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「少量の便が何回も出る」のは「大腸がん」や「便秘」が原因?医師が徹底解説!

「少量の便が何回も出る」のは「大腸がん」や「便秘」が原因?医師が徹底解説!

少量の便が何回も出るとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

金子 緑

監修医師
金子 緑

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2011年新潟大学医学部を卒業。初期臨床研修を終了後、複数の病院勤務やクリニック院長を経 て現在はクリニックで内科医として勤務している。日々幅広く患者さんの相談に乗り地域医療の 貢献に努めている。日本内科学会所属。

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「少量の便が何回も出る」症状で考えられる病気と対処法

体調によっては少量の便が1日に何回も出るといった経験は誰しもあると思います。数日で元通りになることも多く、また体質で少量の便が1日に何回も出る人もいます。
しかし消化管、特に大腸に病気が隠れている場合もあります。ここでは考えられる病気について解説し、どんな時に病院を受診したら良いのかを解説していきます。

大人で少量の便が何回も出る症状で考えられる原因と対処法

大人で少量の便が何回も出るような症状が習慣的にある場合、体質によるものの可能性があります。何年も前から同じような症状が続いており、他に気になる症状がなければ、問題ないケースが多いです。
ただし最近になってそのような症状が出てきて、1週間~数か月症状が持続したり、腹痛や残便感、下痢、血便などの症状がある場合には、重大な病気が隠れている可能性があるので一度消化器内科の医師に相談してみてください。

少量のコロコロした便が何回も出る症状で考えられる原因と対処法

少量のコロコロした便が何回も出る場合には、便秘症が考えられます。
便が消化管に停滞しやすく、1回の排便で少量しか出ないため、お腹の違和感や残便感が続きます。
すぐにできる処置は食生活を含む生活習慣の改善です。特に乳製品や発酵食品、食物繊維の摂取は、腸内環境を改善させ排便習慣を改善させます。また、十分な水分摂取や規則正しい生活、適度な運動も大切です。
それでも改善しない場合、薬物療法が効果的です。市販の下剤でもある程度効果はありますが、心配な場合は一般内科や消化器内科を受診しても良いでしょう。通常なら緊急性はありませんが、症状が長く続くと腹痛や腸閉塞の原因となる場合があります。急に強い腹痛が起きたり、気持ちが悪くなって嘔吐したりしてしまった場合は、すぐに医療機関を受診してください。

少量の便が何回も出て腹痛や下痢がある症状で考えられる原因と対処法

少量の便が何回も出て腹痛や下痢がある場合、感染性腸炎や過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。
感染性腸炎は、消化管がウイルスや細菌に感染することで起こります。発熱、腹痛、嘔吐、下痢といった様々な消化器症状を来し、通常は数日~1週間ほどで改善します。治療の基本は対症療法で水分摂取や整腸剤の内服ですが、嘔吐や下痢の症状が強いと脱水症となることがあります。また、細菌性腸炎は抗菌薬による治療が必要となることがあります。全く水分が取れないような場合や、1週間以上症状が続く場合、血便があるような場合には一般内科や消化器内科を受診してください。
過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスなどが原因で、腹痛や下痢、便秘、便意頻回、残便感といった消化管の様々な症状を来します。
まず必要なのは生活習慣や食生活の改善で、特にストレスの除去や、十分な休養をとること、消化管に負担となる食事を避けることが大切です。それでも改善しない場合は薬物療法が有効であるため、早めに消化器内科への受診をお勧めします。

妊娠中に少量の便が何回も出る症状で考えられる原因と対処法

妊娠中は子宮が大きくなることにより消化管が物理的に圧迫されます。また女性ホルモンが分泌されることにより腸の動きも悪くなり、便秘症になりやすくなります。放置すると腹痛の原因になったり、いきむことで痔ができやすくなったりします。
一般的な便秘症と同様、基本的には食生活や生活習慣の改善が必要ですが、上述の通り妊娠自体が便秘症の大きな原因であるため、下剤で排便コントロールをした方が良い場合も多いです。一度かかりつけの産科に相談してみてください。激しい腹痛などの症状が出た場合には、産科的なトラブルの可能性も考えられるので、緊急で産科を受診してください。

