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【医師が解説】子どもの予防接種・ワクチンはスケジュール通りに受けないとマズい?

 更新日:2023/03/27
【医師が解説】子どもの予防接種・ワクチンはスケジュール通りに受けないとまずい?

0歳の子どものワクチンは回数が多く、「つい忘れてしまった」という人も多いのではないでしょうか。そんなときは、ワクチン接種のスケジュールを立てるのがおすすめです。そこで今回は、スケジュールの立て方や管理について「グローバルヘルスケアクリニック」の水野先生に教えていただきました。

水野泰孝先生

監修医師
水野 泰孝(グローバルヘルスケアクリニック 院長)

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東京慈恵会医科大学大学院(小児科学)修了。タイ王国マヒドン大学熱帯医学部留学、在ベトナム日本大使館医務官、国立国際医療研究センター厚生労働技官、東京医科大学准教授・同大学病院大学病院感染症科診療科長などを歴任し、2019年より現職。日本感染症学会認定専門医・日本小児科学会認定専門医・日本アレルギー学会認定専門医。専門は熱帯医学・渡航医学・予防接種。

子どもの予防接種・ワクチン接種のスケジュール・流れを教えてください

子どもの予防接種・ワクチン接種のスケジュール・流れを教えてください

編集部編集部

乳児や小児のワクチン接種は様々な種類があるので混乱します。どうやって管理したらいいでしょうか?

水野泰孝先生水野先生

ワクチン接種をおこなう場合、まずは事前にスケジュールを立てることをおすすめします。赤ちゃんが生まれたら母子手帳や自治体のウェブサイトなどの情報を参考に、カレンダーにまとめておくと便利ですよ。

編集部編集部

スケジュールの立て方がイマイチわかりません……。

水野泰孝先生水野先生

ワクチンには、種類ごとに接種する時期や間隔が決まっています。また、ワクチンには法律によって受けることが推奨されている「定期接種」があります。定期接種にあたるものをリストアップし、接種する時期や間隔を考えながら時系列でまとめるといいですよ。また、日本小児科学会のウェブサイトにも、接種カレンダーが掲載されています。(※)

※日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=138

編集部編集部

時期と間隔に注意して、スケジュールを立てるのですね。

水野泰孝先生水野先生

はい。最も簡単なスケジュールの立て方は「毎月、決まった日に病院を訪れ、ワクチンを接種する」ことだと思います。ほとんどのワクチンは1カ月単位で間隔が定まっており、乳児の場合はBCGワクチンが終わるまで定期的に通院する必要があります。そのため、例えば「毎月第1月曜日に通院する」というように、はじめから通院日を決めてしまえば、受け忘れがなくなります。

編集部編集部

ワクチンにはどのような種類があるのですか?

水野泰孝先生水野先生

0歳で受ける定期接種には、「ヒブ(インフルエンザ菌b型:Hib)ワクチン」「BCGワクチン」「B型肝炎ワクチン」「肺炎球菌ワクチン」「ロタウイルスワクチン」「4種混合ワクチン」の6種類があります。また、1歳では「水痘ワクチン」「MR(麻しん風しん混合)ワクチン」、3歳では「日本脳炎ワクチン」があります。

編集部編集部

年齢によって受けるべき予防接種が異なっているのですね。

水野泰孝先生水野先生

日本脳炎のワクチンは3歳まで待たずに、6カ月から受けることもできます。3歳で接種するワクチンは少ないので、まとめて1歳までに接種してしまうという考えもあります。また、日本国内での発生はほとんどありませんが、蚊が媒介する感染症なので、蚊が発生する頃に該当時期になる乳児は接種を検討してもいいと思います。

編集部編集部

3歳まで待たなくても、ワクチンを打っていいのですね。

水野泰孝先生水野先生

はい。日本脳炎のワクチンは、推奨時期は3歳からとなっていますが、生後6カ月から接種することも可能です。小さい頃の方が病院へ連れて行くのも楽ですから、ご家族の負担を軽減するためにも検討してみてくださいね。

編集部編集部

スケジュールを立てるのにも、コツが必要なのですね。

水野泰孝先生水野先生

そうですね。スケジュールの立て方がわからなかったら、ぜひかかりつけの小児科医にご相談ください。赤ちゃんのワクチン接種回数は半年間で15回、数は6~7種類にものぼりますから、はじめにしっかりスケジュールを立てておくことが大切です。

子どもの予防接種のスケジュールが遅れるとどうなりますか?

子どもの予防接種のスケジュールが遅れるとどうなりますか?

編集部編集部

ワクチンを打ち忘れてしまった場合、どうしたらいいのでしょうか?

水野泰孝先生水野先生

気づいたらできる限り早く医師に相談しましょう。遅れてしまっても、早めに打てば効果が期待できることもあります。ただし、規定の接種時期が過ぎてしまうと、自費での接種になる場合があるので気をつけましょう。

編集部編集部

打ち忘れたら、「もう一度やり直し」ということはないのですか?

