新型コロナワクチン「無料接種」今年度で終了、65歳未満は原則自己負担に
新型コロナウイルスのワクチン接種について、接種の費用を全額公費で負担する特例臨時接種が今年度末で終了することになりました。この内容について、郷医師に伺いました。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
厚生労働省が決めた方針とは?
厚生労働省が新型コロナウイルスのワクチン接種について決めた方針について教えてください。
郷先生
厚生労働省は2023年9月8日に開かれた専門家部会で、新型コロナウイルスのワクチン接種についての議論をおこないました。現時点で新型コロナウイルスのワクチン接種は、予防接種法上の臨時接種に位置付けられているため、接種費用については全額公費で実施されています。専門家部会は、新型コロナウイルスがオミクロン株に変異してから重症化率が低下していることや、感染症法上で5類に移行したことなどから、「まん延予防上緊急の必要がある状況にはない」と判断しました。
24年度以降、65歳以上の高齢者らはインフルエンザなどと同じ、公費助成で無料、もしくは低額で受けられる定期接種の扱いとして、それ以外は希望者が自己負担で受ける任意接種とする方向で検討しているとのことです。また、専門家部会は、新型コロナウイルスのワクチン接種の目的を重症化予防と位置付け、これまで年末年始に比較的大きな感染拡大を繰り返していることから、接種時期を秋冬とする案を示しました。
使用するワクチンは流行する変異株に応じて毎年見直すという考えを示しました。専門家部会は今後も検討を進め、2023年中にも最終的な方針を取りまとめる予定です。
今年度の接種スケジュールは?
今年度の新型コロナウイルスワクチンの接種スケジュールを教えてください。
郷先生
今年度については、予防接種法上の臨時接種に位置付けられるので無料で接種することができ、生後6カ月以上の全ての人を対象に9月20日からおこなわれます。
使用するワクチンはオミクロン株の派生型の「XBB」系統に対応するもので、先日承認されたファイザー製が使用されることが決まっています。なお、モデルナ製のワクチンについては、2023年9月12日に厚生労働省が国内での使用を承認しているので、専門部会が了承すれば今秋の接種での使用されることになりそうです。法律に基づいて自治体が接種券を送付するなどして接種を勧める「接種勧奨」や、接種を受けるよう努めなければならないとする「努力義務」の規定については、重症化リスクの高い人にのみ9月20日から適用されます。
厚生労働省が決めた方針への受け止めは?
厚生労働省が決めた方針について受け止めを教えてください。
郷先生
感染法上の扱いが変わったため、ワクチンの補助についても変更されると思われていましたが、やはり無料接種は終了ということになりました。しかし、5類になって安心しがちではありますが、ワクチン未接種であると重症の肺炎を起こすこともあり、まだまだ注意が必要な感染症ではあります。特に重症化リスクのある人に対して重点的な接種が必要です。引き続き、ワクチン接種をぜひとも検討するようお願いします。
まとめ
新型コロナウイルスのワクチン接種について、接種の費用を全額公費で負担する特例臨時接種が2024年3月31日で終了することになりました。2024年度からは、高齢者など重症化リスクの高い人を対象に年1回の接種とする方向で、年内にも結論が出る予定です。