「お腹がゴロゴロ鳴る」原因とは？大腸がんを疑う症状や対処法も医師が解説！

お腹がゴロゴロ鳴る時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
梅村 将成 医師（市中総合病院）

「お腹がゴロゴロ鳴る」症状で考えられる病気と対処法

お腹がゴロゴロ鳴ると空腹のサインや、下痢の前兆というイメージがあると思いますが、実は病気の一症状の場合もあります。今回は、そのようなお腹がゴロゴロなる症状で考えられる病気とその対処法について解説します。

お腹がゴロゴロ鳴る症状で考えられる原因と治し方

お腹がゴロゴロなる鳴る音は、腸の蠕動運動（ぜんどううんどう）によって小腸や大腸内の空気が運ばれ、狭くなった部位を通るときに生じる音と考えられています。このお腹がゴロゴロ鳴ることを専門的に「腹鳴」と呼びます。
とくに、空腹時はホルモンの影響で消化管の蠕動運動が強くなるため、ゴロゴロやゴポゴポという音が鳴りやすいため、お腹が減ったサインと形容されることもあります。この空腹時のお腹がゴロゴロ鳴る症状は、生理的な現象であるため心配する必要はありません。

食後にお腹がゴロゴロ鳴る症状で考えられる原因と治し方

食後は、食べた物を消化するために胃をはじめとした消化管が活発に動き始めます。それを食後期収縮と呼び、食後3-6時間程度続くと言われています。そのため、朝食後に便意をもよおすことがあれば、この食後期収縮の影響によって、胃から大腸までが活発に動いているという証拠なのです。
食後にお腹がゴロゴロ鳴る症状は、生理的なもので、誰しも起こりうることです。心配ありません。

お腹がゴロゴロ鳴り、下痢を催す症状で考えられる原因と治し方

お腹がゴロゴロ鳴り、下痢を催す症状で考えられる原因に感染性胃腸炎があります。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌などの微生物が原因となって引き起こされる胃や腸の病気です。下痢や腹痛、発熱などの症状が出現します。
代表的な原因にノロウイルスがあり、ウイルスが付着した食べ物を摂取することで感染します。
専門は内科や消化器内科で、主な治療はつらい症状を緩和する対症療法となります。例えば、嘔吐・下痢がひどい場合は点滴治療を行います。

お腹がゴロゴロ鳴り、おならが止まらない・臭い症状で考えられる原因と治し方

お腹がゴロゴロ鳴り、おならが止まらない・臭い症状で考えられる原因には、腸内環境の悪化が関係している可能性があります。
悪玉菌が増え、善玉菌が減るなどで腸管内環境が悪化すると、腸内でガスが産生されやすくなり、おならのにおいも臭くなります。
腸内環境は、野菜など生鮮食品の摂取が少なく脂肪分の多い食事が多い方、アルコールを過剰に摂取している方、香辛料等の刺激物を好む方などが悪化しやすいとされています。
お腹がゴロゴロ鳴り、おならが止まらない・臭い症状を自覚する場合は、日々の食生活を振り返ってみてください。思い当たる節がある方は、健康的な食生活をするように心がけましょう。

夜になるとお腹がゴロゴロ鳴る症状で考えられる原因と治し方

夜になるとお腹がゴロゴロ鳴る症状は、空腹時の胃や腸の運動が関係していると考えられます。食後６時間～８時間経過すると空腹期収縮と呼ばれる腸管運動が現れます。
私たちの生活リズムから考えて夕食後6時間くらい経過した深夜帯に起こりやすいため、夜になるとお腹がグーっとなったり、ゴロゴロ鳴るように感じます。
生理的なホルモン分泌による腸管運動で、誰しも起こりえるもので心配はありません。

ストレスでお腹がゴロゴロ鳴る症状で考えられる原因と治し方

ストレスでお腹がゴロゴロ鳴り、下痢や便秘を伴う症状で考えられる原因には、過敏性腸症候群（IBS）が考えられます。

過敏性腸症候群（IBS）

過敏性腸症候群（IBS）はストレスが原因と考えられ、血液検査や内視鏡検査などでは異常が見つからないことで特徴です。腹痛と下痢・便秘に関連があり、排便すると腹痛が改善することなどが典型的な症状です。
専門科は消化器内科です。緊急性はありませんが、腹部症状に悩まされている方は早めに相談してみてください。

