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新型コロナ・インフルエンザ・RSウイルスの同時検査が保険適用「陽性者の鑑別が簡便に」

 更新日:2023/03/27
同時流行に備えてコロナ・インフル・RSの同時検査手法の保険適用続く

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されていることを受けて、厚生労働省は新型コロナウイルス・インフルエンザ・RSウイルスの同時検査手法の保険適用を承認しました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

同時検査手法の保険適用とは?

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されている中、厚生労働省が保険適用を進めている検査対象について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

新型コロナウイルスと季節性インフルエンザが同じタイミングで感染拡大する、いわゆる同時流行が懸念されています。こうした背景から2022年12月26日、厚生労働省は臨床症状が類似している新型コロナウイルス・季節性インフルエンザ・RSウイルスを同時に鑑別できるPCR検査に関して、ベックマン・コールター社の「セフィエド(Xpert Xpress CoV-2/Flu/RSV plus)」の薬事承認と保険適用を発表しています。

また、新型コロナウイルス・季節性インフルエンザを同時に鑑別できる抗原定性検査に関しては、ミズホメディー社の「クイックチェイサー(SARS-CoV-2/Flu )」、富士フイルム社の「富士ドライケム IMMUNO AGカートリッジCOVID-19/Flu」の2製品が12月26日に薬事承認・保険適用されました。

厚生労働省は、全国の新規感染者数の増加速度は低下しているものの増加傾向が継続していることや、病床使用率が全国的に上昇傾向にあり、重症者数と死亡者数は増加傾向が継続していることなどを明らかにしており、より柔軟かつ円滑に陽性者の鑑別がなされる体制が目指している状況です。

今シーズンのインフルエンザの流行予測は?

既に新型コロナウイルスが流行しているのはわかるのですが、インフルエンザの今シーズンの流行予測について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今シーズンのインフルエンザの流行については、2022年7月に日本感染症学会が医療機関に対して提言を発表しています。この提言によると、南半球のオーストラリアでの流行を見ると2022年4月後半からインフルエンザ感染者の報告数が増加して、例年を超えるレベルの患者数となり、医療のひっ迫が問題となっていることから、「日本でも2022年の秋から冬には、オーストラリアと同様の流行が起こる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。

さらに日本感染症学会は、「この2年間は日本国内でのインフルエンザの流行がなかったために、社会全体のインフルエンザに対する集団免疫が低下している」と考えられ、「いったん感染が起こると、特に小児を中心に大きな流行となる恐れがある」と指摘しています。インフルエンザのウイルスタイプについては、オーストラリアで2022年度に検出されたインフルエンザウイルスのうち、サブタイプが判明したものでは、約80%がA(H3N2)、約20%がA(H1N1)だったことから、日本でもA(H3N2)香港型の流行が主体となる可能性があると指摘しています。

同時検査手法の保険適用についての受け止めは?

同時検査手法の保険適用についての受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

実際の臨床の現場では現在、新型コロナウイルスとインフルエンザの抗原検査はルーティンとなりつつあります。今回の同時検査手法の保険適用は、患者・医療従事者にとって歓迎されるものであると考えます。

まとめ

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されていることを受けて、厚生労働省は新型コロナウイルス・インフルエンザ・RSウイルスの同時検査手法の保険適用を承認したことが今回のニュースで明らかになりました。今後の同時流行を乗り切る体制作りについても注目が集まります。

この記事の監修医師