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「舌が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

舌が痛い

舌が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

D0997

監修歯科医師
D0997(歯科医師)

「舌が痛い」ときに考えられる病気と対処法

舌を誤って噛んでしまったため痛い、という経験はどなたにもあると思います。また、痛みの種類もヒリヒリ・ジンジン・ビリっとするなど様々です。さらには、その痛みが出る時間も時々痛いこともあれば、常に痛いという方まで、舌の痛みについて多彩な種類があります。舌が痛い時に考えられる症状を中心に見ていきます。

舌が痛い・舌全体が痛い症状で考えられる原因と治し方

舌全体が痛い場合は、全身疾患に伴うものや感染症に関連するもの、をまず考えます。
貧血の診断や胃切除を受けた方では、鉄、ビタミンB12、葉酸、亜鉛などが欠乏・吸収できないために、舌のヒリヒリ感が出ることがあります。それぞれ主治医に相談してみると舌の痛みの原因がより早くわかるでしょう。
また、多くの内服薬の副作用には、唾液分泌低下による口腔乾燥があります。唾液による粘膜保護作用が低下しますので、口腔からの感染症によって舌に痛みが出ることがあります。多い疾患としてはカンジダ症、単純性ヘルペス感染、水痘帯状疱疹ウイルス感染などがあります。

舌が痛く、できものができている症状で考えられる原因と治し方

舌にできものができて痛みが出ている場合、口内炎の周囲が少し硬くなっているのをできものに見えてしまうことがありますが、この他には舌がんの可能性も考えておくべきでしょう。いずれにせよ、早めに歯科医院か耳鼻咽喉科を受診し、精査する必要があります。

舌が痛く、口内炎がある症状で考えられる原因と治し方

舌に口内炎(口腔粘膜炎)があるために痛い場合、その原因は様々です。一番多い原因は、近くにある歯の詰め物・かぶせ物や入れ歯が尖っていること、寝ている間に間違って噛んでしまうことです。これは、舌の片方(側面)にできることが多いです。治療は歯科医院を受診し、尖っているところを研磨したり、ステロイド軟膏を塗って口内炎の治りを待ちます。
また、舌の両側にできる場合は、ヘルペスなどのウイルスに感染した場合を考えます。この場合、ステロイド軟膏は口内炎の場所の免疫を抑制してしまい、治癒に時間がかかりますので、使ってはいけません。体の抵抗力が落ちる事で発症することが多いため、基本は安静と栄養です。症状が広範囲・重度の場合は、内科や耳鼻咽喉科などで抗ウイルス薬を使うこともあります。

舌の側面・横が痛い症状で考えられる原因と治し方

舌の横(側面)を舌縁部・舌下面といいます。このエリアに痛みが現れる状況として、一番多いのは虫歯で歯が欠けて尖っている場合、もしくは虫歯を治療した際の詰め物やかぶせ物の段差や尖っている部分が舌に当たって起きる場合です。この他に、入れ歯が入っていると、そのバネの部分や歯の形が尖っているために舌に当たって痛いことがよくあります。
これらは、歯科医院に早めに受診して、尖っている部分を研磨してもらいましょう。
一方、気をつける必要があるのは、初期の舌がんの場合です。これは見た目だけでは口内炎とほとんど違いがありません。このため、最初はステロイド軟膏で経過観察をしたり、レーザーを照射して治癒を待つという口内炎としての対応をしますが、舌がんの場合は病変が大きくなり、痛み・しびれがひどくなっていきますので、2週間で変化がなければ、歯科医院か耳鼻咽喉科で相談する必要があります。

舌の付け根・舌の奥が痛い症状で考えられる原因と治し方

舌の付け根の部分を舌根(ぜっこん)部と言います。しっかり舌を突き出さないと見えず、普段の歯磨きなどで簡単に見える場所ではありません。そのため、たまに見ると、味を感じるセンサー(味蕾)があたかも腫瘍のように見えることがあります。
このあたりが痛い場合、硬い食べ物、箸やフォークなどが当たったり、熱い食べ物での火傷など、思い当たることがなければ、舌がんも念頭に考える必要があります。1−2週間経過を見ても痛みがある場合は歯科、耳鼻咽喉科で相談しましょう。

