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「百日咳」患者が宮崎などで増加中! 中国では6万人が感染「長引く咳に注意して」

 公開日:2024/05/24

激しい咳が続く「百日咳」の感染者数が、宮崎市などの一部の自治体で増加傾向にあります。自治体はHPなどで注意を呼びかけています。今回、なぜ一部の地域で百日咳の患者が増加しているのかについて、中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

百日咳の感染状況とは?

百日咳の感染状況について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

百日咳の感染者数については、一部の自治体で前年同月期と比べて増加傾向にあります。例えば、宮崎市では2024年4月5日にホームページで注意喚起をおこなっています。宮崎市によると、2023年~2024年3月までは百日咳の感染報告がありませんでしたが、2024年4月は5日間で11件の感染報告があったとのことです。その後も感染者数は増えており、2024年5月5日までに感染報告は計20件となりました。

感染者を年齢別に見ると、1~4歳が4人、5~9歳が5人、10歳代の小学生が2人となっており、幼児や子どもたちに感染が広がっていることがわかります。ここ数年の宮崎市の百日咳の患者数は年間で1人か2人、宮崎県内全体でも多い年でも40件未満となっていました。

宮崎市によると「新型コロナウイルス対策が緩和され、人との接触の増えたことなどによって感染者が増えている可能性がある」とのことです。また、宮崎市の清山市長は「乳幼児や就学前の子どものワクチン接種とともに、咳が長引く場合などは早めに医療機関を受診してほしい」とコメントしています。

百日咳の他国の感染状況について、中国では2024年3月だけで2万7000人を超える感染者が確認されています。中国の国家疾病予防・コントロール局によると、2024年1~3月で約6万人が感染し、13人が死亡しています。死亡例のほとんどが、ワクチン接種月齢以下の生後3カ月以下の乳幼児という報道もされています。

百日咳とは?

百日咳について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

百日咳は激しい咳を伴う病気で、百日咳菌に感染することで発症します。感染経路としては、主に気道の分泌物によって感染が広がっていきます。激しい咳が出るため、乳幼児では呼吸ができなくなり、チアノーゼと呼ばれる血液中の酸素が不足して皮膚が青っぽく変色する状態になったり、けいれんを起こしたりすることがあります。また、窒息や肺炎などの合併症が起きる場合もあります。

百日咳にかかった子どものうち、0.2%が亡くなると言われています。なお、生後6カ月以内の場合は死亡率が0.6%に上がります。また、合併症として肺炎になる子どもが約5%、生後6カ月以内では約12%いるとされています。

百日咳を予防するためには、ワクチン接種が有効とされており「罹患リスクを80~85%減らすことができる」との報告があります。

百日咳の感染者数増加についての報道への受け止めは?

百日咳の感染者数増加についての報道への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

百日咳は感染力は強く、「はしか」と同程度とされています。感染経路はくしゃみなどの飛沫を吸い込むことによる「飛沫感染」と、手指などを介した「接触感染」の2つです。

感染した場合でも、早い段階であれば抗生物質を使用することで、症状の軽減や罹病期間を短縮することが可能とされています。ワクチン接種・基本的感染対策に加えて、変わった咳が長く続いていると思ったら、早めに医療機関を受診することが感染の封じ込めに重要と考えます。

まとめ

激しい咳が続く百日咳の感染が宮崎市などの一部の自治体で増加傾向にあり、自治体がHPなどで注意を呼びかけていることが今回のニュースでわかりました。罹患した子どもが死亡するリスクもある病気の感染者数増加は、今後も注視する必要があります。

この記事の監修医師