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「エモーショナルイーティング」の症状・原因・セルフチェック法はご存知ですか?

 更新日:2023/08/22
「エモーショナルイーティング」の症状・原因・セルフチェック法はご存知ですか?

みなさんはエモーショナルイーティングという言葉をご存知でしょうか。

エモーショナルイーティングとは、やけ食い・衝動食い・ストレスイーティング(ストレス食い)とも呼ばれています。

体が栄養やエネルギーを求める本来の「お腹が空いた」と感じる食欲ではなく、心を満たすために感情の赴くまま食べ続けてしまうことを指す言葉です。

多くの女性たちがエモーショナルイーティングに悩むのには、一体どのような理由があるのでしょうか。

本記事ではエモーショナルイーティングの原因・なりやすい人・治療・防ぐ方法について、詳しくお伝えしていきます。

ご多忙な女性ほど食の沼にハマってしまう可能性が高いので、「私のことかも…」と感じた人はぜひ一読ください。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

エモーショナルイーティングの原因や悪影響

シュークリームを食べる女性

エモーショナルイーティングとはどのような症状ですか?

この病気はその名の通り、感情的なまま(エモーショナル)食べること(イーティング)がやめられない症状のことです。お腹の中・カロリー・エネルギーは満たされているにも関わらず、つらいや寂しいなどの感情に左右されて食べてしまう状態を指します。3食しっかり食べているのに食欲が止まらず、何かを口にしている瞬間だけは幸せを感じるという人が多いです。
本当の空腹がどういったものなのか分からなくなっており、お腹が張るほど満腹にならないと心が満たされないなど、食事の満足度が低いというのがエモーショナルイーティングの特徴になります。ほかにも急にお腹が減って衝動的に食べ物を口にしたり、無意識に食べ物を口にしたりすることもあります。常に口に食べ物が入っているのであれば、エモーショナルイーティングを発症しているかもしれません。

原因について教えてください。

感情的に食べてしまう最大の原因は、過剰なストレスです。ストレスは食生活においても様々な事象が関係してくる密接な要因の1つになっています。ストレスを感じやすいとされているものは以下の通りです。

  • 仕事のプレッシャー
  • 人間関係とそれにおけるトラブル
  • 生理現象
  • 将来に対する不安
  • 無理なダイエット
  • 睡眠不足
  • 生活習慣の乱れ
  • 天候が不安定

意外かもしれませんが、雨が降るのか降らないのかといった天候が不安定な時にはエモーショナルイーティングの症状が出やすいことが判明しています。なおかつ心身にストレスを受けると、感情認識に関わる脳機能のネットワークが活性化されます。
活性化することで、グルココルチコイド・インスリン・コルチゾールが分泌されると交感神経と副交感神経のバランスが崩れるのです。その結果、食事量・栄養管理・食べる動機に大きく影響して思考を鈍らせます。
バランスが崩れた状態では「ストレスホルモン」が働き血糖値や代謝の調節をしたり、免疫を活性化させたりとバランスを取り戻すことに注力するのです。バランスを整えようとするストレスホルモンが、ストレスの慢性化によって過剰分泌してしまうと食事に関わるホルモンバランスをさらに乱す原因となり食欲を増進させてしまいます。
また、ストレスによって甘いものを欲するのは「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが関係していることをご存知でしょうか。ストレスを感じるとセロトニンの分泌量が低下するため、手っ取り早くセロトニンを増加させようと体が作用した結果「甘いものがほしい」と感覚を鈍らせてしまうのです。
甘いものを長期的に取り入れてしまうと糖尿病などの発症リスクを高めてしまうため、早急な食事の見直しと改善を行う必要があります。食生活が乱れてきたと感じたら、まずはストレスを解消するようにしましょう。

エモーショナルイーティングになりやすい人は?

忙しくストレスが多い女性になりやすい傾向にあります。実際に摂食障害を発症する割合では、女性に対して男性が約20人に1人といわれています。本来であれば、食事をするのは栄養を補給し生きていくためのものです。
空腹でなくても食べてしまうのは、豊かな感情と食に困らない環境を持つ人間ならではの行動といえます。思春期の女性はとくにエモーショナルイーティングになりやすいので注意しましょう。

過食が続くとどうなりますか?

