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「直腸がんの末期症状」はご存知ですか?ステージ4=末期ではない理由も解説!

 公開日:2025/11/23

直腸がんにはさまざまなステージがあり、それぞれに特有の特徴と治療法があります。ステージ4とされるものは末期と思われがちですが、必ずしもそうではありません。

本記事では、以下の点を中心に直腸がんのステージ別の状態とその意味について詳しく解説します。

  • 直腸がんとは
  • 直腸がんのステージ
  • 直腸がんのステージステージ4は末期ではない?

直腸がんの末期について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

直腸がんについて

直腸がんとはどのようながんを指すのでしょうか?症状や検査方法などを解説します。

直腸がんとは

直腸がんは、肛門から約20cmの範囲内にある大腸の一部、直腸に発生するがんです。この種類のがんは、日本人に多く見られ、大腸がん全体の約40〜50%を占めています。 直腸は泌尿器系の自律神経が密集しており、そのため手術は複雑になる傾向にあり、再発のリスクも高いとされています。

症状

直腸がんは初期には自覚症状が現れにくいがんですが、進行するに連れて症状が現れる場合があります。 硬い便が頻繁に通る部位に発生するため、便の通過時に出血し、これが血便の形で見られることが多いようです。 また、継続する出血によって貧血を引き起こすことがあり、この場合、動悸や強い疲労感、顔色の悪化などの症状が伴います。

直腸がんが大きく成長すると、腸の通り道が狭くなり腸管狭窄を引き起こすことがあります。これが進行すると腸閉塞のリスクが高まり、嘔吐や腹部の膨満感、激しい腹痛などが現れ、場合によっては緊急の手術が必要となることもあります。

また、直腸がんは粘膜から始まり、徐々に増大して血管やリンパ管に広がり、転移を起こすこともあります。 早期発見のためには、便潜血検査などの定期的な検診が推奨されています。

検査・診断

直腸がんの検査では、内視鏡検査や画像診断を行います。 内視鏡検査では、ポリープや腫瘍の存在、大きさを確認します。必要に応じて組織を採取し、病理診断でがん細胞の有無を診断します。 直腸がんと診断されたら、CTやMRIなどの画像診断で、がんの位置や進行度、消化管外への転移の有無などを確認します。 これらの検査結果を総合的に判断し、治療方法を決定します。

直腸がんのステージ

直腸がんのステージは、大腸がんのステージと同様です。どのように分類されるのでしょうか。

ステージ0期

ステージ0の直腸がんは、がん細胞が大腸の粘膜内に限定されている状態を示します。このような初期段階は、非浸潤性がんとも呼ばれ、がんは大腸の内壁表面のみに存在し、深い組織への浸潤やリンパ節への転移は見られません。治療による治癒率は高いとされています。

ステージ0の直腸がんの主な治療方法は内視鏡切除術です。 内視鏡切除術は、内視鏡を使用してがん細胞を直接切除するもので、侵襲が少なく早期に行えば、5年生存率は約99%に達するとされています。

ステージ1期

ステージ1の直腸がんは、がん細胞がまだ大腸の壁の粘膜下層で留まっている状態であり、リンパ節転移も見られない状態を指します。この段階のがんは、腹腔鏡下手術で対応できる可能性があります。

直腸がんの主な症状は、出血です。がん組織が便の通過で擦れることにより、便に血が混じることがあります。この血は鮮やかな赤色をしているので、異常に気付くことが多いようです。 しかし、直腸の粘膜は痛覚をほとんど持たないため、出血があっても痛みを感じることは少なく、その結果、痔と誤解されることもあります。

ステージ2期

ステージ2の直腸がんでは、筋層から漿膜(しゅんまく)にがんが浸潤しているものの、転移は見られない状態のことをいいます。 初期には目立った症状がほとんど表れないとされていますが、がんの成長に伴い、便の形状や色の変化、血便などが現れることがあります。 便通の問題も生じやすく、便秘や下痢が起こることがあります。

進行すると、腹部の膨満感や不快感、腹痛が増し、体重の不明瞭な減少や貧血による疲労感が強まることがあります。 これらの症状が現れた場合は、早期の医療相談が重要です。

ステージ3A期・3B期

直腸がんのステージ3Aは、3個以下のリンパ節にがんの転移があり、リンパ管もがん細胞に浸潤されている状態を示します。 一方、ステージ3Bは4個以上のリンパ節に転移があり、リンパ節のがん浸潤がより強いことが特徴です。

これらの段階では、主にリンパ節の広範囲切除を含む治療が行われ、必要に応じて抗がん剤治療も導入されます。

ステージ4期

原発巣の状態に関わらず、他臓器へ遠隔転移のある時点でステージ4に入ります。 転移先の臓器の機能障害が引き起こされる可能性があり、例えば肝臓に転移した場合は、黄疸やその他肝機能障害の症状が現れることがあります。 ステージ4の治療は、がんの広がりに応じて、より集中的かつ広範囲にわたるアプローチが必要とされます。

ステージ4期=末期がんではない?

