「胃が痛い」時の対処法はご存知ですか？食欲はある・ストレスで痛む場合も医師が解説！

胃が痛いときはどうしたらいいの？今回はMedical DOC監修医が胃が痛くキリキリする症状の対処法と考えられる原因や病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
マイマイテイリ イマム（新宿アイランド内科クリニック 院長）

「胃が痛い」症状で考えられる病気と対処法

「胃が痛い」という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。家にいるときに急に痛くなったり、食後にじわじわ痛くなってきたりと痛みが出るタイミングや強さはさまざまです。今回はよくある症状を中心に解説していきたいと思います。

胃が痛い症状で考えられる症状の原因と治し方

胃が痛い症状がある場合には、胃もたれの可能性があります。前日夜に暴飲暴食をした、脂っこい食事をとったなど思い当たる場合は胃もたれかもしれません。同じ食事でも体調によって翌日症状が現れたり現れなかったりすることもあります。時間がたてば症状は落ち着いてきますが、胃薬などで消化を助けることも効果がある場合があります。緊急性はなく、基本的には様子見で大丈夫です。

みぞおちが痛い胃痛の症状で考えられる症状の原因と治し方

いわゆる胃の場所というよりは、みぞおちのあたりが急に痛くなる場合には、心筋梗塞や狭心症も原因となっている可能性があります。心筋梗塞や狭心症は、胸の痛みや苦しさが典型的な症状ですが、みぞおちの痛みであったり、肩の痛み、顎の痛みなどいろいろな部位で痛みを自覚することがあります。急激な痛みであって、冷や汗も出る場合には、まずは内科を受診するようにしましょう。

胃が痛いけど食欲はある症状で考えられる症状の原因と治し方

胃は痛いものの食欲がある場合、慢性胃炎や逆流性食道炎の可能性があります。

慢性胃炎

慢性胃炎は、長い期間にわたって胃が炎症を起こした状態です。原因の多くはピロリ菌感染と言われています。ピロリ菌に対する治療として抗菌薬と胃酸分泌を抑える薬を用いて治療します。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することによって、食道に炎症を起こした状態です。酸分泌を抑える薬や食道の動きを改善させる薬などを用いて治療します。症状が気になる際には内科や消化器内科を受診しましょう。

食後に胃が痛い症状で考えられる症状の原因と治し方

食後に胃が痛くなる場合には、胃潰瘍の可能性があります。胃に穴があく病気で、胃酸が原因となります。そのため食後に胃酸が分泌されるタイミングで痛みが出てくることが多いです。詳しくは下で解説します。

胃が痛く下痢が続く症状で考えられる症状の原因と治し方

胃が痛くて下痢が続いている場合には、急性胃腸炎の可能性があります。人によって症状の出方もさまざまで、お腹の痛みの部位も異なりますし、下痢だけではなく吐き気を催すこともあります。ウイルス性のものがほとんどですが、原因のウイルスを特定することは難しいです。生肉や生魚を食べた後に症状が出た場合は、いわゆる「食あたり」の可能性があります。有効な薬は特になく、ウイルスが排除され自然に治るまで待つしかありません。症状にあわせて適宜整腸剤や胃薬など対症的な治療を追加することはあります。治るのには数日～2週間程度かかります。疑わしい場合は、お近くの内科を受診してください。

ストレスで胃が痛い症状で考えられる症状の原因と治し方

ストレスで胃が痛くなる場合には、機能性ディスペプシアの可能性があります。内視鏡（胃カメラ）などの検査をしても異常がないときにこの病気を疑うことになります。原因がはっきりしおらず、ストレスなど心理的要因の関与が大きいのではないかと言われています。後ほど詳しく解説します。

すぐに病院へ行くべき「胃が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

胃の痛みが強く、歩く振動が響いて痛みも感じる場合は、消化器内科・救急科へ

痛みが強くてお腹が振動するたびに痛みを感じる場合には、緊急性の高い腹部の病気である可能性があります。振動が響いてお腹が痛い症状は腹膜刺激症状といい、腹膜炎を起こしている可能性があります。胃潰瘍・十二指腸潰瘍を放置していると潰瘍部分が深くなって穴が開いてしまい、腹腔内に胃の内容物や腸管内の消化液が漏れてしまい、炎症が起こってしまいます。腹膜炎になった場合には、治療が遅れると致命的な状態になりますので、あまりにも痛みが強い場合には、すぐに消化器内科や救急病院を受診するようにしましょう。

「胃が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胃が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

