【疑問】痔があっても大腸カメラは受けられるのか? 内視鏡専門医に聞いてみた

「痔があると大腸カメラ検査は受けられないのでは?」と心配する方も多いかもしれません。しかし実際には、痔による出血なのか、腸からの出血なのかを判断するためにも、大腸カメラの検査が必要なようです。そこで、痔がある方でも安心して大腸カメラを受けられるように、大腸カメラの基本情報や検査を受ける際に知っておくべきポイントについて、消化器内視鏡専門医の行徳(ぎょうとく)先生に教えてもらいました。

監修医師:
行徳 芳則(ぎょうとく内科・内視鏡クリニック)
大腸カメラの基本を知る

編集部
大腸カメラとはどのような検査なのでしょうか?
行徳先生
肛門からカメラを入れて、盲腸から直腸までの全結腸を見ていく検査になります。
編集部
どのような人が大腸カメラを受けた方がいいのですか?
行徳先生
腹痛があったり、便が細かったり、血が混じったり、下痢や便秘などの症状があったりする方には受けていただきたいです。また、40歳以上の方であれば、症状がなくても一度は検査をしておくと良いと思います。
編集部
大腸カメラではどのような病気を見つけることができますか?
行徳先生
大腸がんの確認、それ以外にもポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患の確認ができます。また、大腸カメラの画像上で「何もない」とわかることも、診断の助けになることがあるので、やはり直接見ることで得られる情報は重要です。
痔があっても大腸カメラは受けられる?

編集部
大腸カメラは痔があっても受けられますか?
行徳先生
痔の出血については、本当に痔による出血なのか、または腸からの出血なのかがわからないので、むしろ積極的に検査をするべきだと言えます。色が黒いようなら胃酸の影響を受けているので上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)、鮮やかな赤色であれば大腸や肛門の検査が必要になります。
編集部
ひどい痔でも大丈夫なのですか?
行徳先生
痔がひどすぎて検査ができないということは、あまりないと思います。ただし、痔の手術後に肛門が狭くなることがあるので、それで肛門にカメラが入れづらいという方はいらっしゃいます。
編集部
大腸カメラは「つらい」イメージですが、痔があるとつらさは増しますか?
行徳先生
基本的に肛門に麻酔のゼリーを塗りますし、点滴の麻酔を使う場合もあるので、苦痛を減らすことはできますし、それを心配して検査をやめるよりも、検査して得られるメリットの方が大きいと思います。
内視鏡検査を受ける前に知っておくべきこととは?

編集部
大腸カメラを受ける費用はどのくらいかかるのでしょうか?
行徳先生
保険診療の3割負担であれば6000円くらいです。組織をとる生検であれば9000~1万2000円ほど、ポリープを取る場合は手術扱いになるため2万5000~3万円程度です。
編集部
大腸カメラでポリープなどの異変が見つかった場合、治療はどのような流れで行われますか?
行徳先生
大きさによりますが、10mm以下のものは、基本的にがんになる前の腺腫というポリープの可能性が高いです。その場合、「コールドスネアポリペクトミー」という、ポリープに輪をかけてギュッと縛りながらポリープを取る方法を用いて切除します。10~20mmのものは、ポリープの下に注射針で水を入れて膨らませ、ポリープに輪をかけて、電気で熱を加えながら切除する方法を行います。
編集部
20mmを超えるポリープではどのような治療があるのですか?
行徳先生
20mmを超える場合には、粘膜の下から剥離して魚を三枚おろしするようなイメージでポリープを剥がす治療法があります。あるいは、がんが強く疑われて、深いところまで浸潤しているようなものに関しては、手術が必要になってくるので、外科の先生に手術をお願いする場合もあります。
編集部
大腸カメラの後に制限や注意が必要なことはありますか?
行徳先生
大腸カメラ自体には制限はありません。ただし、もし麻酔薬などを使った場合は、終わった日の自転車や車の運転を控えるようにとお伝えしてます。また、ポリープを取ってから数日以内は出血のリスクがあるので、刺激の強い食事は避けることが望ましいです。
編集部まとめ
大腸カメラ検査は、痔がある方でも基本的に受けることができ、さらに痔の出血と腸からの出血を区別するために積極的に検査するべきとのことでした。検査に不安がある場合は、麻酔などを使って苦痛を和らげる方法もあります。検査の費用や検査後の注意点などは事前に確認し、安心して検査を受けるように心がけましょう。
医院情報
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診療科目 | 一般内科、消化器内科、肛門内科、肝臓内科 |