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RSウイルス用「mRNAワクチン」を了承 コロナ以外で初、新たな感染予防に期待高まる

 公開日:2025/05/01

厚生労働省は、アメリカのモデルナ社がmRNA技術を用いて開発したRSウイルス感染症のワクチンについて、承認を了承しました。この内容について本多医師に伺いました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

研究グループが発表した内容とは?

厚生労働省が発表した内容を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

厚生労働省は、モデルナ社がmRNA技術を用いて開発したRSウイルス感染症のワクチンの承認を了承しました。正式に承認されれば、国内で新型コロナウイルスに対するワクチン以外で初のmRNAワクチンとなります。RSウイルス感染症は乳幼児を中心に重症化しやすく、特に低出生体重児や心疾患や肺疾患を持つ子どもでは重篤化のリスクが高い感染症です。

RSウイルスは世界中に存在し、特に都市部では毎年流行を繰り返しています。乳幼児の肺炎や細気管支炎の大きな原因とされていますが、成人や高齢者でも重症化するケースが増えています。現在の治療は酸素投与や輸液などの支持療法が中心であり、RSウイルスに対する特効薬は限られています。

今回のmRNAワクチンは、これらの課題を克服できる可能性がありますが、mRNAワクチン特有の副反応リスクや、乳幼児への安全性に関しては、今後慎重な検証が求められます。特に新技術による初の小児用mRNAワクチンとなるため、社会全体での安全性への理解と継続的な監視が重要です。

研究テーマになったRSウイルス感染症とは?

今回の研究テーマに関連するRSウイルス感染症の流行のピークや感染経路、初期症状について教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

RSウイルスは、年齢を問わず感染を引き起こす呼吸器ウイルスで、特に乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ方に重症化リスクがあります。日本では例年、冬季(11〜1月頃)に流行のピークを迎えていましたが、近年は夏季にも流行がみられる傾向があります。感染経路は主に飛沫感染接触感染であり、ウイルスを含む飛沫や汚染された手指、物品を介して広がります。RSウイルスの潜伏期間は2〜8日で、初期症状は発熱、鼻水、咳などの上気道炎症状が中心ですが、重症化すると細気管支炎や肺炎を引き起こすこともあります。

研究内容への受け止めは?

厚生労働省が発表した内容への受け止めを教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、現在世の中でワクチンの開発が次々と進められています。RSウイルスに対するワクチンは任意接種であり、乳幼児に接種するかどうかは親の判断に委ねられています。

どの種類のワクチンを選択するかももちろん重要ですが、自分の子どもがその疾患に罹患するリスクや重症化するリスクが高いのかどうかを、ある程度親御さんも知っておく必要があるとも言えます。ワクチンの開発は望ましく、予防できる疾患が増えていくことは望ましいと言え、今後ガイドラインの整備が期待されます。

編集部まとめ

RSウイルス感染症は乳幼児や高齢者にとって深刻な脅威ですが、新たなワクチン技術により予防への期待が高まっています。日常生活では、流行期にこまめな手洗いや咳エチケットを心がけることで、感染リスクを大きく下げることができます。身近な対策を続けて、大切な家族を守りましょう。

この記事の監修医師