高齢者で少量の便が何回も出る症状で考えられる原因と対処法

高齢者で少量の便が何回も出る場合、大腸がんの可能性があります。
大腸がんは大腸に発生する悪性腫瘍です。早期は無症状ですが進行するとだんだん大きくなり、便の通り道が狭くなってしまいます。そのため便が細くなり、少量ずつ出るようになることがあります。また腫瘍からの出血により便に血液が混じったり、腹痛を伴う場合もあります。
大腸がんは早期の内視鏡治療や外科手術、化学療法などの治療が必要です。気になる症状がある場合には、早めに消化器内科や消化器外科を受診するようにしてください。

すぐに病院へ行くべき「少量の便が何回も出る」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

下痢などを伴う場合は、消化器内科へ

多くの場合、緊急性を要することは少なく、日中の外来受診で良いことがほとんどです。しかし下痢や嘔吐などの症状を伴い、十分な飲水ができない場合、感染性腸炎による脱水症の危険性があります。早めに一般内科や消化器内科を受診しましょう。また下血や血便が出たり、急激に腹痛や腹部の張りが強くなる場合も大腸がんの可能性があるため、速やかに消化器内科や消化器外科を受診するようにしましょう。

受診・予防の目安となる「少量の便が何回も出る」ときのセルフチェック法

  • ・少量の便が何回も出る以外に嘔気や嘔吐がある場合
  • ・少量の便が何回も出る以外に下痢の症状がある場合
  • ・少量の便が何回も出る以外に急激な腹痛の症状がある場合
  • ・少量の便が何回も出る以外に腹部の張りの症状がある場合
  • ・少量の便が何回も出る以外に下血や血便の症状がある場合

「少量の便が何回も出る」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「少量の便が何回も出る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

感染性腸炎

感染性腸炎は、化管がウイルスや細菌に感染し、発熱、腹痛、嘔吐、下痢といった症状を来します。原因となる代表的なものは、ウイルス性ではノロウイルスやロタウイルス、細菌性では黄色ブドウ球菌や病原性大腸菌、カンピロバクターなどです。治療の基本は症状を和らげる対症療法です。水分や消化に良い食べ物を摂取し、症状によっては整腸剤を内服します。基本的には自宅で安静にしていれば数日から1週間程度で症状は改善します。
しかし、飲水や食事摂取が十分できない場合には脱水症となることがあります。また、細菌性腸炎は対症療法で症状が改善しない場合、抗菌薬による治療が必要です。水分摂取が十分にできない場合や、1週間以上症状が続く場合、血便がある場合には、一般内科や消化器内科を受診してください。

便秘

便秘症とは、本来体外に排出するべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態と定義されています。便が大腸に長く停滞することで便が硬くなってしまい、1回の排便で少量しか便が出ず、お腹の違和感や残便感があるような状態です。
食習慣を含む生活習慣の改善が必要です。特に乳製品や発酵食品、食物繊維の摂取は、腸内環境を改善させ排便習慣を改善させます。また、十分な水分摂取や規則正しい生活、適度な運動も大切です。
それでも改善しない場合、薬物療法が効果的です。酸化マグネシウムなどの便を軟らかくする緩下剤や、センナやピコスルファートナトリウムといった大腸を刺激して動かす刺激性下剤を内服します。これらは市販薬でも入手でき、消化器内科でも処方されます。通常なら緊急性はありませんが、症状が長く続くと腹痛や腸閉塞の原因となる場合があります。急に強い腹痛が起きたり、気持ちが悪くなって嘔吐したりしてしまった場合は、すぐに医療機関を受診してください。

