「はしか」感染者が急増中! 「ワクチン接種を検討してほしい」厚労省
全国で相次いではしか(麻疹)の感染者が確認されています。自治体や厚生労働省が注意を呼びかけています。この内容について中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
はしかの感染状況とは?
はしかの感染状況について、最近の動向を教えてください。
中路先生
2024年2月以降、はしか感染者の報告が日本各地で相次いでいます。奈良県では海外から入国した男性がはしかに感染し、この男性と接触のあった別の男性も感染しています。また、3月1日にアラブ首長国連邦から帰国した大阪府の男性も、はしかの感染が判明しています。この男性を含め、同じ飛行機に乗っていた男女8人が感染していたとのことです。
東京都でも、5歳未満の男児のはしか感染が確認されています。男児は2024年3月4日に発熱や発疹などの症状が出て、11日にはしかへの感染が確認されました。男児には海外の渡航歴があり、症状が出た前日の2024年3月3日に足立区内の飲食店を利用していました。東京都は、症状が疑われる人は医療機関に相談するよう呼びかけています。
国立感染症研究所によると、2020年以降のはしかの感染者数は、年間で数人から数十人程度にとどまっているとのことです。しかし、新型コロナウイルス流行前の2019年は、世界的にはしかが流行しており、日本でも700人を超える感染者が報告されていました。厚生労働省は、「自分がはしかのワクチン接種を2回完了しているかどうかを確認した上で、接種が必要な場合はワクチンの接種を検討してほしい」と呼びかけています。ワクチンの接種の履歴については、母子手帳などで確認することができます。
はしかとは?
今回のニュースで取り上げたはしかについて教えてください。
中路先生
はしかは、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。空気感染や飛沫感染、接触感染がウイルスの感染経路で、感染力が非常に強いウイルスです。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%の確率で発症し、感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
はしかに感染してから約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が出てきます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。また、肺炎や中耳炎を合併しやすく、1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。
はしかを予防するためには、ワクチン接種が最も有効です。はしか感染者に接触した場合でも、72時間以内にワクチンの接種をすることで、発症を予防できる可能性があります。ワクチンを接種することで、95%程度の人が麻疹ウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。
はしかの感染状況への受け止めは?
はしかの感染状況への受け止めを教えてください。
中路先生
現在、アジア・アフリカを中心にはしかが広がっており、それらが日本にも持ち込まれている状況です。その背景には、新型コロナウイルス流行時に、はしかのワクチン接種率の低下が指摘されています。日本でもワクチン接種していない人を中心に、感染が広がっていると考えられます。はしかは非常に強い感染力を持っていますが、ワクチンを2回接種すれば高確率で発症を予防できることが知られています。母子手帳などで接種歴を確認し、1回しか受けていない人は2回目の予防接種をおこなうことが対策として重要です。
まとめ
全国で相次いではしかの感染者が確認されており、自治体や厚生労働省が注意を呼びかけていることがわかりました。厚生労働省は、はしかのワクチン接種を2回完了しているかどうかを確認した上で、必要な場合はワクチンの接種を検討してほしいと呼びかけています。