「ガスが溜まる」原因とは?考えられる病気も医師が解説!
ガスが溜まる時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。
お腹に「ガスが溜まる」症状で考えられる病気と対処法
お腹にガスが溜まって苦しい思いをしたことは誰しもあるのではないでしょうか。今回は、「ガスが溜まる」という症状でもすぐに病院を受診すべきもの、家で様子を見ていいものの違いを解説していきたいと思います。
お腹にガスが溜まる症状で考えられる原因と治し方
お腹にガスが溜まる原因として最も多いのは便秘症です。3日以上便が出ないことが続く場合は注意してください。便秘症では、おなかの張りや腹痛を感じることもあります。便が出ると症状は改善するので、下剤や浣腸を使用してください。また、便秘気味の人は、食物繊維の豊富な食材をとったり、病院で下剤をもらって定期的に飲むなどの工夫が必要です。
おなかが痛くてどうしようもない場合は、病院で摘便してもらうことはできますが、まずは自分で調整できるようにしましょう。
ガスが溜まってお腹が張る・苦しい症状で考えられる原因と治し方
お腹にガスが溜まってお腹の張りがひどく苦しくなることがあります。このような場合、イレウスが疑われます。
腸閉塞(イレウス)
イレウスとは腸の流れが悪い状態のことを言います。流れが悪いところより上に食べ物や空気が溜まるためお腹が張るような症状が出ます。吐いてしまうこともあります。詳しくは後ほど解説します。
ガスが溜まり、お腹が痛い症状で考えられる原因と治し方
お腹にガスが溜まり、痛みをガマンできないほど強く感じることがあります。このような場合、腸管穿孔(腸管に穴があいた状態)が疑われます。
腸管穿孔(ちょうせんこう)
原因はさまざまで、腸の血流が悪い場合(糖尿病や不整脈などが原因のことが多い)もあれば、魚の骨が刺さって穴があくこともあります。腸管に穴があいてしまった場合、手術で穴を塞ぐ必要があります。放っておくと全身状態がどんどん悪くなる可能性があるので、痛みが強い場合は、救急病院を受診するようにしてください。
ストレスでお腹にガスが溜まる症状で考えられる原因と治し方
ストレスや疲れが重なったときに、お腹にガスが溜まることもあります。このような場合、過敏性腸症候群が疑われます。過敏性腸症候群の症状は、ストレスなどを誘因に悪化することがあります。詳しくは後ほど解説します。
食べ物が原因でガスが溜まる症状で考えられる原因と治し方
食べ物によってはお腹にガスが溜まりやすい(ガスを発生させやすい)ものがあります。イモ類や穀物(小麦、トウモロコシなど)のほかに、発酵食品や乳製品はガスが発生しやすい食べ物です。ガスが溜まりやすい場合は、こうした食品の摂取を控えましょう。
すぐに病院へ行くべき「ガスが溜まる」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
ガスが溜まり、腹痛が強い場合は、消化器内科へ
腹痛が我慢できないほど強い場合は、お腹の中が緊急性の高い状態かもしれません。腸閉塞や穿孔(腸に穴が開いている状態)の場合は、緊急手術が必要となる可能性があります。痛みがとにかく強い場合は、無理せず消化器内科を受診してください。
「ガスが溜まる」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「ガスが溜まる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
呑気症・空気嚥下症
呑気症とは、空気をたくさん飲み込んでしまう病気です。息を吸う際に多少の空気が胃の方に流れていくことは正常ですが、過剰に飲み込む場合を指します。げっぷがよく出たり、お腹が張ったりすることが特徴です。ストレスや緊張が原因であることもあるため、まずは環境要因の改善に努めましょう。それでも難しい場合は、心療内科などを受診するのがよいでしょう。
過敏性腸症候群
最近、若い人を中心に多い病気です。これといった原因がないにも関わらず、下痢や便秘を繰り返す病気です。現代病と言われており、仕事をしている世代(20-60代)に多いといわれています。人によって症状はさまざまです。ストレスが悪化の原因となりますので、ストレスを減らす工夫が必要です。ストレスの軽減で症状が落ち着く人もいますが、ひどい場合は薬を飲んで落ち着けることもあります。下痢や便秘で悩んでいる人は、消化器内科を受診してください。
大腸がん
