「目頭がかゆい」原因はご存知ですか?医師が監修!
目頭がかゆい時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 裕紀(医師)
「目頭がかゆい」症状で考えられる病気と対処法
目頭がかゆい症状で考えられる病気には、アレルギーが原因のもの、細菌やウイルスが原因のもの、ドライアイなど様々な可能性が考えられます。アレルギーやドライアイなどは症状が長期間にわたることが多く、生活に支障をきたす可能性も少なくありません。原因を突き止め適切な対処を心がけましょう。
目頭がかゆい症状で考えられる原因と治し方
目頭がかゆい症状がある場合、アレルギー性結膜炎の可能性があります。アレルギー性結膜炎とは、アレルギーが原因で結膜という白目とまぶたの裏にある膜が炎症を起こす病気です。
症状の特徴としては、目がかゆい、鼻水が出る、目やにが出る、涙が出るなどが挙げられます。すぐにできる処置には、アレルギーの原因を突き止め除去することや抗アレルギー薬の点眼などがあります。アレルギーの原因には、花粉、ダニ、ハウスダストなどがあります。
痒みが強いと目の周辺を触ったり掻きたくなることもあるかもしれませんが、症状が悪化したり傷がついてしまう可能性が高いので控えましょう。生活に支障が出たり、症状が悪化している場合は病院を受診したほうがいいでしょう。主な診療科は眼科です。
また、アレルギー疾患がある方は鼻炎やアトピー性皮膚炎などを併発しやすい傾向があります。すでに他の薬を使用している場合、使用している薬を市販薬・処方薬共に医療機関で伝えるようにしましょう。
目頭がかゆく痛い症状で考えられる原因と治し方
目頭が痒く痛い症状の場合、春季カタルという病気の可能性が考えられます。春季カタルとはアレルギー性結膜炎の一種で、まぶたの裏にブツブツとした隆起ができたり、黒目の周りが腫れたりします。目の痛みや目やに、充血などの症状があらわれます。春先から夏にかけて重症化しやすく、アトピー体質の学童、特に男の子に多く見られます。原因はハウスダストやダニであることが多いですが、花粉や動物のフケなどがアレルゲンとなることもあります。症状を落ち着かせるためには、アレルギーの原因を除去することや、防腐剤不使用の人工涙液の点眼などが挙げられます。症状が悪化すると視力低下につながることもあるため、早めに医療機関を受診しましょう。主な診療科は眼科です。
片目の目頭がかゆい症状で考えられる原因と治し方
片目の目頭がかゆい症状の場合は、感染性の結膜炎の可能性があります。結膜とは白目とまぶたの裏をおおう薄い膜で、そこに細菌などが感染し炎症が起こるのが感染性結膜炎です。
目が充血したり黄色や白色の目やにが出るなどの症状が現れます。抗菌薬の点眼で症状がおさまる可能性があります。数日で良くならなければ眼科を受診しましょう。また、性感染症であるクラミジアが目に感染し結膜炎になることもあります。黄色く粘っこい目やに、まぶたの腫れ、排尿痛などがクラミジア感染の特徴です。目以外の症状がある場合は泌尿器科や婦人科も受診しましょう。
目頭がかゆく腫れている症状で考えられる原因と治し方
目頭がかゆく腫れている症状の場合、眼瞼炎の可能性が考えられます。眼瞼とはまぶたのことで、眼瞼炎とはまぶたが炎症を起こしている病気のことです。まぶた周辺が腫れる、充血する、熱感を持つ、などの症状が現れます。眼瞼炎の原因には、細菌などの感染、アレルギー、皮脂腺の詰まりなどの可能性があります。すぐにできる処置としては、アレルギーが原因の場合は冷湿布などで冷やすと症状が和らぐ可能性があります。症状がよくならない場合は医療機関を受診しましょう。主な診療科は皮膚科、眼科です。
目頭がかゆく赤い症状で考えられる原因と治し方
目頭がかゆく赤い症状の場合は、ドライアイの可能性があります。ドライアイとは、涙の性質が崩れ目の不快感や見えにくさなどを生じる病気です。涙は目の表面を覆い目を保護する役割がありますが、ドライアイになると涙で覆われない部分に傷ができやすくなってしまいます。症状としては、目が乾く、目が霞む、眩しい、目が疲れる、目が赤くなる、目やにが出る、涙が出るなど様々です。ドライアイの原因には加齢や長時間画面を見るなどの生活習慣、コンタクトレンズ、喫煙などがあります。すぐにできる処置としては、防腐剤不使用の人工涙液の点眼、画面を見る時間を減らすことや、コンタクトレンズの装用を減らすこと、加湿器を使用することなどが挙げられます。症状が強い場合は眼科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「目頭がかゆい」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
