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「尿潜血」について医師が徹底解説!重要な病気が隠れている可能性も!

 公開日:2023/08/16
「尿潜血」について医師が徹底解説!重要な病気が隠れている可能性も!

尿潜血とは?Medical DOC監修医が健康診断・尿検査の尿潜血の数値の見方や基準値・血尿の主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

喜多村 麻梨子

監修医師
喜多村 麻梨子(医師)

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滋賀医科大学卒業。天理よろづ相談所病院より初期研修を経て、総合内科診療に深く携わる。
形成外科を経て美容医療の可能性を見出し、産後も美容診療に携わりながら幅広く活躍している。現在は美容医療の枠にとどまらず予防医学の啓蒙・執筆活動に従事し活躍の幅を広げている。

尿潜血とは?健康診断で尿潜血を指摘されたら

健診や病院の尿検査で「尿鮮血陽性です」「おしっこに血が混じっています」と言われたことはないでしょうか?「尿潜血」とは詳しくは「尿に赤血球が混入した状態」のことを指し、尿を作る腎臓やその通り道である泌尿器に疾患が隠れていることを示唆する重要なサインです。血尿は目で見てわからないこともあり、厳密には尿試験紙法によるスクリーニング検査により、尿中に赤血球が見つかった場合に「尿潜血陽性」と診断します。

尿潜血・血尿の原因は?

尿潜血を指摘されたら、顕微鏡にて尿中の赤血球の「数」や「形」を見る検査をします。「尿鮮血陽性」になる主な疾患として 糸球体疾患、尿路上皮癌、腎癌、前立腺癌、尿路結石症、膀胱炎、前立腺肥大症、腎動静脈奇形、腎嚢胞などがあります。生命を脅かす可能性のある疾患として尿路上皮癌があげられます。

尿潜血のプラスマイナスとは?

血尿のスクリーニング検査である、尿試験紙法により尿潜血反応が(1+)(ヘモグロビン 0.6/ dl)以上を陽性とします。

尿潜血が陽性(プラス)だとどうなる?

主な原因疾患として 糸球体疾患、尿路上皮癌、腎癌、前立腺癌、尿路結石症、膀胱炎、前立腺肥大症、腎動静脈奇形、腎嚢胞 などが考えられます。主に2.3%の方が、腎・尿路疾患を有するとされています。さらに尿路悪性腫瘍の割合は0.5%程度であると報告されており、これらの疾患の除外が必要になります。
尿潜血は陽性でも無症候のことも多く、健診や学校検尿を通して見つかることもあります。腰痛や腎臓や尿路に疾患の既往がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

尿潜血の治し方・改善方法は?

改善法は原因により異なります。まずは医療機関でしっかり検査を行い、尿潜血が出ている原因を特定することが大切です。
また、普段の生活の中では水分を適量取ることが大切です。一般的には2リットルが理想などといわれています。

健康診断の「尿潜血」の見方と再検査が必要な「尿潜血」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

健康診断・尿検査の「尿潜血」の基準値

血尿の診断は、尿色調の観察、尿試験紙法による尿潜血反応、顕微鏡的検査である尿沈検査によって行われます。
尿試験紙法による尿潜血反応は、血尿のまず行うべきスクリーニング検査であり (1+)(ヘモグロビン0.6/ dl)以上を陽性とします。

健康診断・尿検査で「尿潜血」の再検査基準と内容

尿潜血の再検査では、内科や泌尿器科医の受診をお勧めします。まず超音波検査を行います。超音波検査で、もし、なんらかの疾患が疑われた場合には、さらにCTやMRI、採血、膀胱鏡などいろいろな検査を行っていきます。
検査費用は、保険診療で3割負担の場合は超音波検査や血液検査を行うと、3,000~6,000円程度です。
肉眼的に目に見える血尿「肉眼的血尿」は重要なサインですので、おしっこをしていて、あれ!と思ったら、近くの病院でまず尿検査を受けましょう。
喫煙者で肉眼的血尿がある場合には、尿のなかに癌細胞が混じってないか尿細胞診という検査を行います。また、痛みの少ないやわらかい電子スコープを用いて膀胱の中を観察したりします。おしっこをしていて、あれ!と思ったら、近くの病院でまず尿検査を受けましょう。

健康診断・尿検査の「尿潜血」で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「尿潜血」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

尿路結石

尿は、腎臓で作られ尿管から膀胱を経て、尿道を通って排出されます。この通り道を尿路と呼びますが、腎臓でできた結石が尿路に引っかかる病気を総称して「尿路結石」と呼びます。ひっかかる場所によって、腎臓結石、尿路結石、膀胱結石、尿道結石と名称が変わります。
結石が詰まっていると腎臓に負担がかかるため、早期の治療が重要です。結石が形成されても、特にごく小さなものであれば、何の症状も現れない場合もあります。
尿管や腎盂など、尿を排出する腎臓の管に結石が詰まると、背部痛や腎あたりに鋭い仙痛が生じます。痛みが普通は肋骨から腰にかけて生じます。痛みが強いときには、ロキソプロフェンなどの鎮痛薬や、痛み止めの座薬が処方されます。鎮痛薬により症状が治まり石がうまく体外へ排石されればいいのですが、万が一排石されないときには、対外衝撃波破砕装置というもので、石を細かく砕き体外へ出す治療が必要です。それでもうまく排石できない場合には手術が必要になることもあります。
痛みが生じた時点で泌尿器科への受診を心がけましょう。