舌の先が痛い症状で考えられる原因と治し方

このお悩みで多く見られる原因は、下あごの前歯に舌を押し付けている場合や、舌の先を前歯で誤って噛んでしまった場合です。下あごの前歯の並びにガタツキがあると症状が出やすくなります。
まずは痛い部分にステロイド軟膏を塗布し、使って舌をあまり動かさないようにして安静にしてみてください。歯並びの問題について歯科医師に相談することをお勧めします。

舌が痛い症状とストレスの関連性・治し方

仕事が多忙になったり、友人・親戚などの人間関係の問題など、身体へのストレス負荷が大きい場合、舌に痛み・しびれ感を感じる方もおられます。片方だけの場合もあれば、両側に痛み・痺れを感じることもあります。まずは休息や趣味の時間をより多く取るようにしたり、ストレス発散を取り入れてみてください。

すぐに病院へ行くべき「舌が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

1−2週間も痛みが続く場合は、歯科・口腔外科・耳鼻咽喉科へ

舌の片方において、1−2週間も痛い場合は、治りにくい(難治性)口内炎か、舌がんの可能性がありますので、早めの受診をお勧めします。

「舌が痛い」がある症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「舌が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

舌痛症

舌痛(ぜっつう)症は、舌そのものに口内炎や潰瘍、しこりなど明らかな病変が無く、粘膜の色調や舌の動きも問題ないのですが、舌がひりひり、ぴりぴり、じんじんとした感じなどの痛みがある疾患です。趣味など好きな事をしている間はこの痛みを感じないというのが大きな特徴です。
舌痛症の原因はまだ解明されていないため、原因に対する治療法はありません。多くの方は長期にわたって痛みを訴え続けます。
脳から舌までの間で神経を圧迫する病変がないか、まず脳神経内科で相談して確認してもらいましょう。特に病変がない場合、身体的・精神的なストレスをマネジメントすることで軽減されることがあります。仕事の内容や量、職場や知人などとの人間関係、睡眠不足など睡眠の質の低下、お手洗いのために寝ている途中で目が覚める、などへの対策を取る事があります。そのために心療内科や泌尿器科での相談が必要になることもあります。

口腔がん

口腔がんには、舌がん、歯肉がん、唾液腺がんなどいくつか含まれます。また、統計調査では口腔と隣接する咽頭のがんも含めた「口腔・咽頭がん」として表記されることもあります。
口腔がんになる原因は様々です。舌や頰の粘膜は歯や入れ歯などに接触する機会が多い組織です。これらの尖った部分に当たったり、熱い食べ物による火傷、箸やフォークなど硬いものが当たって口内炎になってもなかなか治らず、がんになることがあります。
また、粘膜の疾患のうち、口腔前癌病変(口腔潜在的悪性疾患)と呼ばれるものがあります。他の疾患よりもがんになる可能性が高いといわれる疾患です。具体的には扁平苔癬、白板症、紅板症、慢性カンジダ症、梅毒性舌炎など 12 種類の病気が含まれます。
口腔がんのリスクを高める因子も明らかになっており、飲酒、喫煙、野菜不足です。加熱タバコも紙巻きタバコと同様に有害物質が多量に含まれるため、口腔がんのリスクを高めます。日頃から緑黄色野菜の摂取が少ない人は口腔がんになりやすい傾向があります。
お口の中に今までなかったけれども白い、もしくは赤いできものがある場合、病変周囲にしこりを触れる場合、また拭っても取れない場合には、この口腔がんの可能性を候補に考えておく必要があります。
また、同じ側のあごの下、首(頸部)に大豆くらいの大きさのしこりを触れる場合は、頸部リンパ節転移の可能性もあります。
まずは、歯科医院もしくは耳鼻咽喉科で相談しましょう。口内炎と思って経過観察する場合でも2週間がタイムリミットと決め、より大きな病院で検査を受けるべきかを歯科医院、耳鼻咽喉科で相談しましょう。

舌炎

舌の炎症である舌炎のうち、鉄欠乏性貧血(プランマービンソン症候群)では赤く平らな舌になり、舌の痛みを伴うことがあります。
また、胃切除術後や悪性貧血ではビタミンB12や葉酸が欠乏し、ハンター舌炎となった場合には舌の痛みを感じることがあります。