目の付近や唇が腫れ、呼吸がしづらい症状の場合は、救急科へ
かゆみの症状に加え、目の付近や唇など粘膜が腫れたり、呼吸がしづらい症状が現れた場合は、アナフィラキシーの可能性が考えられます。アナフィラキシーとは、重篤なアレルギー反応で、全身に症状が発生します。症状の特徴としては、アレルゲンになりうるものに触れたり摂取したあと数分から数時間以内という短い間に、全身のかゆみや腫れ、呼吸困難、血圧低下、意識障害、嘔吐などが現れます。原因となる物質には、食べ物や薬物、ハチなどの昆虫の毒などが挙げられます。
アナフィラキシーは生命に関わりますので一刻も早く救急科を受診しましょう。自力で受診が困難な場合はすぐに救急車を呼びましょう。
受診・予防の目安となる「目頭がかゆい」時のセルフチェック法
- ・目頭がかゆい以外に目やにが大量に出る症状がある場合
- ・目頭がかゆい以外に目が痛い症状がある場合
- ・目頭がかゆい以外にまぶたや唇が腫れる症状がある場合
「目頭がかゆい」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「目頭がかゆい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
結膜炎
結膜炎とは、結膜という白目とまぶたの裏を覆う薄い膜に炎症が起きる病気です。目が充血する、目やにが出る、目がかゆいなどの症状が現れます。結膜炎が起こる原因には、細菌やウイルスによる感染、花粉やダニなどのアレルギー反応によるものなどが挙げられます。
対処法は原因によって異なり、細菌感染が原因の結膜炎には抗菌目薬の使用、アレルギー反応が原因の場合は、アレルギーの原因を取り除くことや抗ヒスタミン剤を含む目薬の使用などは効果がある可能性があります。強い充血、目やにの量が多い、涙が出るなど症状が強い場合はウイルス感染の可能性も大いに考えられます。特に感染力の強いアデノウイルスというウイルスに感染している場合、集団感染を防ぐため学校や仕事を休み必要があります。病院で検査できますので、疑わしい場合はすぐに眼科を受診しましょう。また、ウイルス感染以外の場合でも症状が長引く場合は眼科を受診した方がいいでしょう。
ものもらい
ものもらいとは、まつ毛の毛根などに細菌感染が起きたり、まつ毛の根元付近にある皮脂腺が詰まってしまうことにより、まぶたの一部がプツっと腫れる、異物感を感じるなどの症状が現れる病気です。医学的には、感染によるものを麦粒腫、皮脂腺が詰まることによるものを霰粒腫と呼びます。痒かったり異物感があっても患部を触らないように気をつけましょう。細菌感染が原因の場合は抗菌薬の目薬の点眼、皮脂腺の詰まりが原因の場合はまぶたを温めることで症状が和らぐ可能性があります。数日で良くならない場合は病院を受診しましょう。主な診療科は眼科です。
ドライアイ
ドライアイとは、涙の安定性が崩れ目の不快感や見えにくさを生じる病気です。目が乾く、眩しい、目が疲れるなどの症状が現れます。ドライアイが発症する原因には、加齢による涙の量や質の低下、長時間画面を見るライフスタイル、喫煙、コンタクトレンズの装用などが挙げられます。対処法としては、防腐剤不使用の人工涙液を点眼する、加湿器を使用する、長時間画面を見る作業の際はこまめに休憩する、コンタクトレンズの装用を控えるなどの方法があります。症状がひどく生活に支障が出る場合は病院を受診しましょう。主な診療科は眼科です。また、ドライアイの症状に加え口が渇いたり、関節痛を伴う場合は、自己免疫疾患など他の病気の可能性も考えられます。その場合は早めに内科を受診しましょう。
春季カタル
春季カタルとは、アレルギーが原因で起こる重症な結膜炎の一種です。上まぶたの裏にブツブツとした隆起ができたり、黒目の周りが腫れたりします。激しいかゆみ、目の痛み、異物感などの症状が現れます。学童期の特に男の子に多く見られ、春から夏にかけて症状がひどくなる傾向にあります。対処法としては、アレルギーの原因を取り除く、治療法としては抗アレルギー薬の点眼、抗炎症薬の点眼などが挙げられます。春季カタルはかなり症状が重篤ですので、早めに受診した方がいいでしょう。診療科は眼科です。
「目頭がかゆい」ときの正しい対処法は?