大腸がん

大腸がんとは大腸粘膜に発生する悪性腫瘍です。多くは良性の大腸ポリープから徐々に進行してがん化していきます。喫煙や飲酒、肥満、赤身肉や加工肉といった肉類の摂取がリスクと言われています。
早期の段階では無症状で、健診の便潜血検査や大腸内視鏡で初めて発見されることも多いですが、進行すると腹痛、下血などの多彩な症状をきたします。また便の通り道が細くなっていくので、便も細くなり、少量ずつ頻回に排泄されるようになります。この状態がさらに進むと便の通り道を完全に塞いでしまい、腸閉塞となります。嘔吐や腹痛、お腹の張りといった症状が出現します。この場合、緊急の処置が必要になるため、すぐに医療機関の受診が必要です。
また進行がんでは、リンパ節や肝臓、肺などの他臓器に転移する場合があります。治療は切除可能と判断される場合は内視鏡治療や外科治療を行います。根治切除が難しい場合には、化学療法の適応となります。大腸がんを疑う場合、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。消化器内科や消化器外科での治療が必要です。

過敏性腸症候群(IBS)

​​過敏性腸症候群(IBS)とは、ストレスなどによる自律神経の乱れによって、腹痛や下痢、便秘、便意頻回、残便感といった消化管の多彩な症状を来す病気です。症状は長期間継続し、排便により症状が改善したり、症状によって排便回数が増減したり、便の性状が変わったりするのが特徴です。
まずは生活習慣や食生活の改善が必要です。日常生活からストレスを取り除き、十分な休養を取るようにしましょう。また辛いものといった刺激物やアルコール、カフェイン、高脂質のもの、暴飲暴食など、消化管に負担となる食事は避けましょう。それでも改善しない場合は、消化器内科で薬物療法を行います。IBSの患者さんは日常的に排便習慣に悩んでいることが多いため、早めに受診することをお勧めします。

「少量の便が何回も出る」ときの正しい対処法は?

腹痛などのその他の腹部症状がない場合には、まずは生活習慣の改善ができないか考えてみましょう。食生活の乱れやストレスが原因の場合、数日で改善することがあります。食物繊維や水分摂取、乳製品や発酵食品の摂取も意識的に行いましょう。以前から便秘症である自覚があるなら、市販薬を試してみるのも良いです。酸化マグネシウムなどの緩下剤やセンナやピコするファーとナトリウムといった刺激性下剤を検討しましょう。一方で、腹痛や嘔吐、下血・血便、腹部の張りといった症状を伴う場合、大腸がんなどの重大な病気が隠れている可能性があります。早めに病院を受診しましょう。

「少量の便が何回も出る」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「少量の便が何回も出る」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

少量の便が何回も出る時は病院に行くべきですか?

金子 緑金子 緑 医師

以前から症状があり、他に気になる症状がなければ様子をみて構いません。最近急にそのような症状が出できたり、腹痛や嘔吐、下痢などを伴う場合には医療機関の受診を検討してください。

何度トイレに行っても残便感がありすっきりしないのは危険ですか?

金子 緑金子 緑 医師

便秘症が原因の可能性もありますが、過敏性腸症候群や大腸がんでも同様の症状が起こり得ます。気になる場合は一度受診をお勧めします。

便通が悪く1日に何度も少しだけ出るのは腸内環境の問題でしょうか?

金子 緑金子 緑 医師

腸内環境の乱れでも同様の症状が起こり得ます。バランスのとれた食生活や規則正しい生活習慣を心掛けてください。

少量の便が何回も出るのですが便秘が原因でしょうか。

金子 緑金子 緑 医師

便秘症が原因とは言い切れません。大腸がんや他の病気でも起こり得ます。気になる場合には、受診のうえご相談することをお勧めします。

まとめ

排便習慣については誰しもが一度はトラブルを抱えたことがあると思います。自然と改善することも多いですが、普段と違う症状や気になることがある場合は、無理せずに医療機関を受診してください。

「少量の便が何回も出る」症状で考えられる病気

「少量の便が何回も出る」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

その他の病気

  • 妊娠

自然と改善することも多いのですが、症状が続く場合には受診して相談することをお勧めします。

「少量の便が何回も出る」に似ている症状・関連する症状

「少量の便が何回も出る」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「少量の便が何回も出る」の症状の他にこれらの症状がある場合でも「便秘症」「感染性腸炎」「過敏性腸症候群(IBS)」「大腸がん」「妊娠」などの疾患の可能性が考えられます。激しい痛みや出血を伴う場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師

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