急性胃炎

胃粘膜の炎症のことを胃炎と呼びますが、数時間～数日の短期間で起こる胃炎のことを急性胃炎と呼びます。原因としては主に、薬剤性、アルコール性、ストレス性があります。薬剤性が半分以上を占めますが、NSAIDsなどの痛み止めや、抗生物質はこうした症状を引き起こしやすいと言われています。急性胃炎の診断は内視鏡検査（胃カメラ）によってできますが、原因となるものを中止（薬をやめるなど）によって治療ができ、数日以内に改善するため内視鏡検査をしない場合もあります。ただし、症状が長引く場合は、他の病気が隠れている可能性もありますので、病院を受診してください。内科や消化器内科を受診することをお勧めします。

慢性胃炎（ピロリ菌感染症）

慢性胃炎では、ピロリ菌感染が原因となります。ピロリ菌は胃のバリア機能を破綻させる働きを持っており、長期間感染しているとバリア機能が弱くなり胃酸で胃粘膜がただれたり、萎縮したりします。こうして起きた胃炎を慢性胃炎、萎縮性胃炎と呼びます。治療としてはピロリ菌の除菌となりますが、なるべく萎縮が進む前に除菌するのが効果的です。こうした胃炎は胃癌のもとになると言われており、除菌した後も定期的な内視鏡検査（胃カメラ）を受けることが胃癌の早期発見に繋がります。検査希望の人は消化器内科など内視鏡検査ができる病院を受診しましょう。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは、胃酸により胃や十二指腸の粘膜に穴があいている状態で、酷い場合は出血したり、穴が貫通してお腹の中と繋がることがあります。そうした場合は緊急で内視鏡や手術による治療が必要なのですぐに救急などの病院を受診する必要があります。ピロリ菌の感染やNSAIDs（ロキソニンなど）などの痛み止めを使用することが原因となります。予防、早期発見が重要ですので、内視鏡検査を定期的に行うことをお勧めします。

胃食道逆流症・逆流性食道炎

胃食道逆流症とは、胃の中の消化液が食道に逆流し、胃酸により食道が荒れて炎症を起こしている状態のことを指します。症状としては胸やけ、不快感、咳など様々です。食生活の欧米化などが原因と言われています。診断は内視鏡検査で行うことができます。治療はプロトンポンプ阻害薬(PPI)という胃薬を飲むことになります。食後すぐに横になると逆流が助長されるため、予防として食後3時間は横にならないようにしたり、就寝前に食事をとることを避けるといった生活習慣の改善も重要です。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアとは、症状があるにも関わらず、内視鏡検査などしてもはっきりとした病気が見つからない状態を指します。症状は、「胃が痛い」や「胃がもたれる」などさまざまで特徴的な症状はありません。胃の消化作用や収縮運動など胃の働きが悪くなっていることが原因なのかと考えられていますが、原因は究明されていません。ストレスや喫煙・飲酒などの生活習慣、ピロリ菌の感染などの要因も影響していると考えられており、まずはこうした要因を改善するところから治療を始めることになります。

「胃が痛い」症状の正しい対処法・市販薬は？

市販薬の中では、ガスター、太田胃散、六君子湯、小柴胡湯などは胃の痛みに効果があると言われています。使用することは構いませんが、体調を崩す場合はすぐにやめましょう。
ただし、痛みが強い場合は、緊急疾患の可能性もありますので市販の薬などを飲むよりは病院を受診することをお勧めします。
日常生活の注意点としては、喫煙・飲酒なども胃の痛みに影響するのでなるべく控えるようにしましょう。食後すぐに横になるのではなく、3時間ぐらいあけてから横になるようにしましょう
もし、何度も吐く場合には病院受診をお勧めします。また水分もとれないぐらいぐったりしている場合なども病院を受診しましょう。

「胃が痛い」症状におすすめの食べ物・飲み物は？

胃が痛い場合には、消化に良いものを食べたり飲んだりするようにしましょう。
辛いものや熱すぎるものなど刺激となるものは、症状が悪化することもあるため、極力避けるようにしましょう。
また、アルコールの過剰な摂取は、急性胃炎の原因のもとなるため、症状が落ち着くまでは控えることが肝心です。

まとめ

胃が痛くなる原因は、本記事内で紹介した病気以外にもいろいろあります。また、胃が痛いと思っていても実は別の臓器に原因がある可能性もあります。症状が続く場合はお近くの内科などで広く検査してもらいましょう。

「胃が痛い」で考えられる病気と特徴

「胃が痛い」から医師が考えられる病気は12個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

食後に胃が痛くなるなど、食事に関連するような症状であれば消化器系の病気が最も疑われますが、中には心筋梗塞のような循環器系の病気も隠れていることがあります。

「胃が痛い」と関連のある症状

「胃が痛い」と関連している、似ている症状は17個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「胃が痛い」の他に、これらの症状が見られる際は、「胃腸炎」「胃十二指腸潰瘍」「機能性ディスペプシア」「狭心症」「腹膜炎」などの疾患の可能性が考えられます。痛みがひどい場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。