膀胱炎

尿道を介して外部から大腸菌などの腸内細菌が、膀胱の中に入り増殖することにより、膀胱に炎症を起こすのが「膀胱炎」です。
尿検査により膀胱炎の診断がつけば、抗菌薬を用いて治療します。3~4日の服用で症状はよくなります。薬の服用が終わったら、再び尿検査を受け、膀胱炎が完治していることを確認します。
排尿痛(排尿時に差し込むような痛みが生じ、排尿の終わりに特に痛みが強くなる)頻尿(排尿回数が増え、30分~1時間ごとにトイレに行きたくなる)尿の濁り、残尿感、血尿などの症状があれば、病院受診しましょう。
膀胱炎の背後に、重大な病気が隠れていることがあり、男性の膀胱炎では、前立腺肥大症や膀胱癌が潜んでいる可能性があります。女性でも、膀胱炎を繰り返す場合や、なかなか治らない場合には、注意が必要です。専門の泌尿器科医の診察を受けるようにしましょう。

「尿潜血」が陽性(プラス)のときの正しい対処法・改善法は?

血尿はさまざまな疾患によって起こりますが、膀胱炎や結石などは生活習慣が発症に大きくかかわっています。
膀胱炎や結石があり尿潜血が陽性である場合は以下の食事や飲み物を避けましょう。
刺激物:からし・わさび・唐辛子などの辛いもの
アルコール:ビール・ワインなど
カフェイン食品:コーヒー・紅茶・お茶
酸性食品:炭酸飲料・酸味の強い果物

予防・改善に良い食べ物を食べましょう。
スイカ:むくみや腎機能が低下時の利尿効果
しょうが:体を温め・抗菌作用

一方で、尿路結石の再発を防ぐ場合、カルシウムを多く含む牛乳やヨーグルトなどの乳製品や大豆製品、骨ごと食べる魚、シュウ酸を多く含むほうれん草、筍、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、未熟なバナナ、ピーナッツ、アーモンド・チョコレート・ココアなどを多く取りましょう。
また、睡眠やストレス緩和、リラックスを得るためには、自律神経が安定する生活、つまり規則正しい生活を心がけましょう。免疫力が保てれば血尿疾患を引き起こす炎症も起こりにくくなります。また、水分を適量取ることも大切です。
尿の出が悪いなどの異変を感じた時点で受診しましょう。血尿が出たら、1週間以内を目安に受診するのが望ましいです。検査をして何もなければ安心できますから、迷わず、医療機関を受診しましょう。

「尿潜血」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「尿潜血」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

健康診断で尿潜血が陽性と言われたら何科に行けばいいですか?

喜多村 麻梨子喜多村 麻梨子 医師

腎泌尿器科を受診しましょう。これまでの血尿の有無、血尿の出現時期、伴う体の症状はあるかなどを伝えましょう。

検尿で尿潜血+++の診断結果が出たら何の病気の可能性がありますか?

喜多村 麻梨子喜多村 麻梨子 医師

血尿が出る病気の代表例は、膀胱炎、尿路結石症、尿路悪性腫瘍などがあります。年齢によってかかりやすい病気は異なり、血尿以外の症状を伴う場合は入院や安静が必要になる病気の場合が多いです。

ストレスが原因で尿潜血が陽性・血尿になることはありますか?

喜多村 麻梨子喜多村 麻梨子 医師

ストレスが直接の原因で尿潜血が陽性になることはありません。 ただ、自律神経のバランスが乱れ、免疫力が下がり、尿路感染症が起こりやすくなるため、女性は膀胱炎、男性は急性前立腺炎や睾丸の炎症で血尿が出たりします。

女性で尿検査結果の尿潜血の原因が生理であることはありますか?

喜多村 麻梨子喜多村 麻梨子 医師

月経血が尿に混じることにより、尿潜血で陽性となります。生理中や生理の直後に尿検査を受ける際には、必ずその旨を申し出るようにしましょう。

まとめ 尿潜血は膀胱がんに注意!

いわゆる血尿は、尿を作る腎臓や尿の通り道、尿路の重要な病気のサインの可能性があります。血尿が発見される頻度は加齢とともに増え、男性に比べて女性に多く見られます。目でみて尿の色の変化はわからないものの、尿検査にて血が混じっている状態を「顕微鏡的血尿」といいます。一方で、尿に血が混じることを目でみて判断できる「肉眼的血尿」はさらに重要な病気のサインです。たとえば膀胱癌の85%は肉眼的血尿を契機として発見されます。また腎癌でも、血尿を契機に見つかることも少なくはありません。
顕微鏡的血尿でも、がんなどの重要な病気の危険信号の場合がありますので注意が必要です。一人でどうにかしようとせず、医療機関を受診しましょう。

「尿潜血」で考えられる病気

「尿潜血」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

腎臓内科・泌尿器科の病気

尿潜血陽性や血尿の背景には重篤な疾患が隠れている可能性もあります。

この記事の監修医師