血便の危険性丨血便を放置する危険性や検査を受ける重要性を知って早めの対策を!
血便は、どのような疾患が原因で発生するのかご存知でしょうか。血便はがんなど命に関わる疾患のリスクにもつながるため、早期に検査を受けることが大切です。
本記事では、血便の危険性や、血便が出たときに行う詳細な検査について紹介します。血便の症状があり不安を感じている方、血便について相談したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
監修医師:
河口 貴昭(河口内科眼科クリニック)
2003年NTT東日本関東病院 内科レジデント
2005年社会保険中央総合病院 炎症性腸疾患センター 医員
2014年東京山手メディカルセンター 炎症性腸疾患内科 医員
2015年理化学研究所 IMS消化管恒常性研究チーム リサーチアソシエイト
2019年慶應義塾大学医学部 微生物学免疫学教室 特任助教
2020年慶應義塾大学医学部 内科学(消化器)助教
2022年河口内科眼科クリニック開設
目次 -INDEX-
血便について
血便には、多くの種類が存在します。まずは血便とはどのような状態の便なのか、主な血便の種類と特徴について解説します。
血便とは
血便とは、食道から肛門までのどこかの消化管で出血が発生したことで、便に血が混ざって起こる症状です。出血量が少ない場合には便潜血検査でしか発見できませんが、出血量が増えると肉眼で確認できるようになります。
血便の種類
便は内服薬の影響で黒色になったり、赤くなったりすることがあります。また、内服薬だけでなく飲食物によっても便の色が変化することがあります。
そのため便の見た目だけで判断することはおすすめできませんが、血便がどのような色か確認することで、出血部位のおおむねの検討をつけることができます。
鮮血便
便が鮮やかな赤い色をしているときには、便のなかに新鮮な血液が混ざっている状態です。肛門から近い下部消化管からの出血であることが考えられます。下部消化管とは、小腸の空腸から肛門までのことです。
鮮血便が見られた場合には、以下のような病気が原因である可能性があります。
- 痔
- 肛門裂傷
- 炎症性腸疾患
- 虚血性腸炎
- 直腸炎
- 直腸ポリープ
- 直腸がん
暗赤色便
暗赤色便は、便のなかに赤黒い血液が混ざっている状態です。肛門から遠い部位で出血している可能性を示しています。
暗赤色便が見られた場合には、以下のような病気が原因である可能性があります。
- 大腸憩室出血
- 大腸炎
- メッケル憩室
- 小腸潰瘍
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
黒色便
黒色便は、便が黒く見える状態です。消化管の出血が消化酵素と混ざって変色した状態のため、消化酵素のある胃・十二指腸・小腸など上部消化管からの出血が考えられます。
年齢が高くなるほどこのような出血のリスクが増え、黒色便が見られる可能性も高くなります。黒色便が見られた場合には出血源を特定し、適切な治療を行うことが重要です。
黒色便が見られた場合には、以下のような病気が原因である可能性があります。
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 小腸潰瘍
粘血便
粘血便は、便にべたべたとした粘液が付着している状態です。出血だけでなく、感染症や潰瘍などによって炎症が発生していることを示しています。
下記の疾患によって粘血便が出ている場合、排便回数が増加して水様便や軟便が見られ、下腹部の痛みや不快感などを伴うことがあります。
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 感染性腸炎
血便の危険性
「血便が出たけど1回だけだったから様子を見た」「量が少しだったから様子を見た」という経験はありませんか?
血便は出血量が少なければ危険性は低いのでしょうか。また、様子を見てもよい血便の種類などはあるのでしょうか。ここからは、血便の危険性について解説します。
出血量が少なければ危険性は低い?
