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2025年も警戒を! 去年の夏に流行した感染症まとめ【手足口病・ヘルパンギーナ・梅毒まで】

 公開日:2025/06/27

2024年の夏は、手足口病やヘルパンギーナ、RSウイルス感染症など、複数の感染症が全国的に流行しました。新型コロナウイルスの影響でしばらく落ち着いていた感染症も、ここ数年で再び勢いを増し、保護者や保育・教育現場ではあらためて予防の重要性が見直されています。そこで、昨夏に流行した感染症の特徴、今年もやっておくべき感染対策について、本多医師に解説していただきました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

2024年夏に流行した感染症

2024年夏に流行した感染症について教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

2024年夏に流行した5つの感染症について解説します。

  • 手足口病
  • 手足口病とは、口の中や手足に水疱性の発疹が表れるウイルス性の感染症で、主に夏にかけて乳幼児を中心に流行します。原因となるウイルスは複数あり、「コクサッキーウイルス」や「エンテロウイルス」が代表的です。2歳以下の子どもに多くみられますが、小学生にも広がることがあります。2024年は新型コロナウイルス流行前と同様に4月頃から報告数が増加し、2024年のピークである7月8日〜14日の週には1医療機関あたりの感染者数が13.34人を記録しました。

  • 咽頭結膜熱(プール熱)
  • 咽頭結膜熱は「アデノウイルス」によって引き起こされる感染症で、発熱、のどの痛み、結膜炎といった症状が特徴です。主に子どもに多くみられ、かつてはプールでの接触やタオルの共用が感染経路となったため「プール熱」と呼ばれていました。現在では衛生管理の徹底により、プールでの集団感染は減少しています。2024年の1月1日〜7日に全国的な流行のピークを迎え(1医療機関あたりの報告数1.46人)、その後も例年通り6〜8月にかけて増加傾向がみられました。

  • 梅毒
  • 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌によって引き起こされる性感染症で、主に性的接触を通じて、口や性器、肛門などの粘膜や皮膚から感染します。オーラルセックスやアナルセックスでも感染することがあり、一度治療しても再感染する可能性があります。梅毒は季節性のない感染症ですが、2024年は夏頃から全国的に感染者数が急増しており、特に9月30日~10月6日の週には232人が報告され、年間を通じた感染のピークとなりました。

  • ヘルパンギーナ
  • ヘルパンギーナとは、主に乳幼児にみられる夏風邪の一種で、突然の高熱とのどの痛み、水疱を特徴とするウイルス感染症です。原因ウイルスは主に「コクサッキーウイルスA群」で、毎年5月頃から患者数が増加し、7月にピークを迎え、9〜10月には落ち着く傾向があります。2024年は7月8日〜14日に全国の1医療機関あたり2.42人と、流行のピークを記録しました。

  • RSウイルス感染症
  • RSウイルス感染症は「RSウイルス」による呼吸器の感染症で、世界中に広がっています。特に乳幼児に多く、2歳までにほぼ全ての子どもが一度は感染するとされます。症状は軽い風邪から肺炎まで幅広く、初感染や生後6カ月以内の感染では重症化することがあります。近年は夏に流行のピークを迎える傾向があり、2024年は7月8日〜14日にかけて全国の1医療機関あたり1.84人の感染報告がありました。

2024年の夏の感染症の振り返りと今年の対策

2024年の夏の感染症に関する振り返りと今年取るべき対策を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

2024年はRSウイルス感染症や手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱など、複数の感染症が流行しました。いずれも飛沫感染や接触感染を主な経路とし、集団生活の中で広がる傾向があります。

特にRSウイルス感染症は0〜1歳児に多く、重症化のリスクが高いため注意が必要です。手足口病やヘルパンギーナの対策では、症状が治まった後も便から長期間ウイルスが排出されることがあるため、発症者だけを隔離するのではなく、普段からの丁寧な手洗いやおむつ処理の徹底が何より重要です。プール熱対策では、タオルの共用を避けること、RSウイルス感染症対策では咳のある場合のマスク着用、そして環境消毒の実施なども有効です。

こうした基本的な感染対策を日常的に実践していくことが、家族全体の健康を守る第一歩と言えるでしょう。

編集部まとめ

今回は、2024年夏に流行した感染症を紹介しました。普段から手洗いやマスク、タオルの共用を避けるなど、日常のちょっとした習慣が感染予防につながります。家族の健康を守るためにも、今一度「基本の対策」を見直してみましょう。

この記事の監修医師