国内の新型コロナウイルス死亡者6万人超え わずか1カ月で1万人増加
国内で報告された新型コロナウイルスの死者数が1月9日に累計6万人を超え、1月16日時点で累計6万2963人となりました。このニュースについて竹内医師に伺いました。
監修医師:
竹内 想(医師)
新型コロナウイルスによる死者数の推移は?
新型コロナウイルスによる死者数の推移について教えてください。
竹内先生
新型コロナウイルスによる死者数は、2023年1月9日に累計6万人を超えました。死者数の累計推移については、1万人を超えたのが2021年4月26日でした。この約9カ月半後の2022年2月11日に累計死者数が2万人を突破します。このあたりから死者数の増加ペースが上がり、2万人を超えてから3カ月後の2022年5月11日に累計死者数が3万人を超え、そこから4カ月後の2022年9月1日に累計4万人を超えました。さらに、この3カ月後の2022年12月2日には累計5万人を超えました。累計5万人を超えるまでは、3~4カ月で1万人の増加ペースだったのですが、ここから一気に増加スピードが加速して、5万人を超えてからわずか1カ月余り経った2023年1月9日に6万人を超える結果となりました。
政府の新型コロナウイルス対策関係者の反応は?
わずか1カ月で1万人死者が増加したことについて、政府の新型コロナウイルス対策関係者はどのような反応を見せているのでしょうか?
竹内先生
厚生労働省に設置されている新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織、いわゆるアドバイザリーボードの脇田隆字座長は「高齢者や基礎疾患のある人の感染者数が増加している。そのため、新型コロナウイルスによる重症肺炎というより、基礎疾患の悪化や、高齢者であれば老衰状態にある中で新型コロナウイルスが後押しする形での死亡が増えている」と述べています。
2022年11月30日~1月10日までに報告された死者のうち、60代以上は97%を占めたという結果が厚生労働省によってまとめられた集計で示されたことがこうした発言の背景にはあります。さらに、国立感染症研究所の感染症疫学センター長の鈴木基氏は、1月11日のアドバイザリーボードの会合の後に「(オミクロン株への置き換わりなどで)致死率が低下しても、感染者数が増えれば死亡者数は増える」と指摘しています。
増加傾向の死者数についての受け止めは?
新型コロナウイルスによる死者数が増加傾向にあることについての受け止めを教えてください。
竹内先生
新型コロナウイルスによる死者数が増加しているという事実が、今回のニュースによって再確認できました。ただし、もともと人間は高齢になるほど亡くなりやすくなるのは当然のことなので、必ずしも新型コロナウイルスの致死率・重症化率が増加していることを示していません。今後、これまで以上に適切な感染対策をおこなうことが大切になってくると考えられます。
まとめ
国内で報告された新型コロナウイルスの死者が1月9日に累計で6万人を超え、1月16日時点で累計6万2963人となったことが今回のニュースでわかりました。新型コロナウイルスによる死者数はこの1カ月で1万人と急増しており、今後も注視が必要になりそうです。