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「フォローアップミルクなどのミルク製品は大半の子どもに不要」米国小児科学会

 公開日:2023/11/08
米国小児科学会 フォローアップミルクなどミルク製品は大半の子供に不要との見解示す

米国小児科学会は、生後6カ月~3歳頃までの乳幼児用に販売されているOIYCF(年長乳幼児用ミルク)について、「栄養面で不完全」として大半の子どもには不要だとする見解を改めて示しました。この内容について武井医師に伺いました。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

米国小児科学会が示した見解とは?

今回、米国小児科学会が示した内容について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

2023年10月20日、米国小児科学会のHP上で赤ちゃん用の粉ミルクの摂取についての見解が発表されました。発表の冒頭で米国小児科学会は、「生後6~36カ月の高月齢の乳幼児を対象とした粉ミルクカテゴリーがここ数年で注目されるようになった。しかし、名称や組成が標準化されておらず、販売方法にも疑問がある」と提示した上で、「小児期の十分な栄養を確保する上でこれらの飲料が果たす役割の一部については、不確実性や誤解がある」としています。

米国小児科学会は栄養面について、「医療用または治療用ミルクは、慢性胃腸疾患、代謝障害、食物アレルギーなどの様々な症状に適応するが、OIYCFとは異なるものである」と明記しています。また、「標準的な乳児用ミルクとは異なり、FDA(アメリカ食品医薬品局)はOIYCFの明確なカテゴリーを設けておらず、12カ月以上の子ども用ミルクの組成や定義に関するアメリカの国家基準、国際的な統一基準もない」と問題点を指摘しています。

その上で、米国小児科学会は「ほとんどの小児において、母乳もしくは牛乳を含むバランスのとれた食事と比較してOIYCFに栄養学的な利点はない」とし、メーカーに対しては「製品を栄養学的に利点があるように宣伝すべきではない」と訴えています。また、「健康診断の一環として、医療チームが家族に対してOIYCFについての教育することが奨励される」と記述しています。

OIYCFとは?

米国小児科学会が「大半の子どもに不要」と示した、OIYCFについて教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

OIYCFは、離乳食で不足しがちなタンパク質や脂質に加え、鉄、ビタミンCなどを多く含んだ製品です。また、ビタミンD・E、オリゴ糖、カルシウム、ヌクレオチド、β-カロテンなどの成分も適切に配合されています。

OIYCFが有用なケースは?

米国小児科学会はOIYCFについて「大半の子どもには不要」とする見解を示していますが、有用になるケースはあるのでしょうか?

武井 智昭 医師武井先生

鉄欠乏性貧血で不機嫌や不眠などをきたす子どもが、鉄の補充のためにOIYCFを摂取するのは有用であると考えられます。ほかにも、ウイルス感染を繰り返しやすいお子さんに対して、ビタミンD・Eなどの免疫を増強する成分が含まれているOIYCFの摂取は一役買うのではないでしょうか。

まとめ

米国小児科学会は、生後6カ月~3歳頃までの乳幼児用に販売されているOIYCFについて「栄養面で不完全」として、大半の子どもには不要だとする見解を改めて示したことが今回のニュースでわかりました。子どもの栄養については関心が高い人も多く、今回の発表は注目を集めそうです。

この記事の監修医師