目頭がかゆい際、まずは眼科を受診することをお勧めします。しかし時間がどうしても取れない時や症状が軽い時は市販薬を使用するのも良いでしょう。症状を緩和させる市販目薬としては、参天製薬のソフトサンティアなどは涙液不足に伴う目の乾きや異物感を抑える効果があるとされています。他にも市販の目薬は多種多様ですが、気をつけなくてはならないのが防腐剤の有無です。防腐剤は刺激が強く、特に目の表面が傷ついている場合は症状が悪化してしまう可能性があります。目に痛みなどを感じる場合は、目の表面が傷ついている可能性がありますので、特に防腐剤不使用の目薬を選ぶよう気をつけましょう。
目薬の正しい差し方は、手を洗い清潔にした上で、1〜2滴を目薬のケースの先がまぶたや目に触れないように気をつけて差しましょう。点眼後はまばたきをせずしばらくまぶたを閉じましょう。
目頭がかゆいという症状の場合は、アレルギーが原因である可能性が大いに考えられます。ハウスダストやダニアレルギーが原因の場合はこまめに掃除、換気をし、布団にもしっかり掃除機をかけましょう。花粉症などの場合は目に花粉がつかないよう眼鏡やゴーグルを使用するといいでしょう。それでも目に付着してしまった花粉には、防腐剤不使用の人工涙液の点眼が良いでしょう。また、コンタクトレンズの使用はできるだけ控えた方が良いでしょう。コンタクトレンズの使用は目が乾燥しやすくなり、刺激が強く、感染症のリスクもあります。
眉毛の真ん中、目頭と鼻の付け根の骨の間などには目のかゆみや腫れぼったさをとるツボがあるとされています。優しく押すようにしましょう。
洗顔は、まつげの間も優しく洗いましょう。メイクはまつげの内側にはしない方がいいでしょう。まつげの内側には皮脂腺などがあり、メイクにより腺が詰まるとドライアイにな利やすくなったり、ぷくっとしたできものができたりします。目は大変デリケートなので、痒くてもこすったり触ったりしないようにしましょう。かゆみが激しい場合は、冷湿布をすると症状が和らぐ可能性があります。
早く治したい場合や、応急処置をしても良くならない場合は早めに医療機関を受診しましょう。
「目頭がかゆい」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「目頭がかゆい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
目のふち・目頭が痒いのは眼科を受診すべきですか?
伊藤 裕紀(医師)
目のふち、目頭がかゆい場合は眼科を受診しましょう。眉毛の上やほお周りがかゆい場合は皮膚科がいいでしょう。
目がかゆく、特に目頭がかゆくて腫れるのはアレルギーですか?
伊藤 裕紀(医師)
かゆい場合はアレルギーが原因の可能性が考えられます。また重篤なアレルギー反応ではまぶたが腫れることもあります。またまぶたが腫れる病気には甲状腺機能障害や膠原病などの可能性もあります。
目頭だけがかゆいのですが花粉症なのでしょうか。
伊藤 裕紀(医師)
目頭だけがかゆい場合でも花粉症の可能性はあります。また、かぶれ(接触皮膚炎)の可能性もあります。眼鏡やアイメイク、まつ毛などが刺激となり、症状が現れている可能性も考えられます。
目頭の産毛周りがかゆいのですが対処法はありますでしょうか。
伊藤 裕紀(医師)
アレルギーやドライアイなどの可能性が考えられます。かゆくても目をこすらないようにし、コンタクトレンズの使用を控え、アイラインをまつ毛の内側にしないこと、マスカラをまつ毛の生え際につけないなどの対処法があります。アレルギーが原因の場合はアレルギー物質の除去も大切です。
目頭がかゆくできものがあるのですが原因は何でしょうか。
伊藤 裕紀(医師)
できものがある場合、細菌感染を起こして皮脂腺やまつ毛の毛穴が腫れているか、皮脂腺が詰まっている可能性があります。
まとめ
目頭がかゆい症状では、気になって触りたくなるかもしれませんが目の周りが腫れたり痒みが増すなど症状が悪化する可能性が高いためやめましょう。
かゆみの症状は、アレルギーが原因となる場合が多いです。アレルギーの原因を特定し、除去することがとても大切です。
また、目頭がかゆい以外に腫れがあったり、目の痛みがある場合は要注意です。他の症状を併発する場合は重篤なアレルギー反応や、目に傷がついていたり、全身の病気が原因の可能性も考えられます。医療機関を受診し、原因を特定し早めに治療を開始するようにしましょう。
「目頭がかゆい」で考えられる病気と特徴
「目頭がかゆい」から医師が考えられる病気は22個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
アレルギー反応や、細菌やウイルスによる感染、ドライアイなどさまざまな要因が考えられます。
「目頭がかゆい」と関連のある症状
「目頭がかゆい」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「目頭がかゆい」症状の他に、これらの症状がある場合も「結膜炎」「アレルギー性結膜炎」「アトピー性結膜炎」「春季カタル」「巨大乳糖結膜炎」「ものもらい」「ドライアイ」などの疾患の可能性が考えられます。
目が腫れている場合や目が痛い場合には、早めの医療機関への受診をおすすめします。