ステージ4期の大腸がんおよび直腸がんは、しばしば末期とみなされることがありますが、すべてのケースで末期と定義されるわけではありません。 厚生労働省の定義によると、末期がんは治療に反応せず、進行性かつ治癒困難、または治癒不要の状態とされ、必ずしもステージとは直接関連しない場合もあります。

ステージ4は、がんがさまざまな臓器にも転移している状態を指しますが、治療の進歩により、生存期間が延びる可能性もあります。 大腸がんは化学療法に反応がよいものもあり、肝転移があっても予後改善が見込める場合は、手術検討となる可能性があります。

また、大腸がんのステージ4の患者さんの生存率は統計によるもので、2014年のデータによると5年相対生存率は約18.6%とされています。これは、ほかの病気による死亡を除いた数値です。

これらの数値は個々の患者さんの予後を正確に予測するものではないため、ガイドラインとして参照しましょう。 治療の選択やがんの進行状態により、個々の状況は異なります。

直腸がんについてよくある質問

ここまで直腸がんやステージ分類などを紹介しました。ここでは「直腸がんの末期」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

直腸がんが進行している場合、どのような治療法となりますか?

中路 幸之助中路 幸之助 医師

進行した直腸がんの治療はがんの広がりと患者さんの健康状態に応じて異なり、主に化学療法、放射線治療、手術が用いられます。 化学療法では複数の薬剤を組み合わせてがん細胞の増殖を抑制し、痛みやほかの症状の軽減を目指します。 放射線療法には主に、「補助放射線治療」と「緩和的放射線治療」があります。 補助放射線治療は切除が可能な直腸がんが対象であり、主に、直腸がんの骨盤内の再発を抑える目的で行われます。 緩和的放射線治療は、骨盤内の腫瘍による痛みや吐き気、嘔吐、めまいなどのがんの再発や転移による症状を和らげることを目的として行われます。 手術はがん組織の除去が目的ですが、転移が広範囲に及ぶ場合は症状緩和を目的とした手術が選択されることがあります。

直腸がんになった場合、人工肛門(ストーマ)になりますか?

中路 幸之助中路 幸之助 医師

 質問2:直腸がんになった場合、人工肛門(ストーマ)になりますか? 直腸がんの治療での人工肛門(ストーマ)の必要性は、がんの位置や進行度によって異なります。 がんが直腸の下部に位置する場合や、手術で肛門の機能を維持できないと判断された場合には、人工肛門の設置が選択されることがあります。 これは、正常な排便機能を代替するために必要な措置です。 一方で、がんが肛門から離れた部位にある場合や自律神経を温存できる状況では、肛門を残せる可能性があります。 最終的には、患者さんの具体的な状況と医師の評価に基づいて、適切な手術方法が選択されます。

まとめ

ここまで直腸がんの末期についてお伝えしてきました。直腸がんの末期についての要点をまとめると以下のとおりです。

⚫︎まとめ

  • 直腸がんは、肛門から約20cmの大腸部分に発生し、日本人に多いがんで、手術は泌尿器系の自律神経の密集により複雑で、再発リスクも高いとされている
  • 直腸がんの進行はステージ0から4まであり、初期は粘膜内限定で後期は遠隔臓器へ転移。ステージ0では内視鏡切除が効果的で、進行するにつれ抗がん剤や手術が必要。最終段階では集中的治療が求められる
  • ステージ4の大腸がんおよび直腸がんは治癒が見込めないとされる末期であるとは、一概にはいえない。大腸がんは化学療法に反応がよいものもあり、肝転移があっても予後改善が見込める場合は、手術検討となる可能性がある

直腸がんと関連する病気

直腸がんと関連する病気は4個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。 具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

直腸がんと関連する症状

直腸がんと関連している、似ている症状は11個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

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