食事はストレス発散方法の1つとしても認識されているので、つい食事でストレスを解消しようとしてしまう人も多いでしょう。しかし、食事によるストレス発散が習慣化してしまうと、摂食障害に発展する危険性があります。
エモーショナルイーティングの延長でよくみられる夜食症候群は、夕食後に1日の摂取カロリーの25〜50%以上の食事を夜食として摂取してしまいます。なおかつ不眠症を引き起こしている可能性が高く、睡眠時間でも何かを食べたいと夜中に起きて暴食することが多いです。

エモーショナルイーティングが原因でなりやすい病気は?

感情的に食べてしまう時には、ゆっくり食事をするというよりも衝動的にすぐに食べられるものを選ぶ傾向にあります。よくみられる食事内容は以下の通りです。

  • スナック菓子
  • コンビニスイーツ
  • 菓子パン
  • インスタントラーメン

このような食事を摂る状態が続くと以下のような病気を発症する原因になります。

  • 肥満
  • 糖尿病
  • 睡眠障害
  • パニック障害
  • 無月経
  • 骨粗しょう症
  • 低血糖
  • ストレスは食事だけでなく、体にさまざまな悪影響を及ぼします。早急な食生活の見直しや改善が必要です。

エモーショナルイーティングの受診や治療

白衣の女性とカウンセリングをうける女性

何科を受診すればよいですか?

ストレスは心の病なので、精神科や心療内科を受診しましょう。どのような時に過食が止まらなくなるのかを医師に伝えることが大切です。また、エモーショナルイーティングから合併症を引き起こしている場合には、精神科と内科が連携をとって治療する形となります。
もし、心よりも先に体に支障が出ている場合は内科を受診し、医師には食事量が増えたことを伝えるようにしてください。

治療方法について教えてください。

まずは、ストレスを減らすための環境を整えることが大切になります。ストレスを緩和させることで過食を抑えるためです。ほかにも以下のような治療方法があります。

  • 心理療法
  • 認知行動療法
  • 対人関係療法
  • 支持的精神療法
  • 栄養療法

基本的には精神面のカウンセリングや周りのサポートが中心となるでしょう。しかし、過食以外にも睡眠障害などを発症している場合は、薬物療法を行うこともあります。エモーショナルイーティングのレベルによって治療方法は異なりますので、担当医と相談しながら治療方針を決めていきましょう。

エモーショナルイーティングを防ぐ方法やセルフチェック

ストレスに関するスクリーニングシート

エモーショナルイーティングを防ぐ方法は?

ストレスを溜めないようにすることが過食を防ぐ最も有効な方法です。ストレスを感じても食事以外でストレスを発散できる方法を確立しましょう。有効な発散方法としては、以下の方法があります。

  • 運動やストレッチ
  • 温泉浴
  • 趣味に没頭する
  • アウトドア
  • 子犬や子猫の動画を見る
  • エンターテインメントを見る

癒されたり腹の底から笑ったりすることは非常にいいストレス発散となります。自然に触れるのもおすすめです。あなたにあったストレッチ発散方法をみつけましょう。

エモーショナルイーティングのセルフチェック方法は?

感情的に食べてしまうと感じたら、セルフチェックを行ってみましょう。セルフチェックは精神科や厚生労働省からもストレスチェックリストが公表されています。
セルフチェックを行うことで、あなたが感じているストレスが外因性のものなのか、内因性のものなのかなど詳しいことを知れるいい機会です。ストレスの根本的な問題を知り、エモーショナルイーティングの原因が分かれば対処しやすくなります。
あくまでもセルフチェックですので、少しでもつらい気持ちが晴れないのであれば精神科や周りの人を頼ってください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

いきなり食事量が増えて、常に口に何か入れている」と感じている人は多いのではないでしょうか。
ダイエットしたいのに食欲が止まらないと感じている人も、ご自身の意思が弱いと責める前にぜひストレスがないのかセルフチェックを実施してみてください。気づいていなかったストレスが食欲の根本的な原因になっているかもしれません。
ストレスの数値が高いのであれば、ストレスを緩和する環境に整えたりストレス発散方法を試してみたりすることを優先してください。

編集部まとめ

ランチを食べる笑顔のビジネスウーマン
お腹が減っているわけではないのに、感情的に食べてしまうエモーショナルイーティングによるものです。忙しい女性ほどなりやすく、慢性化してしまう傾向にあります。

その原因のほとんどはストレスです。まずはストレスの種類を知り、ストレスを解消することを優先しましょう。

ストレスという心の病と戦うことが難しいと感じる人は、精神科や心療内科を受診することも検討してみてください。

この記事の監修医師