「葉酸を摂り過ぎる」とどうなる?男女別の違いや効率的な摂取法も管理栄養士が解説!

葉酸を摂り過ぎるとどうなる?メディカルドック監修管理栄養士が一日の摂取量・効果・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
中岡 紀恵(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「葉酸」とは?

葉酸は水溶性ビタミンであるビタミンB群に属します。植物の葉に多く含まれ、黄色結晶で光や熱に不安定な物質です。ビタミンB12とともに赤血球を作るので「造血のビタミン」といわれています。また、たんぱく質や細胞新生に必要な核酸(DNAやRNA)を合成するために、重要な役割を担っています。
葉酸の一日の摂取量

日本人の食事摂取基準(2025年度版)によると、成人(18〜64歳)男女とも240µg/日が推奨量とされています。妊婦、授乳婦には付加量が設定されていて、妊娠中期・後期は合計480µg/日、授乳期は合計340µg/日が推奨量です。また、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品(サプリメントや葉酸強化食品)に含まれる葉酸を400µg/日摂取することが望まれます。また耐容上限量も設定されていて、成人では、900〜1000µg/日となっています。耐容上限量とは、これ以上摂ると健康に悪影響が出る可能性がある量のことで、通常の食品以外の食品(サプリメントや葉酸強化食品)に含まれる葉酸に適用されます。
葉酸の効果

胎児の正常な発育に不可欠
妊娠初期の胎児では、「神経管」の形成が急速に進み、その過程で葉酸が重要な役割を果たします。妊婦が葉酸を充分に摂取することで、神経管閉鎖障害という胎児の先天異常を予防出来ることがわかっています。そのため妊婦とは別に、妊娠を計画している、または妊娠の可能性がある女性は、付加的に1日400µgのプテロイルモノグルタミン酸(サプリメントや強化食品に使用されている葉酸)の摂取が推奨されています。
細胞分裂・DNA合成を支え成長や組織の再生を助ける
葉酸はDNA・RNAなど核酸やたんぱく質の合成に関与し、新しい細胞を作る際に必須となるビタミンです。そのため、粘膜や皮膚、血液などの組織の維持、再生にとって重要となります。
貧血予防や心血管疾患リスクの低減
葉酸はビタミンB12とともに、新しい赤血球を正常に作り出すために必要です。葉酸不足は巨赤芽球性貧血の原因となる恐れがあります。またホモシステイン(アミノ酸の一種)の代謝にも関与し、葉酸を摂取することでホモシステインの血中濃度が低下することは確認されていますが、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中などの血管疾患リスクを低くする可能性については更なる研究結果が期待されています。
葉酸の多い食品

毎日の食事に取り入れやすい食品をあげています。特別な表記がない限り、葉酸の量は100gあたりの量を示しています。
菜の花
菜の花には340µgの葉酸が含まれています。茹でると190µgとなります。お浸しや胡麻和えとして小鉢一皿(70g)摂ると133µgの葉酸が摂取できます。ただし水溶性ビタミンのため、茹で過ぎには注意が必要です。また葉酸は光に弱く、新鮮な野菜を日の当たるところに放置しておくと分解されてしまいます。購入後はすぐに冷蔵庫で保存し、早めに食べることをおすすめします。
納豆
糸引き納豆には130µgの葉酸が含まれています。ひとパック50gとすると、65µgの葉酸が摂れます。朝食に納豆を取り入れる、毎日ひとパック食べるなど決めておくと、無理なく葉酸の摂取が可能となります。
鶏レバー
鶏レバーには1300µgと葉酸が豊富に含まれています。レバニラ炒めで50g程度食べると650µg摂取できます。ただし、ビタミンAも豊富なため、特に妊娠初期の方は摂取量に注意が必要です。ビタミンAの過剰摂取にならないためにも、週に1回程度を目安にすると良いでしょう。
葉酸を摂り過ぎると現れる症状

葉酸は水に溶けやすいビタミンのため、通常の食事から摂り過ぎて健康被害が出ることはほとんどありません。ただし、サプリメントや葉酸を強化した食品を長期間にわたって大量に摂った場合には、注意が必要です。
ビタミンB12不足に気づきにくくなる
葉酸をとても多く摂ると、ビタミンB12が不足している場合でも、貧血の数値だけが一時的によくなることがあります。その結果、本来治療が必要なビタミンB12不足に気づくのが遅れ、手足のしびれや感覚の低下などの神経症状が進んでしまうおそれがあります。これが、葉酸に「摂り過ぎの上限」が決められている主な理由です。
体調不良が出ることもある
まれに、高用量のサプリメントを摂った場合に、吐き気やお腹の不快感、発疹などがみられることがあります。ただし、これらは多くの場合、通常の食事では起こりません。
サプリメントの摂り過ぎに注意
葉酸は通常の食事から摂り過ぎることはほとんどありません。過剰摂取が問題となるのは、主にサプリメントや葉酸を強化した食品を高用量で続けている場合です。特に、葉酸を含むマルチビタミンなどを複数併用すると、知らないうちに摂取量が増えてしまうことがあります。サプリメントを利用する際は、含有量を確認し、必要以上に重ねて摂らないよう注意しましょう。
葉酸を摂り過ぎると現れる症状【妊娠中・授乳中の女性】

