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白内障手術を受けた人が“再発”する「後発白内障」とは? 注意点や治療方法を解説

公開日:2022/05/24
白内障手術を受けた人が“再発”する「後発白内障」とは? 注意点や治療方法を解説

白内障の手術後に発症することがある「後発白内障」。その症状は、一般的な白内障と変わらない「濁り」です。だとしたら、再発と考えていいのでしょうか。そして、再発の連鎖に終わりはあるのでしょうか。「アイケアクリニック本院・アイケアクリニック東京」の佐藤先生が、この質問に回答します。

佐藤香医師

監修医師
佐藤 香(アイケアクリニック本院・アイケアクリニック東京 院長)

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獨協医科大学医学部卒業。同大越谷病院眼科入局。眼科勤務を経た2012年、首都圏を中心に5院展開する「アイケアクリニック」のうち「アイケアクリニック本院」「アイケアクリニック東京」の院長に就任。日々、患者の望む見え方を実現できるようにするための手術を心がけている。医療法人トータルアイケアの理事も務める。

白内障とは別の病気で、再現性もない

白内障とは別の病気で、再現性もない

編集部編集部

昨今、白内障の日帰り手術を散見するようになってきました。

佐藤香医師佐藤先生

そうですね。長期でみた白内障の罹患率は100%とされています。「見えの不具合」を気にされるかどうかは別として、「誰にでも起きる目の病気」ということです。よって、使用する“人工レンズ”の種類にもよりますが、手術費用には保険が適用されています。

編集部編集部

人工レンズに置き換えたら、「見えの不具合」は解消されると考えていいのでしょうか?

佐藤香医師佐藤先生

基本的にはそうです。ただし、術後の5年で「後発白内障」を発症する患者さんが約2割いらっしゃいます。後発白内障は、水晶体を包んでいた“袋のような部位”に起きる濁りです。袋の前面は手術によって取り除かれていますが、後部は人工レンズの安定のためにも残しているのです。この袋の後部の濁った細胞が増殖すると、後発白内障が発症します。

編集部編集部

後発白内障は白内障の“再発”と言っていいでしょうか?

佐藤香医師佐藤先生

症状が一般の白内障と一緒なので、再発と言うこともあります。ただし、病気としては別ですので、再発に含めない印象ですね。また、本来の白内障手術のように「削って吸い取る」必要はなく、レーザーを当てる手術で解決できます。濁っている袋をレーザーで破いていくイメージでしょうか。最初の白内障手術から半年もたっていれば、人工レンズは癒着して安定してきます。ですから、袋の後部の一部をレーザーで破っても大丈夫なのです。

編集部編集部

後発白内障を放置しているとどうなるのでしょう?

佐藤香医師佐藤先生

一般的な白内障と同様、失明まで進むことがあります。ですから、後発白内障のレーザー術にも保険が適用されています。一般の白内障の再発だと思われると、「またか、きりがないな」と感じるかもしれませんが、それぞれ別の病気で、別個の解決が可能です。約2割の方にはお手間になってしまうかもしれませんが、しっかりと治していきましょう。

知られていない後発白内障の、知られていない注意点

知られていない後発白内障の、知られていない注意点

編集部編集部

後発白内障は頻度が高いのに、あまり知られていませんよね?

佐藤香医師佐藤先生

再発だと思われているのか、「後発白内障」単独で語られていない側面もあるのでしょう。あるいは、感染症といったほかの怖い病気の周知に力を入れるあまり、比較的容易に手術できる「後発白内障」が言及されていないのかもしれないですね。

編集部編集部

失明リスクがあるなら、きちんと後発白内障についても把握しておきたいです。

佐藤香医師佐藤先生

ぜひ、そうしてください。病気の周知が進んでいないので、誤解されている患者さんも多いようです。「自分だけが特別な病気にかかったのではないか」「もう1度、同じ手術を受けるのが怖い」など。じつは特別な病気でもありませんし、レーザー術で十分対応できます。

編集部編集部

「あまり知られていない観点」は、ほかにもありますか?

佐藤香医師佐藤先生

後発白内障手術の術後、一時的に「飛蚊症」が起きることです。一般の白内障手術は、削り取った水晶体を吸い取って、目の中に残しません。一方、後発白内障手術のレーザー術では、破って細かくなった袋が目に残ります。これが、一時的にですが、目の中のゴミとして見えてしまいます。

編集部編集部

レーザー術と同時に、飛蚊症対策もしていただけるのでしょうか?

佐藤香医師佐藤先生

もちろんです。飛蚊症を抑える目薬を必ずお渡ししています。後発白内障手術後の飛蚊症は「絶対に出る」と言ってもいいくらいなので、目薬の処方が必須と考えています。このようにして考えると、一般的な白内障と後発白内障は、病気の中身という意味でも対処法という意味でも「全く別の病気」ということが分かっていただけると思います。

長寿化のなかで、目の役割を考え直してみる

長寿化のなかで、目の役割を考え直してみる

編集部編集部

考え方次第ですが、そもそもの白内障手術を受けていなければ、合併症にも悩まされませんよね?

佐藤香医師佐藤先生

白内障の治療方法には自費診療もあり、“れっきとした病気の治療”という意識が薄まっているかもしれないですね。がんなどと違い、「手術すれば快適になるかもしれないが、受けなくてもいい症状」と受けとってはいないでしょうか。しかし世界的に見ると、白内障による失明率は、ほかの眼病による失明率と比べて「1位」となっています。

編集部編集部

白内障は「治療を要する病気」であると?

佐藤香医師佐藤先生

もちろんです。平均寿命が年々更新され、「人生100年時代」とも言われているなか、目を使っていく期間はますます延びていくでしょう。白内障の罹患率が100%だとすれば、白内障を抱えながら生活する期間も年々延びているということになります。「人生50年時代」での白内障のあり方とは全く、変わってきていますよね。

編集部編集部

ただし、高齢者になると、全般的な手術リスクが高まりますよね?

佐藤香医師佐藤先生

おっしゃるとおりで、白内障手術も例外ではありません。ですから、「よりよい人生を長く確保する」意味でも、「手術が可能なうちに受けておく」という意味でも、早めの対策が必須です。老眼のご相談などにより、「白内障手術の適応がある」とわかった段階で、迷わず白内障という“病気”と決別しておきましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

佐藤香医師佐藤先生

ある程度の年齢になると、視力の低下により、身の回りのさまざまなリスクに気づきにくくなってきます。わかりやすい例としては、「運転免許の更新」かもしれません。運転免許をもっている方なら、定期的にリスク評価がおこなえるでしょう。これと同様に、運転免許の有無にかかわらず、年に1度でいいので、眼科で定期健診を受けてはいかがでしょうか。「人生100年時代」を安全に生き抜く工夫だと考えます。

編集部まとめ

白内障は、目の表面を切開し、そこからレンズの濁りを吸い取ります。他方の後発白内障の治療は、目を切開せずにそのままレーザーを当てるため、破った袋のカスが眼内に残ります。このように、それぞれの病気は、治療方法からしても異なります。また、袋の後部は破れてなくなるため、普通なら後発白内障の再発もありません。白内障手術も後発白内障の治療も、「一生に1回受ければ済む」治療です。

医院情報

アイケアクリニック東京

アイケアクリニック東京
所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋2-8-1 東京日本橋タワーアネックス2階
アクセス 東京メトロ「日本橋駅」B6出口から徒歩1分
診療科目 眼科