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「成人は6時間以上」厚労省が睡眠ガイド作成、日本人の睡眠時間は33カ国で最低

 公開日:2024/01/16
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を取りまとめ

厚生労働省は、睡眠時間の目安などを示した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をまとめました。睡眠時間について、成人は6時間以上、小学生は9~12時間、中高生は8~10時間を推奨する一方で、高齢者は寝床にいる時間が8時間以上にならないよう求めています。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

厚生労働省がまとめた「健康づくりのための睡眠ガイド2023」とは?

厚生労働省がまとめた「健康づくりのための睡眠ガイド2023」について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

厚生労働省は、推奨する睡眠時間や生活習慣を世代ごとに示した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をまとめました。健康的な睡眠のための指針については約10年前にも一度まとめられていましたが、その後も睡眠による休養を十分とれていない人が増えているなどの背景があり、今回新たに作成されました。

睡眠ガイドでは、成人と子ども、高齢者の3つの世代に分けられています。成人に推奨する睡眠時間は6時間以上が目安、子どもについては小学生が9~12時間、中学生・高校生が8~10時間を目安にすることが推奨されています。一方、高齢者については、寝床にいる時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保すべきことが示されています。

睡眠ガイドには、最近の研究で明らかになった内容も盛り込まれていています。例えば、成人と高齢者は「目覚めた時に体が休まった」と感じる睡眠休養感が重要で、アメリカでおこなわれた調査では「40~64歳の世代は睡眠時間が5時間半未満で睡眠休養感が低いほど死亡リスクが高まる」という結果が紹介されています。この睡眠休養感を高めるためには、就寝間際に夕食を摂ることや、朝食を抜くなどの習慣改善が挙げられています。

子どもに関する研究については、「睡眠不足で肥満リスクが高くなったり、成績が低くなったりする」という報告が記載されています。この対策として、小学生から高校生までは1日に1時間以上体を動かし、ゲームやスマートフォンの利用時間を2時間以下にするなどの生活習慣の対策をおこなうことが推奨されています。

日本人の睡眠のレベルは?

今回、睡眠に関するガイドがまとめられましたが、実際に日本人の睡眠レベルは世界と比べてどれくらいのレベルなのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

経済協力開発機構(OECD)の2021年の調査によると、「日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、各国平均の8時間28分よりも1時間以上短く、33カ国の中で最も短い」という結果が出ています。また、日本では年代や男女による違いもみられており、総務省が2021年に1日の時間配分についておこなった調査では、20~24歳までは男女ともに睡眠時間は平均8時間20分ほどで、ほぼ差がなかった一方、25~34歳まででは男性は8時間で、女性よりも7~15分ほど短くなりました。35歳以降になると男女の睡眠時間が逆転し、女性の方が短くなるという結果が出ています。全ての年代で最も睡眠時間が短い傾向がみられたのは50代の女性で、50~54歳までの女性では7時間8分、55~59歳までの女性では7時間7分でした。

「健康づくりのための睡眠ガイド2023」への受け止めは?

厚生労働省がまとめた「健康づくりのための睡眠ガイド2023」への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

睡眠不足は「寝だめ」では解決せず、睡眠不足が溜ると、その回復までにはかなり時間がかかると言われています。日中に眠気を感じるようであれば、「パワーナップ」が有用です。パワーナップとは午後に15~30分程度の短い昼寝をすることで、その後の疲労感がとれ、作業効率がアップします。ただし、昼寝は15時までにとりましょう。また、朝食を摂ると朝の目覚めが促され、適度な運動は入眠を促します。睡眠不足は注意力や集中力、生産性を低下させるので、国全体の経済にも影響を与える重要な要件であると言えるでしょう。そのため、今回の厚生労働省の睡眠に関するガイドラインは有用なものであると考えられます。

まとめ

厚生労働省が睡眠時間の目安などを示した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をまとめたことが今回のニュースでわかりました。睡眠ガイドには、より良い睡眠のための対策なども書かれているので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修医師