水野泰孝先生水野先生

基本的にそのようなことはありません。なぜなら、ワクチンは間隔がまちまちでも、接種回数の方が重要だからです。ワクチンの基本的な考え方として、「1回目と2回目(※ワクチンによっては3回目まで)は土台を作って、3回目(※4回目)以降でそのうえに家を立てる」というようなイメージと覚えておくとわかりやすいでしょう。つまり、1回目と2回目は土台作りが目的ですから、きちんと接種しておけば土台がなくなることはありません。その後に3回目や4回目を接種すれば、ちゃんと効果が期待できるのです。

編集部編集部

なるほど、土台を固めるために間隔が必要なのですね。

水野泰孝先生水野先生

そうです。仮に1回目と2回目の間隔が狭く、急いで3回目を接種しようとすれば、土台がほとんど固まっていないところに家を立てるようなものですから、期待する効果は得られません。このように、ワクチンは間隔だけでなく回数も重要なのです。

編集部編集部

2回以上打たなければならないのに間隔が空きすぎてしまった場合、1回目からやり直しになるということはないのですね。

水野泰孝先生水野先生

ただし、気をつけたいのは3回以上打たなければならないワクチンで、1回目と2回目の間隔が空きすぎてしまった乳児の場合です。生まれたばかりの赤ちゃんの場合、ワクチンを1回打っただけでは土台ができておらず、2回目まで長く空きすぎてしまうと、雨で土台が流されてしまうように効果が消えてしまうこともあります。そのため、1回目を打って6カ月以上空いてしまった場合には、1回目からやり直しということになるかもしれません。ちなみに、2回目と3回目の間隔が空いてしまっても、ほとんどの場合は問題ありません。

編集部編集部

同時接種の話題も耳にします。

水野泰孝先生水野先生

2種類以上のワクチンを同時に打つことを同時接種と言います。なお、同時に打っても、効果は減少や増強しないことが明らかになっています。

編集部編集部

同時接種と混合ワクチンの違いはなんでしょうか?

水野泰孝先生水野先生

同時接種は、ワクチンを2.5cm以上離れた場所に1本ずつ接種する方法です。一方の混合ワクチンは、数種類のワクチンが1つの注射製剤のなかに混ざっているもののことを指します。同時接種の安全性は確認されていますし、1回で接種できる本数に原則として制限がありません。日本小児科学会でも、打ち忘れを防いでスムーズに予防接種を進めるために、同時接種を推奨しています。

編集部編集部

混合ワクチンは、はじめから1つにまとめてあるのですね。

水野泰孝先生水野先生

そうです。ときどき「複数のワクチンを1つの注射のなかに入れて、一度で済ませてください」という保護者の人がいらっしゃるのですが、製剤同士を混ぜ合わせることは基本的に禁止されています。その場合は注射を複数回打つことになりますが、同時接種をするようにしましょう。

予防接種・ワクチン接種の上手なスケジュールの立て方

予防接種・ワクチン接種の上手なスケジュールの立て方

編集部編集部

上手にスケジュールを立てるにはどうしたらいいでしょうか?

水野泰孝先生水野先生

「ワクチンの種類によって、接種するベストなタイミングが決まっている」ということが重要です。また、接種する年齢や回数、間隔なども異なります。ときどき自治体から接種のお知らせが届くのが遅く、ベストなタイミングからズレてしまうことがありますが、その場合は自治体に問合わせて請求することもできます。

編集部編集部

ほかにも、スケジュールの立て方で気をつけた方がいいことはありますか?

水野泰孝先生水野先生

0歳でのワクチン接種は非常に数が多いので、生後2カ月になったら早めにワクチン接種を開始するといいでしょう。最も早くワクチンを打てるのは定期接種のB型肝炎やヒブワクチンなどで、これらは生後2カ月から打つことができます。また、出産後は1カ月健診を受けると思いますので、その際にワクチンのことを医師に相談してみてはいかがでしょうか。小児科医であればスケジュールの立て方について、役立つアドバイスをもらえると思います。

編集部編集部

そのほかに注意点はありますか?

水野泰孝先生水野先生

混乱しやすいのが、「ワクチンの種類によって、次の接種までの間隔が異なっていること」だと思います。ワクチンには「生ワクチン」や「不活化ワクチン」といった種類がありますが、注射の生ワクチン同士は4週間(中27日)空けなければならないというルールがあります。例えば、1歳で受けるワクチンには、MR(麻しん風しん混合)、おたふく、水痘がありますが、これらはすべて生ワクチンなので、1回に1種類ずつ打っていると、次の接種まで4週間空けなければならなくなってしまいます。

編集部編集部

なるほど。ワクチンごとに必要な間隔が異なるので気をつけなければいけないのですね。

水野泰孝先生水野先生

はい。スケジュールミスや打ち忘れを防ぐためには、同時接種がおすすめです。0歳のうちは接種するワクチンが多いので、通院の負担も大きくなります。しかし、同時接種をすれば通院の回数を減らせますし、打ち忘れもなくなります。そして、打ち忘れがなくなれば、スムーズな免疫の獲得にもつながります。また、生ワクチン同士だけでなく、生ワクチンと不活化ワクチンを組み合わせることもできるので、医師に相談するといいでしょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

水野泰孝先生水野先生

よく患者さんに「どのワクチンを次に打ったらいいかわからない」と相談を受けることがあります。ワクチンは内科でも受けることができますが、できれば小児科医で受けた方がスケジュールの立て方についてのアドバイスがもらえると思います。また、予防接種は子どもの成長や発達を医師にチェックしてもらういい機会です。身長や体重はもちろんのこと、反応や表情なども細かく確認してもらえます。加えて、将来のかかりつけ医を見つけるための機会としても役立ちますから、小児科専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

編集部まとめ

ワクチンは種類が多いですし、間隔や回数もそれぞれ異なるため混乱しがちですよね。そんなときは、頼れるかかりつけ医を見つけて相談しましょう。効率よくワクチン接種を進めるコツなども教えてもらえると思います。また、今回紹介した方法以外に、ママ友などの知人との情報交換も役立ててみてはいかがでしょうか。ストレスを溜めないよう、上手にワクチン接種を進めてくださいね。

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グローバルヘルスケアクリニック

グローバルヘルスケアクリニック
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診療科目 内科、感染症内科、小児科、アレルギー科

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