すぐに病院へ行くべき「お腹がゴロゴロ鳴る」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

腹痛が強いお腹がゴロゴロ鳴る症状の場合は、消化器内科・外科へ

お腹がゴロゴロ鳴る症状とともに腹痛が強い場合は、注意しなくてはいけません。
過度の便秘や大腸がんに伴う腸閉塞（イレウス）の危険性があります。腸閉塞（イレウス）になると食物残渣（ざんさ・残りかす）や便が腸内をスムーズに移動できなくなるため、閉塞部位より口側に便やガスが充満します。その結果、腹痛やお腹がゴロゴロなる、嘔吐などさまざまな症状が起こります。
気になる症状があれば、早めに消化器内科や外科を受診するようにしてください。

「お腹がゴロゴロ鳴る」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「お腹がゴロゴロ鳴る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

過敏性腸症候群（IBS）

過敏性腸症候群（IBS）はお腹の痛みや不快感が数か月にわたって続き、特に下痢や便秘などの排便症状と関連が深い病気です。はっきりとした原因は不明ですが、ストレスなどが原因と考えられ、血液検査や内視鏡検査などでは異常はみつかりません。
命に関わる病気ではありませんが、腹痛、便秘・下痢症状のために日常生活に支障をきたすことが少なくありません。緊急性はありませんが、排便に伴う症状に悩まされている方は、早めに消化器内科へ相談してみてください。

大腸がん

大腸がんは、大腸（結腸・直腸）に発生するがんで、進行するにつれて腸管内腔が狭くなる特徴があります。早期の段階では自覚症状はほとんどありませんが、がんが進行すると、腸が狭窄する（せばまる）ことによる便秘や下痢、おなかが張るなどの症状が増え、お腹がゴロゴロ鳴るとも増えます。
原因が癌である場合は、少しでも発見が早い方が根治（根本から治る、完治）の可能性が高くなります。血便やお腹の張りなど気になる症状があれば、早めに消化器内科・外科を受診しましょう。

「お腹がゴロゴロ鳴る」ときの正しい対処法は？

お腹がゴロゴロ鳴る場合で、消化管の運動が活発な場合は、ブスコパンAⓇという運動を抑える薬を内服しても構いません。お腹にガスが溜まるようでしたら、ガスピタンⓇなども効果的だと思います。
ただし、大腸癌や感染性胃腸炎などが原因の場合は、市販薬では改善せず、むしろ悪化する可能性もあるため注意が必要です。
牛乳やヨーグルトのような乳製品をとると、ガスが産生（生成）されやすくなる乳糖不耐症（にゅうとうふたいしょう）の方もいます。特定の食べ物に関連がありそうなら避けてみてください。
頻回に（頻繁に）お腹がゴロゴロ鳴るような場合は、病気が隠れていたり、普段の生活習慣に原因がある場合もあります。早めに病院受診をして相談しましょう。

まとめ

人前でお腹がゴロゴロ鳴ると気になる場合も多いですが、多くは生理現象で治療などが難しい症状です。しかし誰しも起こりうることなので気にしないように心がけましょう。
腹痛など腹部症状が伴う場合は生理現象でない場合も多いため、早めに病院受診をしてくださいね。

「お腹がゴロゴロ鳴る」で考えられる病気と特徴

「お腹がゴロゴロ鳴る」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

お腹がゴロゴロなるだけであれば心配する必要はありませんが、腹痛、便秘・下痢など他の症状も見られる場合には、治療が必要な病気の存在が疑われやすくなります。

「お腹がゴロゴロ鳴る」と関連のある症状

「お腹がゴロゴロ鳴る」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「お腹がゴロゴロ鳴る」他に、これらの症状が見られる際は、「便秘症」「大腸がん」「過敏性腸症候群（IBS）」「感染性胃腸炎」などの病気の存在が疑われます。
複数の症状がある場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。