母体の胃腸症状
妊娠中・授乳中は葉酸が大切な栄養素ですが、必要量を大きく超えてサプリメントを摂り続けることはおすすめできません。特に高用量の合成葉酸(サプリメントや強化食品由来)を長期間摂取する場合には注意が必要です。まれに、高用量のサプリメントを摂取した場合に、吐き気、腹痛、下痢、食欲不振などの胃腸の不調がみられることがあります。通常の食事量でこうした症状が起こることはほとんどありません。
アレルギー、皮膚疾患
体質によっては、じんましんや発疹、かゆみなどのアレルギー症状があらわれることがあります。頻度は高くありませんが、サプリメント摂取後に異変を感じた場合は使用を中止し、医療機関に相談しましょう。
胎児、乳児への影響の可能性
一部の観察研究では、妊娠中の高用量の合成葉酸(主にサプリメント由来)の摂取と、子どものアレルギー疾患や神経発達への影響などとの関連が検討されています。しかし、研究結果は一貫しておらず、現時点で因果関係が明確に証明されているわけではありません。通常の推奨量の範囲内で摂取している場合に、胎児や乳児へ明らかな有害影響が生じるという確立した証拠はありません。妊娠中・授乳中は自己判断で高用量のサプリメントを継続せず、サプリメントや強化食品に含まれる合成葉酸が耐容上限量を超えないよう確認することが大切です。不安がある場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
葉酸を摂り過ぎると現れる症状【男性】

胃腸症状
まれに、高用量のサプリメントを摂取した場合に、吐き気、腹痛、下痢、便秘などの胃腸症状がみられることがあります。こうした症状は一般的ではなく、多くはサプリメントの過剰摂取に関連しています。
ビタミンB12不足に気づきにくくなる
葉酸を大量に摂ると、ビタミンB12が不足していても貧血の検査値が一時的に改善することがあります。その結果、本来治療が必要なビタミンB12欠乏に気づくのが遅れ、しびれや感覚異常などの神経症状が進行するおそれがあります。特に中高年男性ではビタミンB12不足が起こりやすいため、サプリメントを利用する場合は摂取量に注意しましょう。
アレルギー、神経症状
発熱、じんましん、かゆみ、不眠、しびれや感覚異常などが報告されており、体質によっては日常生活に支障が出る場合もあります。通常の食事だけで耐容上限を超えることはほぼなく、問題になりやすいのは高用量サプリを長期間続けた場合とされています。
「いつもと違うしびれ・発疹・強い胃腸症状」が続くときは、葉酸サプリをいったん中止し、医師や薬剤師にご相談下さい。
葉酸の効率的な摂取方法

調理法の工夫で損失を減らす
葉酸は水に溶けやすく熱に弱いので、長時間ゆでるより「蒸す・炒める・電子レンジ加熱」にすると失われにくくなります。葉物野菜(菜の花、ほうれん草など)はサッとゆでる、ブロッコリーは電子レンジで短時間加熱して温野菜サラダにすると良いでしょう。
汁ごと食べる、生で食べられる食材の活用
葉酸は水溶性ビタミンでゆで汁などに溶け出すため、菜の花やほうれん草、キャベツ、ブロッコリーなどを入れた具沢山スープや味噌汁にして汁ごと食べる料理にすると栄養素を無駄なく摂取できます。また生で食べることのできる、アボカドやサラダ菜、いちごを活用すると手軽に葉酸摂取ができるのでおすすめです。
少量ずつの摂取
葉酸は水溶性ビタミンなので体内に長期蓄積しにくく、吸収効率や日常的な摂取の観点から1日数回に分けてこまめに摂る方が効率的です。朝食に納豆ご飯と味噌汁を選んだり、昼食のサラダにブロッコリーやアボカドを添えたりするのもおすすめです。妊活・妊娠中の方は、食事に加えて葉酸サプリを取り入れるのも良いでしょう。食前・食後など、ご自身が続けやすいタイミングで1〜2回に分けて摂取してみてください。毎日同じ時間帯に飲む習慣をつければ、飲み忘れも防げます。妊娠中・授乳中は、食事+サプリの合計が推奨量〜耐容上限内に収まるよう食品表示を確認しながら調整することをおすすめします。
「葉酸の摂り過ぎ」についてよくある質問

ここまで葉酸を紹介しました。ここでは「葉酸の摂り過ぎ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
妊娠中に葉酸を摂り過ぎると胎児にどのような影響がありますか?
中岡 紀恵
通常の推奨量の範囲で葉酸を摂取している場合、胎児への明らかな悪影響は確認されていません。一方で、サプリメントなどから高用量の合成葉酸を長期間にわたって摂取した場合については、いくつかの観察研究で子どものアレルギー疾患や神経発達との関連が検討されています。ただし、これらは研究段階の報告であり、因果関係がはっきり証明されているわけではありません。
妊婦の葉酸の耐容上限量は1日1,000µgと設定されていますが、この上限は主にサプリメントや強化食品に含まれる合成葉酸に適用されるものです。通常の食品に含まれる葉酸だけで上限を超えることはほとんどありません。注意したいのは、葉酸を含むサプリメントを複数併用したり、高用量製品を継続して摂取したりするケースです。妊娠を計画している方や妊娠初期の方は、サプリメントからの付加量は1日400µgを目安とし、ほかのサプリメントや強化食品との重複がないか表示を確認することが大切です。不安がある場合は、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。
まとめ
葉酸は、胎児の神経管閉鎖障害を予防し、細胞分裂や造血を助ける、妊娠期に特に大切な栄養素です。妊活中〜妊娠初期はサプリも活用して推奨量をしっかり満たし、それ以降は食事を基本に必要量を意識していくことが重要となります。摂り過ぎはサプリの多用でなければ心配は少ないとされています。ご自身の体調や食事状況に合わせて「不足しないよう適量を続ける」ことが、安全で無理のない葉酸摂取につながります。
「葉酸」と関連する病気
「葉酸」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の詳細などはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
産婦人科の病気
- 胎児の神経管閉鎖障害
内科の病気
「葉酸」と関連する症状
「葉酸」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状の原因などはリンクから詳細記事をご覧ください。
参考文献
