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「新型コロナ死亡者の9割が70代以上の高齢者」第8波の猛威衰えず、医療対応が今後のカギに

 更新日:2024/03/08
新型コロナ第8波 死者9割超が70代以上

新型コロナウイルスによる死者の増加傾向が続いており、1月23日時点で累計死者数が6万5622人になっています。第8波の死者の9割以上は70歳以上になっており、高齢者への対応が求められています。今回のニュースについて甲斐沼医師に伺いました。


甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

国内死者数の状況は?

新型コロナウイルスの第8波で1日に確認された死者数が500人を超える日が出てくるなど、死者についての報道が増えています。改めて国内死者数の状況について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

ここ最近、新型コロナウイルスによる死者の増加傾向が指摘されています。2021年4月26日に初めて累計死者数が1万人を超え、2022年2月11日に2万人を超えました。その後、累計死者数は2022年5月11日に3万人、2022年9月1日に4万人、2022年12月2日には5万人を超えています。2023年1月9日には6万人を超えて、1月23日時点では6万5622人まで増加しています。

2022年8月31日~2022年12月27日の年代別の死者数の割合をみると、70代が17.0%、80代が40.8%、90歳以上が34.7%と、70代以上の高齢者の割合が9割を超える状況となっています。

高齢者の死者数の割合が高い理由は?

最近の新型コロナウイルスの死者数の割合について、70代以上の高齢者の割合が高くなる理由について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

オミクロン株が流行の中心になってから重症化率が低下して、徐々に行動制限が緩和されましたが、依然として新型コロナウイルスの感染拡大力は強く、2023年1月現在の第8波においても感染レベルが高い状況は続いています。特に予備力の低い70歳代以上の高齢者は、持病の悪化、あるいは体力や免疫力の低下に伴って死亡するケースが目立っています。

2022年11月以降に高齢者施設で起きた感染集団はおよそ6000件程度であり、クラスター発生件数全体の6割を超えています。その背景には、基本的に施設に入所している高齢者は元々体力が弱っていて、体調の変化に気づきにくいという点が挙げられます。

高齢者の死者数を減らすために必要なことは?

高齢者の死者数を減らすために必要なことを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

新型コロナウイルスの流行拡大に伴う高齢者の死者数増加を抑えるキーポイントは、「高齢者への医療対応」だと考えます。例えば、高齢者施設内などで感染者を早期的に発見できるように、まずは全国的に検査体制を拡充することが求められます。ウイルスに感染した後に施設内で療養する高齢者が増加しており、各自治体は迅速に往診できる医療機関の情報提供、そして平時からの感染対策支援を前向きに実践することが重要視されています。

また、新型コロナウイルスの感染対策の柱となるワクチンに関して、国内でも接種が進んでいますが、使用されているのはいずれも海外で開発されたワクチンです。国内の製薬メーカーにおいてもワクチン開発が続けられているものの、まだ実用化には至っていないのが現状です。新型コロナウイルスに対するワクチン開発では、従来の技術だけでなく「mRNAワクチン」をはじめとする最新の技術が一気に世界レベルで実用化されています。今後も新型コロナウイルスとの闘いを進めていく中で、高齢者を含めた幅広い年齢層の国産mRNAワクチン接種が実現できるかどうかが、特に高齢者の死者数を減らす道を開く鍵になると考えられます。

まとめ

新型コロナウイルスによる死者の増加傾向が続いており、1月23日時点で累計死者数が6万5622人になっています。70歳以上の高齢者が9割を超えており、今後も高齢者の死者数について注視する必要がありそうです。

この記事の監修医師