目視で血便として出血を確認できるということは病気が進行して出血量が多い可能性があります。出血量が少量だから、1回だけだからと病院で受診しないのは危険です。
ごく少量だとしても血便が見られたら、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。しっかりと検査を受けるようにしましょう。
血便を放置する危険性
基本的に、心配の必要性がない血便は存在しません。症状が一時的に改善して痛みがない場合でも、見逃さないようにしましょう。
なかでも腹痛を伴う、貧血を伴う、便秘、血便が長期間続いているという場合は、命に関わる病気が進行している可能性もあるため特に注意が必要です。
血便が見られた場合は、自己判断せずに速やかに病院で受診することが重要です。受診する際は、どのくらいの便量だったのか、何回血便があったのか、腹痛の有無なども医師に伝えられるようにしておくとよいでしょう。
血便が出た場合に考えられる疾患
血便の症状が見られたときに考えられる疾患には消化管のさまざまな病気が含まれ、放置せずに早めに病院で受診することが重要です。
それぞれの疾患について、血便以外に見られる症状についてもあわせて解説します。
痔
痔の名称は痔核といいます。肛門の外側の皮膚にできる外痔核と、肛門の内側である直腸粘膜にできる内痔核に分類することができます。
症状は出血・疼痛・脱出(痔核が肛門の外に出ること)・腫れ・かゆみ・粘膜漏出です。出血は排便時に見られ、勢いよく出血するときと、ぽたぽた落ちるように出血するときがあります。
このような出血は排便後に止まることがほとんどですが、運動によって再出血することもあります。
感染性腸炎
感染性腸炎は、汚染された水や食べ物によって病原微生物が腸管内に侵入し増殖することで発症しますが、ペットや人から接触感染することもあります。
病原体は細菌・ウイルス・寄生虫などがあり、これらの病原体が腸管内のどの部位に定着したかによって潜伏期間や症状などが異なります。
血便の症状が見られるのは、大腸に病原体が定着したときです。その他の症状は、下痢・発熱・腹痛・吐き気などです。
大腸ポリープ
大腸ポリープは、大腸の粘膜に生じた隆起のことです。潰瘍性ポリープと非潰瘍性ポリープに分類することができます。
症状は自覚せず、大腸カメラの検査で発見されることがほとんどです。肛門付近のポリープから出血し、血便として自覚されることもあります。
大腸がん
大腸がんは、大腸の粘膜にがんが発生することです。大腸がんのほとんどが、大腸ポリープが大きくなる過程で発症するといわれています。
症状は初期では無症状のことがほとんどです。病気が進行することで血便や繰り返す便秘、下痢、腹痛、食欲不振、体重減少、貧血などの症状が出現します。
大腸憩室出血
憩室とは、消化管の壁の一部が袋状に外側へ突出した状態のことです。この憩室の血管が破れて出血することを、大腸憩室出血と呼びます。この疾患は、食道から大腸までのどの腸管にも発生する可能性があります。症状は無症状のことがほとんどです。
憩室内に溜まっていた便によって憩室が傷つけられ、出血することで引き起こされます。腹痛や発熱の症状は現れず、突然の血便が特徴です。
虚血性腸炎
虚血性腸炎とは、大腸粘膜の血流が阻害されたことで発症する病気です。血流が十分でない状態を虚血といいます。
虚血を引き起こす原因は動脈硬化や脱水などによる血管側の要因と、便秘や浣腸によって腸管内圧が上昇したり蠕動運動が亢進したりするなどの腸管側の要因が考えられるでしょう。
腹痛や下痢の症状が出現し、しだいに血便が見られるようになります。場合によっては、吐き気や冷や汗を伴うこともあります。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は難治性の炎症性腸疾患です。身体の免疫システムに異常が発生し、大腸の粘膜へ炎症を持続的に起こすことで発症します。20代での発症が多く、症状は下痢・粘液の排出・腹痛・発熱です。
クローン病
クローン病は大腸や小腸の粘膜に慢性炎症を引き起こす病気です。小腸と大腸を中心に発症しますが、口腔から肛門までどの消化管でも発症する可能性があります。
原因は明確になっていませんが若年者に発症することが多く、症状は人や発症部位によって異なります。特徴的な症状は腹痛と下痢で、発熱や血便、体重減少、貧血の症状が現れることがあります。
血便が出た場合の検査について
血便は消化管内のどこかで出血が起きている可能性を示唆する重要な症状です。血便が出たときに検査を受けることの重要性、検査方法を解説します。
血便で検査を受ける重要性
血便は、詳しく検査を行ってみないと何が原因で消化管内のどこから出血しているのかわかりません。
受診すべき診療科は消化器内科です。血便の症状から考えられる病気は命に関わることもあるため、早期発見と早期治療が大切です。受診を先延ばしにすると病気がますます進行することが考えられるため、注意が必要です。
