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「軟便」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

公開日:2022/11/20  更新日:2022/11/18
「軟便」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

便の状態は私たちが日常生活を送るうえで直接的に健康状態を知らせてくれる貴重な目安です。

便は体中の消化器官を巡っているため、便の状態から今の健康状態を把握することができます。

通常より便が柔らかくなる「軟便(なんべん)」の場合、いったい身体にどのようなことが起きているのでしょうか。

症状が長引く場合は、何らかの病気が隠れていることもあります。

この記事では、軟便の特徴や受診すべき診療科・軟便や下痢が治った後も気を付けるべきこと・軟便や下痢の予防方法を解説します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

軟便の原因と特徴

腹痛

軟便とはどのような状態なのでしょうか?

便の形状と硬さはブリストルスケールにより以下の7段階に分類されています。

  • スケール1:硬くてコロコロした木の実のような便
  • スケール2:いくつかの塊が集まって形作られたソーセージ状の便
  • スケール3:表面にヒビ割れがあるバナナ状の便
  • スケール4:滑らかで軟らかなバナナ状の便
  • スケール5:軟らかな半固形状の便
  • スケール6:境界がはっきりしない不定形の便
  • スケール7:水様便

「軟便」とは便の水分量が増加した状態をいい、いわゆる「下痢」の症状のひとつです。上記のブリストルスケールでは5・6の状態が軟便に当てはまります。理想的な便はスケール4の状態です。
健康的な便の水分量は60%~70%で、水分量が80%~90%になると軟便や泥状便(でいじょうべん)として分類されます。便に含まれる水分量の比率が軟便か否かを分ける手がかりになっているのです。軟便に該当する便は、わずかに形はあるものの液体に近い流動性の特徴もある形質です。水分量が90%を超えると便が水のような状態になり、水様便(すいようべん)と呼ばれます。
口から摂取した食べ物は胃で消化されて細かく分解され、小腸で栄養素が吸収されます。大腸で水分が吸収され、残ったものが便として体外へ排出されるのが便の仕組みです。
大腸には水分の吸収・水分の分泌・腸の内容物を送る「ぜん動運動」の3つの働きがあり、このバランスが崩れると軟便や下痢を引き起こします。

軟便の原因を教えてください。

症状が急に現れた場合は暴飲暴食が原因の可能性が高いです。食べすぎると腸で食べたものを消化しきれなくなるため、軟便や下痢を引き起こしやすくなります。
アルコールや冷たい飲み物の飲みすぎも腸を刺激して水分が吸収しきれなくなり、軟便や下痢の原因となるため注意が必要です。軟便が起こる2~3日前に古い食品を食べたり、刺身や生ガキなどの生ものなどを食べたりした場合は、食あたり感染性胃腸炎が原因の可能性があります。
お酒の飲みすぎやカフェインのとりすぎも消化不良を起こしやすく、軟便の原因となります。抗生物質・降圧剤・抗がん剤などの薬剤も軟便の原因となる場合があります。また、精神的なストレスも軟便の原因のひとつです。4週間以上軟便が続いている場合は過敏性腸症候群・潰瘍性大腸炎・クローン病などが考えられます。

軟便になりやすい人の特徴はありますか?

ストレス耐性の弱い人や抗生物質などの投薬治療を受けている人は軟便になりやすいです。ストレスの影響で腸が正常に動かなくなり、過敏性腸症候群の症状として軟便や下痢が起こる場合があります。
抗生物質を服用すると薬剤性出血性大腸炎偽膜性(ぎまくせい)大腸炎などを引き起こす場合があり、症状のひとつとして軟便の症状が出ます。

軟便を伴う疾患もあると聞いたのですが…。

1週間程度で症状が治まる場合は一時的な食あたりが原因と考えられますが、症状が長引く場合は何らかの疾患が原因の可能性があります。軟便を伴う疾患の例は下記です。

  • 感染性胃腸炎:出血性大腸炎・カンピロバクター食中毒・ブドウ球菌性食中毒など
  • 精神的疾患:自律神経失調症・過敏性腸症候群など
  • 消化器系の炎症等の疾患:胃潰瘍・胃がん・大腸がんなど

上記以外にも頻度の高い軟便や下痢を繰り返す場合はクローン病潰瘍性大腸炎の可能性が考えられます。

軟便と下痢の違いを教えてください。

医学的には下痢の定義はなく、便が水っぽくなる状態が下痢と呼ばれます。一般的に軟便と下痢は便の水分量の違い形質による違いで分類されます。
便の水分が多く液状の状態が「下痢」、通常より少し柔らかい状態が「軟便」です。先述しましたが、理想的な便の水分量は70%~80%で、80%以上になると軟便、90%以上になると下痢となります。

軟便の受診と治療

説明する医師

受診を検討するべき症状を教えてください。

軟便の状態が数日以内で治まった場合は経過観察として様子見をしても良いですが、1週間以上継続する場合は何らかの疾患が原因と考えられます。市販の下痢止めなどを服用して4~5日経過しても症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。
とくに下痢の症状が重度の場合や発熱を伴う場合・食事や水分がとれない場合・便に血が混じる場合は早めに受診してください。

何科を受診すれば良いですか?