大腸にできる悪性腫瘍(がん)です。臓器別では全体で2番目に多いがんになります。年齢が上がるにつれてかかる可能性が高くなりますが、若い方でも見つかることがあります。診断は内視鏡検査で行いますが、偶然CT検査などをした際に見つかることもあります。早期のものであれば内視鏡検査で治療できますが、進行してくると手術を行います。手術で取れないものの場合は、化学療法がおこなわれます。大腸癌は、がんの中では治りやすく、根治(完全に治ること)も十分目指せます。大腸がん検診などで便潜血陽性となった場合は、消化器内科を受診してください。
胃がん
胃にできる悪性腫瘍(がん)です。ピロリ菌が原因と言われており、日本では比較的罹患者数が多いです。ピロリ菌による胃炎が長年続くことが発がんの原因のため、なるべく早く除菌することが重要です。若くて症状がないうちから感染している可能性があるため、内視鏡検査や血液検査でのピロリ菌検査をお勧めします。治療は大腸がんと同様、内視鏡検査、手術、化学療法などがあります。ピロリ菌が気になる方は、消化器内科を受診してください。
腸閉塞(イレウス)
腸閉塞は何らかの原因により腸が詰まってしまう病気です。完全に詰まってしまうと、食事や便が通らないため、お腹が張り、吐いたり腹痛が出たりします。放っておくと腸が破れたり、腐ったりします。こうなると手術で破れた腸を切るしかありません。完全に詰まっていなくても似たような症状が出ることがあります。こうした場合は、絶食などで改善する場合もあるので早いうちに病院を受診する必要があります。お腹が張ったり、痛い場合は、お近くの消化器内科を受診しましょう。
お腹に「ガスが溜まる」ときの正しい対処法・食事法は?
普段から便秘気味の方は市販の便秘薬(ビオフェルミンなど)を使用していただいてもかまいません。それでも便が出にくい方は病院で下剤を調整してもらいましょう。
発酵食品や乳製品などガスが生じやすい食べ物は控えましょう。
お腹の痛みが強い場合など、ガスが溜まる以外の症状もある場合は病院を受診しましょう。
お腹に「ガスが溜まる」ときの正しい予防法は?
ストレスが原因でガスが溜まっている場合もあるので、ストレス軽減に努めましょう。
便秘によるガス溜まりが最も多いので、普段から便の状態を整えることが大事です(便秘や下痢にならないように)。
ガス抜きのポーズなどガスが出やすい姿勢もあるので気になる方は試してみてください。
「ガスが溜まる」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ガスが溜まる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
お腹が張ってガスが溜まっているのは何科を受診すべきですか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
内科もしくは消化器内科を受診してください。
ガスが溜まる症状とおならがよく出ることに相関関係はありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
おならがよく出るのは溜まっているガスが出ている証拠です。
食後にお腹が張る(ガス溜まり)は消化不良が原因ですか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
食後何時間してからにもよりますが、食べてすぐだと食事と一緒に空気をたくさん飲み込んでいる可能性があります。
食べ物によっておなかにガスが溜まりやすくなることはありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
発酵食品や乳製品などガスが生じやすい食べ物はあります。
まとめ
お腹にガスが溜まる原因として多いのが便秘ですが、それ以外にも腸閉塞など怖い病気もあります。ガスが溜まる以外に腹痛などの症状が強い場合は、怖い病気が隠れている可能性があるので病院を受診してみましょう。
「ガスが溜まる」で考えられる病気と特徴
「ガスが溜まる」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
精神科の病気
お腹にガスが溜まる原因はたくさんあります。痛みや苦しさを自覚する場合には、早めに対処する必要があります。
「ガスが溜まる」と関連のある症状
「ガスが溜まる」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「ガスが溜まる」他に、これらの症状が見られる際は、「便秘症」「過敏性腸症候群」「腸管穿孔」「イレウス」「呑気症」などの病気の存在が疑われます。なかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。
・過敏性腸症候群ガイドライン(日本消化器病学会)