目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 【薬剤師が教える】貧血をどうにかしたい人が選ぶべき市販薬・漢方薬の選び方は?

【薬剤師が教える】貧血をどうにかしたい人が選ぶべき市販薬・漢方薬の選び方は?

 公開日:2024/01/06
【薬剤師解説】貧血気味な人が選ぶべき市販薬の選び方は?

めまい・ふらつきが気になる……もしかしたら貧血かも?」と思ったとき、まずは食事で鉄を補うのが良いですが鉄剤やサプリメントを選択する人もいらっしゃると思います。一方、病院に行く時間がないからと市販薬を服用するとなると、薬の種類が多くて悩んでしまうかもしれません。そこで今回は、貧血の市販薬の選び方や市販薬と処方薬の違いについて、薬剤師の西さんに解説していただきました。

西ひかり

監修薬剤師
西ひかり(薬剤師)

プロフィールをもっと見る
熊本大学薬学部を卒業後、病院薬剤師として15年以上勤務を継続。病棟担当した診療科は、整形外科・神経内科・代謝内科・血液内科など。終末期の緩和ケアや、日本臨床栄養代謝学会認定のNST専門療法士として栄養療法にも従事。子ども4人のママでもあり、試行錯誤しながら子育てに奮闘中。

貧血には種類がある 種類別の対処法は?

貧血には種類がある 種類別の対処法は?

編集部編集部

貧血にはどんな症状がありますか?

西 ひかりさん西さん

貧血になると、めまい・たちくらみ・動悸・息切れが生じ、疲れやすくなります。頭痛・肌荒れ・爪の変形も症状の1つです。またイライラするなどの精神的な症状や、無性に氷を食べたくなったり髪が抜けやすくなったりすることもあります。

編集部編集部

貧血の種類を教えてください。

西 ひかりさん西さん

貧血というと、鉄分の不足が原因の「鉄欠乏性貧血」を思い浮かべる方が多いでしょう。実際に、貧血全体の中で鉄欠乏性貧血の割合が最も高いのですが、それ以外にもさまざまな原因による貧血があります。「巨赤芽球貧血」では、葉酸やビタミンB12の不足が原因で赤血球が作られなくなります。「溶血性貧血」は、赤血球が本来の寿命より早く壊れることによっておこる貧血です。ほかには、血液をつくる骨髄の機能低下が原因である「再生不良性貧血」や、腎臓の機能が低下して造血因子であるエリスロポエチンの分泌が低下してしまうことが原因となる「腎性貧血」などもあります。

編集部編集部

自分でできる貧血の対処法はありますか?

西 ひかりさん西さん

自分でできる貧血の対処法としては、まず鉄分やビタミンB12・葉酸の不足を補う必要があります。また、鉄分の吸収を助けるビタミンCやヘモグロビンの元となるタンパク質も積極的にとるように心がけましょう。鉄分の吸収を妨げるタンニンは、お茶に多く含まれています。1~2杯であれば問題ありませんが、気になるときは1時間ほど時間を空けるようにしましょう。

鉄欠乏性貧血が気になる…症状緩和のための市販薬の選び方は?

鉄欠乏性貧血が気になる...症状緩和のための市販薬の選び方は?

編集部編集部

鉄欠乏性貧血に効果のある市販薬がありますか?

西 ひかりさん西さん

はい。市販薬には、鉄欠乏性貧血に効果のある薬があります。それは主に、鉄剤と漢方薬になります。

編集部編集部

鉄剤は貧血のどんな症状におすすめですか? 副作用も教えてください。

西 ひかりさん西さん

鉄剤は、めまい・ふらつき・動悸・息切れがあり疲れやすい方におすすめです。副作用には、胃のむかつきなどの消化器症状や、黒色便、便秘などがあります。ですが、鉄剤を飲みはじめて便が黒色になったとしても心配する必要はありません。

編集部編集部

漢方薬もあると聞きましたが、鉄剤との違いは何ですか?

西 ひかりさん西さん

漢方薬は、血や気のめぐりを良くして体力を補ったり食欲を増加させたりします。女性特有のホルモンバランスの乱れを整えることで体質改善につながり、冷えなどの貧血に伴う症状も改善します。

編集部編集部

おすすめの漢方薬を教えてください。

西 ひかりさん西さん

加味帰脾湯(かみきひとう)」は、疲れやすくイライラなどの精神的な症状がある場合におすすめです。「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」は、体力が低下し食欲もないような貧血に「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、体力があまりなく冷え性やむくみの気になる方に効果的です。市販の漢方薬には、漢方を構成する生薬成分に加えて、鉄剤も一緒に配合されている商品もあります。成分をよく確認してみましょう。

市販薬と処方薬の違いは? どっちを選ぶべき?

市販薬と処方薬の違いは? どっちを選ぶべき?

編集部編集部

鉄欠乏性貧血に対する処方薬について教えてください。

西 ひかりさん西さん

鉄欠乏性貧血の治療は、基本的に鉄剤から開始します。市販薬はほとんどが錠剤ですが、処方薬には錠剤以外にシロップや粉薬、注射薬もあるので、錠剤がのみにくい場合も安心です。また、食事の影響を受けやすい鉄剤が食後でも吸収が落ちないように工夫された薬や、鉄剤の副作用である胃のむかつきを軽減するために工夫された薬もあります。

編集部編集部

市販薬を選ぶメリットは何でしょうか?

西 ひかりさん西さん

市販薬には、鉄剤だけでなく鉄の吸収を良くするようなビタミンCや、ビタミンB12・葉酸が配合されているものもあります。なぜなら、貧血を改善するためには鉄分を補うだけでなく、赤血球を作るのを助けるビタミンB12や葉酸も必要になるからです。1粒の中に複数の成分が配合されているので、手軽に必要な成分をとれるという点が市販薬を選ぶメリットといえます。

編集部編集部

医療機関を受診する目安はありますか?

西 ひかりさん西さん

貧血は改善に時間がかかりますが、市販薬を2週間程度服用しても症状改善が見られない時は医療機関で受診しましょう。貧血は鉄欠乏性貧血だけではなく、別の病気が隠れている可能性もあります。医療機関では検査や診察をして薬を処方するので、気になる症状がある場合は初めから受診するのをおすすめします。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

西 ひかりさん西さん

「貧血かな?」と思うような症状があるときは、鉄剤の補給などの貧血対策からはじめてみましょう。食生活の見直しも重要です。なかなか症状が改善しない、日常生活に支障があり困っている場合は早めに医療機関で受診してください。

編集部まとめ

貧血の市販薬を選ぶときは、鉄分を補給する鉄剤と、体質の改善が期待できる漢方薬から自分にあったものを選びましょう。処方薬の鉄剤にはシロップ剤や粉薬、注射薬もあるので、薬が飲みにくいときは相談してみてください。貧血は改善に時間がかかるので、継続して飲み続けられる方法を選びましょう。

この記事の監修薬剤師