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新型コロナの新たな派生型「エリス」感染広まる、日本含む50カ国以上で確認

 公開日:2023/08/22
オミクロン株の新たな派生型EG.5に注目

新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にある中、オミクロン株の新たな派生型EG.5、通称エリスと呼ばれる変異株が話題になっています。このニュースについて、郷先生にお話を伺いました。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

オミクロン株の新たな派生型EG.5(エリス)とは?

世界中で注目されているオミクロン株の新たな派生型EG.5、通称エリスについて教えてください。

郷 正憲医師郷先生

今回取り上げるEG.5は、2021年11月に初めて登場したオミクロン株の新たな派生型で、エリスと呼ばれています。EG.5はオミクロン変異株XBB.1.9.2から変異していますが、XBB.1.9.2と異なるのはウイルスの表面から突き出たスパイクタンパク質に1つ変異がある点です。このスパイクタンパク質がヒトの細胞の受容体タンパク質と結合することで、ウイルスは鼻腔や肺に侵入してきます。今までに解析されたEG.5変異株の多くは、スパイクタンパク質に2つ目の変異があり、こうした変異株はEG.5.1と名付けられています。

東京大学医科学研究所の佐藤佳氏らによる予備的研究では、EG.5.1がXBB.1.5よりも約20%強い感染力をもつと査読前論文で発表しています。また、WHO(世界保健機関)は、EG.5をVOI(注目すべき変異)に指定しています。WHOによると、EG.5は2023年8月8日時点で50カ国以上で確認されており、アメリカでの派生型としては急速に感染が広がっているようです。さらに、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の推計によると、現在のEG.5感染者の割合は約17%とのことです。

日本の状況については、東京都の資料によると7月最終週の時点でEG.5が主流株になっており、EG.5の割合は感染者の28%となっています。EG.5の重症化リスクについては、WHOの報告書でも「EG.5は有病率の増加、成長優位性、免疫逃避性を示しているが、重症度の変化は報告されていない」と現時点では表現されています。

新たなワクチン開発の可能性は?

EG.5にはスパイクタンパク質の変異がみられていますが、この変異に特化して新たなワクチン開発される可能性はあるのでしょうか。

郷 正憲医師郷先生

たしかに、スパイクタンパク質の変異がありますから、ワクチンの製造の対象にはなります。ただし、実際に起こってくる症状とともに今後の流行状況によって実際に開発するかどうかが変わってくるでしょう。

また、従来のワクチンでも完全に効果がないわけではありませんから、これまでのワクチンを接種することで代用される可能性も高いと考えられます。

現在のコロナウイルスの感染状況への受け止めは?

新型コロナウイルスの現在の感染状況についての受け止めを教えてください。また、生活する中で注意すべき点についても教えてください。

郷 正憲医師郷先生

5類に移行して、「感染がもう終わった」と思われる人たちもいらっしゃるようです。しかし、実際にはまだまだ感染者も多く、重症化している人もいらっしゃいます。新型コロナウイルスは変異を繰り返すウイルスですから、今後も強毒化する可能性は否定はできません。

今までと同じように、手指の消毒と人が多く集まる場所でのマスク着用など、基本的な感染対策は緩めないように気をつけていくことが重要であると言えるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にある中、オミクロン株の新たな派生型EG.5、通称エリスと呼ばれる変異株が話題になっていることが今回のニュースでわかりました。今後も新型コロナウイルスの新たな変異には注意が必要になりそうです。

この記事の監修医師