軟便や下痢が主症状の場合は、消化器内科内科を受診してください。
ストレスが原因と考える場合は心療内科や精神科も選択肢となります。服用している薬剤が原因と考えられる場合は自己判断で服用を中止することは避けて、主治医に相談してみましょう。

どのような検査を受けるのか知りたいです。

軟便がみられる場合は下記のような検査を行います。

  • 血液検査:体内の炎症の有無・脱水の程度を評価するため
  • 画像検査:消化器管の異常の有無を調べるため内視鏡検査・レントゲン検査・CT検査を行う
  • 検便:便に細菌やウイルスが含まれていないかを検査するため

軟便の治療方法を教えてください。

症状が軽度の場合は点滴を含めた投薬治療がメインです。軟便の原因がウイルスや細菌の場合は整腸剤を投与し、場合によっては抗生物質を投与します。原因となる疾患がある場合は適切な治療を行います。
脱水症状がみられる場合は水分・糖分・塩分のバランスが良いスポーツドリンクなどで水分補給が必要です。脱水症状が重度の場合は入院が必要なこともあります。
ストレスが原因と考えられる場合や投薬治療で効果が得られない場合は、カウンセリングなどの精神療法を取り入れる場合もあります。

軟便の予後と予防

薬

軟便は完治するのでしょうか?

軟便の原因が食あたりなどで、症状が軽度な場合は数日~1週間程度で治まることがほとんどです。過敏性腸症候群・潰瘍性大腸炎・クローン病などの病気が原因の場合は、原疾患の治療が必要です。

市販薬で様子を見ても良いのでしょうか?

発症からの期間や症状にもよりますが、症状が軽度の場合は下痢止めなどの市販薬で様子を見るのも良いでしょう。
ただし、市販薬を服用しても症状が改善されない場合や軟便以外に腹痛や吐き気などの症状が出た場合、便の色が通常と異なる場合は何らかの病気が原因の可能性があります。医療機関の受診を検討してください。
軟便の原因が感染性胃腸炎だった場合は市販薬を飲むことで病原菌が排出されず、症状が悪化する可能性があります。軟便の症状とともに発熱・吐き気・血便がみられる場合や同じ料理を食べた人も発症している場合は市販薬は服用せず、すぐに受診しましょう。

軟便を予防する方法を教えてください。

軟便の予防には規則正しい生活を心がけ、食べすぎや飲みすぎを控えることが重要です。腸を刺激しやすい脂っこい食事や香辛料の多い食事・冷たい飲み物・過度のアルコールも控えましょう。
また、ストレスは軟便を引き起こす原因となるため、十分な睡眠や休息をとり、適度にストレスを発散するように心がけてください。キシリトールや人工甘味料も軟便の原因となります。ガムや飴などの過度な摂取も控えましょう。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

軟便や下痢の症状は症状自体の辛さだけではありません。症状が長引くとトイレが近くにないと不安になり、電車に乗ることや外出することをためらってしまいます。そのため、行動が制限されたりQOL(生活の質)の低下を招いたりと、とかく沈鬱な雰囲気になりがちです。
暴飲暴食・ストレス・感染性胃腸炎が軟便の主な原因ですが、多くの場合は一時的な症状のため、市販薬の服用で様子を見る場合も多いでしょう。
しかし、軟便や下痢の症状は深刻な健康問題のシグナルの可能性があります。症状が長引く場合や市販薬で改善がみられない場合は、医療機関を受診してください。脱水症状がみられる場合や便に血が混ざる場合は、様子見をせずにすぐ受診しましょう。

編集部まとめ

微笑む女性
軟便や下痢とひとくちにいっても原因や症状、疑われる病気はさまざまです。

症状が急に現れ、数日で治まった場合はウイルスや細菌が原因の食あたり・感染性胃腸炎が原因と考えられます。

お腹の調子が悪いときはまずは市販薬で様子を見る人も多いですが、ウイルスや細菌が原因の場合、症状が悪化することもあるため注意が必要です。

軟便や下痢の症状が1か月以上続く場合は、何らかの病気が原因と考えられるため、放置せず医療機関を受診しましょう。