また、定期的な検査を受けることで早期に異常を発見し、適切な治療を開始することが重要です。
血便の検査方法
ここからは、病院で行う可能性がある検査方法について解説します。
肛門鏡検査
肛門鏡検査は、肛門鏡で肛門管を診察して出血などの直腸内症状を確認する検査です。プランジャーと呼ばれる筒状のものに潤滑剤を塗布してある程度の深さまで押し込み、状態を診察します。
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡を挿入して大腸の粘膜を観察する検査で、大腸がんや大腸ポリープ、炎症性疾患の発見に役立ちます。
検査前に下剤を内服し、大腸内をきれいにしてから検査を行う必要があります。鎮静剤を使用して検査を行う場合もあります。
胃内視鏡検査
胃内視鏡検査は胃カメラと呼ばれ、食道・胃・十二指腸の粘膜を内視鏡を使用し観察する検査のことです。
口から内視鏡を通す経口内視鏡と、鼻から通す経鼻内視鏡があります。検査のときには鎮静剤を使用することがあり、どのように検査を行っていくかは医師や病院によって異なります。
腹部CT検査
腹部CT検査は、X線を用いて腹部の断層写真を撮影する検査方法です。X線を利用して体内を透過し、そのデータをコンピューターで処理して身体の断面図を作成します。これらの断面画像を積み重ねることで、腹部の臓器をより詳細に観察することができます。
血便でお悩みの方はお早めに河口内科眼科クリニックにご相談を
血便の種類や血便を伴う疾患、血便の症状が出たときにどのような検査を行うのか解説しました。河口内科眼科クリニックは、消化器系の悩みに幅広く対応しており、地域の健康長寿にも貢献することを目指しているクリニックです。東京都江東区にお住まいの方は、ぜひ受診してみてはいかがでしょうか。
内科・消化器病・内視鏡・炎症性腸疾患のスペシャリスト
河口内科眼科クリニックの院長である河口貴昭先生は、炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎やクローン病などの難治性免疫疾患の専門性が高い医師です。日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会 消化器病専門医などの資格もお持ちで、内科全般、消化器疾患のスペシャリストです。
炎症性腸疾患は生涯にわたる疾患のため、河口内科眼科クリニックでは患者さんに寄り添い、さまざまなアドバイスやサポートを大切にして診療が行われています。
予防医療にも注力し、安心できる便利なクリニックを目指す
河口内科眼科クリニックでは、予防医療にも力を入れています。
まだ病気とは診断できないほど初期の場合でも、早期に対策することで健康寿命を延ばすことにつながるという診療方針で、定期的に健康診断を受けることを推奨しています。一般的な健康診断だけでなく消化管に特化した消化管ドックや眼科ドックにも対応しています。
内科と眼科の連携診療で地域の皆さんの健康をサポート
持病に内科疾患のある方は、眼の合併症があることがあります。それとは逆に、眼科の診察から内科疾患が見つかるということも少なくありません。
どちらかで病気が見つかったときは各クリニックで受診する必要がありますが、河口内科眼科クリニックでは、眼科診察も内科診察も同じクリニック内で行うことができます。情報共有がスムーズに行われるため、連携した検査・治療を受けることができます。
血便や消化器系の不調が気になる方は、内科疾患の治療に幅広く対応している河口内科眼科クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
河口内科眼科クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用・治療期間・治療回数
東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅より徒歩3分
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:30~13:00 | ● | ● | ● | - | ● | ● | - | - |
14:30~19:00 | ● | ● | ● | - | ● | ▲ | - | - |
▲:15:00〜18:00
※第4土曜日の午後は休診
※土曜日の午後は完全予約制
※最終受付は診療終了時間の30分前
【費用】
・大腸内視鏡検査のみ
1割負担:2,000円程度
3割負担:6,000円程度
・大腸内視鏡検査 + 病理組織検査
1割負担:3,000〜5,000円程度
3割負担:10,000〜16,000円程度
・大腸ポリープ切除術
1割負担:7,000〜10,000円程度
3割負担:20,000〜30,000円程度
【治療期間】1回(その後数回通院)
【治療回数】1回