横浜FCの徹底した栄養管理
中村選手は、現在、どのように栄養管理をされているのでしょうか?
中村選手
横浜FCでは、LEOCさんが食事を管理してくれています。クラブハウスの食堂で朝食から夕食まで摂ることができるため、基本的に栄養管理はほぼお任せしています。
宮澤さん
私たちは、練習や試合などのスケジュール、選手たちの状態、季節などを考慮しながら食事のメニューを作っています。例えば試合当日は消化がしやすく、すぐエネルギーになる、うどんなどの炭水化物をメニューに入れたりしています。特に今シーズンは例年よりも試合間隔が短いため、食が進みやすいメニューを考えるようにしていました。
中村選手
管理が行き届いているので、特に若い選手にはとても良い環境ですね。昼食が出るクラブはありますが、朝食と夕食まで管理してくれているクラブは他にはないと思います。
金子先生
素晴らしい環境ですね。先ほど「お任せ」とおっしゃいましたが、食事・栄養への理解は進みましたか?
中村選手
「お任せ」と言っても、LEOCさんに出してもらった食事をただ食べるだけではなくて、メニュー表やそこに書かれている説明を見て、自分で理解するようにしています。理解していなければ、行動できませんからね。また、いま理解しておくことは、将来、指導者になった時にも役に立つと思います。
金子先生
やはり高い意識を持たれていているんですね。長い間第一線で活躍するのには理由があるんだなと感じました。
中村選手
先日、食堂に今川焼きが置いてありました。僕は甘いものが好きなんですよ。LEOCさんが考えてくれているものだから安心して食べられるのですが、あれは補食に良いということですか?
宮澤さん
そうですね。脂質があまり高くなく、かつしっかりとエネルギーを確保できると考えてご提供しています。
中村選手
しっかりとバランスを見てくださっているんですね。
海外で感じた食習慣の違い
中村選手は23年間プロ選手として活躍されてきました。その間には、自分で栄養管理を工夫しないといけない時もあったと思います。どんなことを気にされていましたか?
中村選手
イタリアでプレーをしていた時は、妻と子どもは日本にいたので、トレーナーの方に食事を見ていただいていました。現地の食べ物ばかり食べていたらすぐ太ってしまうので、かなり気を遣っていました。
金子先生
日本人と海外の方とでは消化器機能が違いますからね。
中村選手
例えば、鉄分を摂りたくても、イタリアにはひじきが売ってないんです。だから、それをほうれん草で補うなどの工夫をしていました。グラスゴー(スコットランド)では日本の食品が買えたので、冷凍の納豆を購入したりしていましたが、それでも代表で日本に戻る度に食材を持って帰ってきていました。
宮澤さん
練習や試合の前後などで変えていたことはありましたか?
中村選手
海外でプレーをしていた時は、試合の3時間半から4時間前にパスタが出るだけで、軽食はありませんでした。だから、試合の日は朝食を多めに食べて、エネルギー補給のためにバナナを持参するなどして、自分なりに工夫してやりくりをしていました。
金子先生
海外は3食しっかり摂る日本とは習慣が違いますし、例えば夕食を摂らない国もありますよね。
中村選手
習慣の違いには驚かされますね。合宿中にイタリア人の選手をみて本当にびっくりしたのですが、彼らは、朝にエスプレッソを飲むだけで練習に参加しているんですよ。さすがにそれでは良いコンディションを作ることはできないので、僕はコーンフレークとバナナを詰め込んで2部練習に臨んでいましたが、とてもきつかったです。
金子先生
海外では、食事・栄養の面でも実力が発揮しづらい環境だったのですね。
中村選手
ただ先ほども話した通り、環境は自分で整えられるので、チームの方に、「朝からリゾットを作ってほしい」とお願いしました。最初は嫌がられましたが、試合で良いパフォーマンスを出すと、そのような要望がだんだん認められていきました。
金子先生
そのようにして、実力が発揮できる環境を自ら作っていったのですね。