管が破裂してしまった場合に突然の腹痛をきたすことがあります。そのような激しい腹痛がある場合はすぐに婦人科や内科を受診しましょう。

男性でお腹の左側が痛い原因と対処法

男性特有の左腹痛の原因としては精巣上体炎や前立腺炎があります。精巣上体炎・前立腺炎では発熱や腹痛、陰嚢痛、排尿時痛などの症状がでることが多いとされています。通常は抗生剤の内服により改善します。そのような症状が出た場合には泌尿器科を受診しましょう。

お腹の左側が痛く、下痢も伴う原因と対処法

左腹痛と下痢を伴う症状の場合、頻度が高い病気に感染性腸炎の可能性があります。感染性腸炎は腸内で細菌やウィルスなどに感染し、腹痛や下痢をきたしている状態です。通常は特別な治療を要することなく、1週間程度で治ることがほとんどです。消化にいい食事をこころがけましょう。下痢と腹痛がある場合は消化器内科を受診しましょう。

食後にお腹の左側が痛くなる原因と対処法

食後のみぞおちのチクチクとした痛みやもたれ感を特徴とする疾患に機能性ディスペプシアがあります。
胃カメラなどで異常を認めないものの、日常生活の質を低下させるような諸症状が半年間以上続くことが特徴です。ストレスや食事、生活習慣が影響していることもあります。気になる症状がある場合は、まず内視鏡検査ができる消化器内科を受診しましょう。

お腹の左側が痛く、便秘も伴う原因と対処法

お腹の左側の痛みに便秘を伴う場合の病気は、便秘や虚血性腸炎、大腸がんの可能性があります。一番頻度が多いのは便秘です。そこにさらに、血便の症状が加わる場合は、虚血性腸炎や大腸がんの可能性があります。便秘がちで50歳以上の方は大腸がん検診を受けて、便潜血の検査を受けましょう。また定期的に大腸カメラを受けることをおすすめします。

すぐに病院へ行くべき「お腹の左側が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

突然強い腹痛の症状が出た場合は、救急科へ

特に注意が必要なのは、突然強い腹痛が出現する場合で、虚血性腸炎や腸閉塞、尿路結石、卵巣捻転などがあります。突然強い腹痛が出現した場合は手術を要する疾患の可能性があるので、すぐにお近くの病院を受診しましょう。動けないくらい痛む場合は救急車をよびましょう。

受診・予防の目安となる「お腹の左側が痛い」のセルフチェック法

• お腹を押すと痛みが強くなる場合
• 押したときの痛みだけでなく、手を離したときの痛みがある場合
• ひどい嘔吐があって水も飲めない場合

「お腹の左側が痛い」際の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「お腹の左側が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

大腸憩室炎

大腸憩室とは大腸の壁の一部が外側に押し出されて袋状にくぼんでいる状態です。全体の約3/4が右側結腸に、残り1/4が左側結腸に憩室が認められます。憩室はしばしば炎症を起こしたり、出血を起こしたりします。大腸憩室炎は程度にもよりますが、食事をすると悪化することがあるため、入院の上、点滴をして抗生剤で治療が必要です。一度治っても憩室が無くなることはなく、再発を起こしてしまうと手術で大腸を切除することもあります。食事ができない場合や、痛みが強い場合はかかりつけでご相談ください。内科・消化器科がおすすめです。

大腸がん

大腸がんは初期にはほとんど症状がありませんが、進行すると血便や下痢と便秘を繰り返す、便が細い、お腹が張るといった症状がでます。50歳以上で罹患率が高まり、大腸のうち、結腸ではお腹の左側にあるＳ状結腸と直腸のがんが半数を占めます。リスク因子は飲酒や喫煙、肥満、家族歴などです。50歳以上の方は大腸がん検診や大腸カメラを受けることをおすすめします。上記の症状がある方は消化器科を受診しましょう。

虚血性腸炎

虚血性大腸炎は血圧低下、動脈硬化などが原因で大腸の血の巡りが悪くなって起こる腸炎です。左側の結腸で起こりやすいとされています。起こりやすい症状は腹痛、下血、下痢などです。突然の腹痛で発症し、その後下痢が徐々に血便になるのが特徴的です。必要な治療は通常、腸管安静であるため、点滴や抗生剤の投与などを行います。腹痛の後に下痢、血便を認める場合はCT検査ができる大きな病院を受診しましょう。

尿路結石

尿路結石では腎臓や尿管、膀胱、尿道に石ができる病気です。症状は腹痛や背部痛、血尿に加え、頻尿や残尿感などの泌尿器領域の症状がでることがあります。また消化管の病気ではありませんが、吐き気や嘔吐の症状がでることもあります。男女比では男性に多い病気です。上記の症状がある場合は内科、泌尿器科を受診しましょう。

「お腹の左側が痛い」時の正しい対処法は？

お腹の左側が痛い場合、その伴っている症状に着目します。
例えば、水様性の下痢を伴う場合、感染性腸炎などの市販の整腸剤などでも対応が可能な疾患があります。一方で、血便は虚血性腸炎や大腸憩室出血、大腸がんなど病院で医師の診察や画像検査、内視鏡検査が必要な疾患が多いので、受診が勧められます。その他消化器や婦人科疾患、泌尿器科疾患なども症状だけでは判断がつきにくいことも多いため、まずは内科を受診して医師の診察を受けていただくのがおすすめです。
市販の痛み止めも腹痛に対しては有効なものが多いですが、医師の診察前に内服してしまうと本来の腹部所見よりも軽い痛みとして判断されるケースがあるため、医師の診察時に確認を取ってからの内服がおすすめです。
腹痛におすすめの市販薬のおすすめはブチルスコポラミン臭化物などの抗コリン薬です。こちらを内服しても腹痛が改善しない場合には医療機関を受診してください。繰り返しですが、突然の強い腹痛の場合は薬の内服や食事をせずに、すぐに病院を受診してください。CT検査ができる病院を受診しましょう。

まとめ　おなかの左側が痛い時、原因は憩室だけじゃない！

お腹の左側が痛い場合といっても数多くの症状があり、症状だけで病気を断定することはできません。しかし、ある程度の知識を身につけることで、結果的に市販薬だけでも対応可能なものも中には存在します。ただし、普段は起こらないような腹痛を自覚された場合には医療機関を躊躇なく、受診していただいて構いません。入院や緊急手術を要する疾患が、その中に含まれている可能性があるからです。まずはかかりつけ医を作り、普段から健診などを受け、体調の変化についてアンテナを立てておくこと、普段と違う症状があるなら、すぐに受診ができる環境作りが重要と考えます。

「お腹の左側が痛い」で考えられる病気

「お腹の左側が痛い」から医師が考えられる病気は12個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

おなかの左側が痛い時には、憩室炎以外にも様々な病気の可能性があります。自己判断せず、痛みが持続する場合や痛みが強い時には早めに医療機関を受診しましょう。

「お腹の左側が痛い」に似ている症状・関連する症状

「お腹の左側が痛い」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

おなかの左側が痛い症状とともに、上記のような症状が起こることがあります。症状により疑われる病気が異なります。消化管の病気、泌尿器系の病気、婦人科の病気などさまざまです。急激で強い腹痛がある場合や血便がみられる場合には早急に医療機関を受診しましょう。