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生後6カ月~17歳への新型コロナワクチン接種推奨は継続 日本小児科学会

 公開日:2023/10/17
日本小児科学会 生後6か月~17歳の小児への新型コロナワクチン接種推奨を継続

日本小児科学会は「国内の小児に対する新型コロナウイルスワクチンの接種の意義について再度検討した結果、生後6カ月~17歳の全ての小児への接種を引き続き推奨することを決定した」と発表しました。この内容について、武井医師に伺いました。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

日本小児科学会が発表した内容とは?

日本小児科学会が発表した小児への新型コロナウイルスワクチンの接種についての方針について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

2023年10月3日、日本小児科学会は「小児への新型コロナワクチン令和5年度秋冬接種に対する考え方」という文書を発表しました。新型コロナウイルスの流行状況やワクチンの開発状況を受けて、厚生労働省の審議会が2023年秋以降の新型コロナワクチンはオミクロンXBB.1.5対応1価ワクチンの使用を基本としました。また、公費負担は継続されるものの、従来の努力義務や接種勧奨などの公的関与は重症化リスクが高い者に限定されることになったことを受けて、国内の小児に対するワクチン接種の意義について再度検討しました。その結果、国内の小児に対する新型コロナウイルスの脅威は依然として存在すること、感染および重症化を予防する手段としてのワクチン接種は有効であることから、生後6カ月~17歳の全ての小児への新型コロナウイルスワクチンの接種を引き続き推奨するという結論を出しました。

日本小児科学会は、小児に対するワクチン接種を推奨する5つの理由を挙げました。

流行株の変化によって今後も流行拡大が予想される
国内の約半数は未感染者であり、今後も感染機会が続く
小児においても重症例・死亡例が発生している
小児へのワクチン接種は有効である
小児のワクチン接種に関する膨大なデータが蓄積され、より信頼性の高い安全性評価が継続的におこなわれるようになった

小児への新型コロナウイルスワクチンの接種の有効性は?

日本小児科学会が、生後6カ月~17歳の全ての小児への新型コロナウイルスワクチンの接種を引き続き推奨することを決定した理由の中で、「小児へのワクチン接種は有効である」という項目がありました。この接種の有効性について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

アメリカのノースカロライナ大学らの研究グループは、ワクチンの長期的な効果の検討をしています。研究グループは、2021年10月29日~2023年1月6日にかけて、136万8721人の11歳以下の小児を対象とした観察研究をおこないました。その結果、5~11歳の小児では、最初におこなう2回の接種のみならず、その後の追加接種による効果も確認されています。2価ワクチンを用いた追加接種による発症予防効果は、接種後1カ月時点で76.7%でした。また、ワクチン接種による追加の発症予防効果が得られることも確認されています。0~4歳の小児における初回シリーズにあたる3回接種の発症予防効果は接種後2カ月で63.8%、接種後5カ月で58.1%でした。いずれの年齢群においても、重症化予防効果は発症予防効果よりも高いことが確認されています。

日本小児科学会が発表した内容への受け止めは?

日本小児科学会が発表した内容への受け止めを教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

新型コロナウイルスに感染した小児での重症例は少ないという報告もあることに加えて、細菌性髄膜炎予防のワクチン(ヒブ、肺炎球菌)、4種混合、日本脳炎などの定期接種もあります。ワクチン接種が複雑化する小児において、定期接種をまず優先に接種されることを推奨します。

まとめ

日本小児科学会は、「国内の小児に対する新型コロナウイルスワクチンの接種の意義について再度検討した結果、生後6か月~17歳の全ての小児へのワクチン接種を引き続き推奨することを決定した」と発表しました。新型コロナウイルスワクチンを子どもに接種することに悩んでいる人は、こうした学会の発表も参考にするといいかもしれません。

この記事の監修医師