舌がん

舌がんは口腔がんの1つで、最も多くの割合を占めます。とはいえ、2018年の統計では、日本全国で舌がんと診断されたのは5,148例です。全ての癌と比べれば、希少ながんといえます。
舌は会話したり、食事をする際によく動かすため、歯や入れ歯などに接触する機会が多い組織です。尖った部分に当たったり、火傷をしたりなどで、口内炎がなかなか治らず、がんになることがあります。口腔がんの項目でも書きましたが、口腔前癌病変(口腔潜在的悪性疾患)から舌がんになることもあります。
舌がんの5年生存率がステージ1で90%、ステージ4で50%です(全国がんセンター協議会の生存率共同調査2021年11月)。早期に発見し、病巣が小さく頸部や遠隔転移がないうちに治療することで、より高い生存率が見込めるともいえるでしょう。

「舌が痛い」がある症状の正しい対処法は?

舌が痛い時、まずできる対処法は何かと気になります。まずはよくある口内炎として対処します。内服の痛み止め、口内炎のための塗り薬、口内炎に貼るシールなど市販薬が手元にあったり、ドラッグストアで購入できるようであれば、試してみてください。痛みが軽くなるのか、何時間くらい効果があったのかを見てください。また冷たい氷を口内炎とその周囲に当てることで、痛みが軽くなることもあります。
食事は食べやすいものを摂るようにしましょう。水分もしっかり摂取するようにします。酸味や塩味など刺激物は痛みを増強させるため、避けるべきです。また義歯が当たって痛い場合は、義歯を外してしばらく使わないようにしておきましょう。
タバコは舌の痛みに関係なく、いかなる場合でも禁煙を目指すべきです。
これらはあくまで対処療法にすぎません。病院が受診できるようになったら、早めに受診してください。

「舌が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「舌が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

舌がピリピリ痛いのは何科の病院に行くべきでしょうか?

歯科医師(歯科医師)

お口の中のトラブルですので、まずは近くの歯科医院を受診してみましょう。かかりつけの歯科医院があれば、今までのお口の状況を把握しているので、より安心して受診できると思います。歯科医師が拝見し、対応できる内容であれば治療をします。また、歯科の領域ではなく、内科や耳鼻咽喉科など医師による診察が必要と歯科医師が判断した場合は、その旨の説明があると思います。

舌の痛みが続いているのですがどれくらいで治るのでしょうか?

歯科医師(歯科医師)

舌の痛みは早く治したいですよね。しかし舌に痛みをもたらす原因によって、その治療法・対処法が異なります。たとえばかぶせ物が尖っていて舌が痛いのでしたら、歯科医院で研磨してもらうことにより1回で終わることもあります。一方、原因がなかなかわからない舌痛症の場合は、長期間かかることもよくあります。

ベロがヒリヒリするのは病気ですか?どんな治療法がありますか?

歯科医師(歯科医師)

この訴えで多い原因の1つに、亜鉛の不足があります。亜鉛は普通の食生活でも摂取しますが、偏った食生活などで亜鉛の血中濃度が低下することがあります。そのため、舌のヒリヒリ、味覚障害を引き起こします。また、胃癌などで胃を切除した後、悪性貧血などではビタミンB12、葉酸が体内に吸収しにくくなり、舌のヒリヒリ感につながることがあります。

舌が痛く、赤くなったり白くなったりする原因は何でしょうか?

歯科医師(歯科医師)

舌が赤くなる時は鉄分、ビタミンB12、葉酸などの欠乏で舌炎が起きていることが多く、白くなる時はカンジダという真菌による口腔カンジダ症のために舌に痛みを感じることがあります。

まとめ

以上、ここまで舌が痛いことについて、その原因と対処法について解説しました。もちろん、これらの複数の原因が重なっていることもあります。自己判断だけで対処したけれども1−2週間様子見てもなかなか症状が改善しない場合は、早めに歯科医師、医師に相談するようにしましょう。特に舌がんなどは早期発見・早期治療が重要です。

「舌が痛い」で考えられる病気と特徴

「舌の側面が痛い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

舌が痛い症状の原因は、舌そのものによる病気以外にも、全身疾患に伴うものや感染症に関連する病気までさまざま考えられます。

「舌が痛い」と関連のある症状

「舌が痛い」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「舌が痛い」他に、これらの症状が見られる際は、「口内炎」「舌がん」「口腔がん」「舌炎」「舌痛症」などの疾患の可能性が考えられます。自己判断で対処して2週間様子見てもなかなか症状が改善しない場合は、早めに医療機関へ受診しましょう。

この記事の監修歯科医師

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