「炭水化物100gあたりのカロリー」はご存じですか?管理栄養士が解説!

炭水化物のカロリーはどれくらい?メディカルドック監修医が炭水化物1gや100g辺りのカロリー・効果・カロリーが低い食品・カロリーを抑えて摂取する方法などを解説します。

監修管理栄養士:
森 絵美子(管理栄養士)
目次 -INDEX-
炭水化物とは?

炭水化物とは、糖質と食物繊維を合わせた総称で、たんぱく質・脂質と並ぶ三大栄養素のひとつです。糖質は体内でブドウ糖に分解され、脳や筋肉を動かす主要なエネルギー源になります。一方、食物繊維も炭水化物の一種ですが、人の消化酵素ではほとんど分解されず、通常はエネルギー源としては利用されません。
ただし、日本食品標準成分表(八訂)では、一部の食物繊維について「1gあたり2kcal」としてエネルギー換算される場合があります。実際にはエネルギーへの寄与は小さいものの、腸内環境の改善や血糖値の上昇抑制など、健康面で重要な働きを担っています。
炭水化物1gあたりのカロリーはどれくらい?

2019年以前に用いられていた日本食品標準成分表2015年版では、炭水化物1gあたりのカロリーはアトウォーター係数を用いた4kcalでした。しかしながら、日本食品標準成分表2020年版(八訂)のカロリー換算係数(1gあたりのカロリー)は、細かい成分名による内容で産出されるよう変更されたため、糖質の種類や食物繊維(1gあたり2kcal)などで変わってきます。ご自身でおおよそのカロリーを計算する場合は従来の係数(炭水化物(糖質)4kcal)を用いると良いでしょう。
炭水化物100gあたりのカロリーはどれくらい?

前述の通り、カロリー換算係数の炭水化物1gあたり4kcalはおおよそのカロリーを計算する場合に用いるという事を念頭に置いた上で、炭水化物(糖質)100gあたりのカロリーを計算してみましょう。100g×4kcal=400kcalですね。よって炭水化物(糖質)100gに含まれるおおよそのカロリーは400kcalとなります。ただしこれが炭水化物(食物繊維)だった場合、カロリー換算係数は2kcalとなります。
炭水化物の効果

炭水化物は糖質と食物繊維で効果が大きく異なります。糖質と食物繊維それぞれの効果についてご説明します。
糖質の効果
糖質は、脳や体を動かすためのもっとも基本的なエネルギー源です。体内でブドウ糖に分解され、すぐに利用できるエネルギーとして働くほか、筋肉や肝臓にはグリコーゲンとして蓄えられ、必要に応じてエネルギー供給に使われます。脳は主にブドウ糖をエネルギー源としているため、糖質が不足すると集中力や思考力が低下しやすくなります。
また、糖質を効率よくエネルギーに変えるためには、ビタミンB1(チアミン)が必要です。ビタミンB1は豚肉、うなぎ、豆類、ナッツ類などに多く含まれているため、糖質の摂取が多い場合は意識的に取り入れるとよいでしょう。
食物繊維の効果
食物繊維には、便秘を予防し腸内環境を整える働きがあります。また、食後の血糖値の急上昇を抑えたり、血液中のコレステロールを低下させるなど、さまざまな健康効果が報告されています。これらの作用は生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、心筋梗塞、肥満症)と深く関わっており、食物繊維の摂取量が多いほど、発症率や死亡率が低い傾向があることもわかっています。
日本人は食物繊維の摂取量が不足しがちなため、野菜、きのこ、海藻類などを毎日の食事に積極的に取り入れることを心がけましょう。
炭水化物でカロリーが低い食品一覧

しらたき
しらたきはほぼ食物繊維と水分でできており、100gあたり7kcalで糖質制限やカロリーコントロールをしたい方に適した食品です。麺類やご飯の代わりに用いたり、肉じゃがなどの料理に混ぜてかさ増しすることで、ボリュームを保ちながら全体のカロリーを抑える ことができます。ダイエット中のカロリーコントロールや糖質量を減らしたい方にも取り入れやすい食材です。
芋類、かぼちゃ
芋類とは、じゃがいも・さつまいも・里芋などの総称です。これらは炊いた白米(100gあたり約156kcal)と比べると、カロリーが低いものが多く、さらに食物繊維やビタミンCを補えることが特徴です。ただし、さつまいものように白米と近いカロリーをもつ種類もあるため、食品ごとの違いを知っておくと適切に活用できます。
【食品別のカロリー(100gあたり)】
・白米(炊飯後):約156kcal
・じゃがいも(皮なし、蒸し):約76kcal
・さつまいも(皮なし、蒸し):約131kcal
・日本かぼちゃ(ゆで):約55kcal
・里芋(生):約53kcal
じゃがいも、かぼちゃ、里芋は白米より大幅に低カロリーのため、かさ増しや主食の一部置き換えとして取り入れると、全体のカロリーを抑えやすい食品です。食物繊維を含むため、満腹感を得やすい点もメリットです。
そば
そば(ゆで)は100gあたり約130kcalと比較的低カロリーで、炭水化物は約24.5gと控えめです。脂質が少なく、食物繊維やたんぱく質、ビタミンB群を含むため、主食として取り入れやすい食品です。
炭水化物が不足すると現れる症状

疲労感やだるさ、集中力、判断力の低下
糖質の摂取が不足するとエネルギー不足となり疲れやすくなり、疲労感やだるさを感じやすくなります。また脳のエネルギー源であるブドウ糖も不足してしまうため思考力が落ちたり、集中力が続かなくなったりします。
筋肉量の減少
糖質の摂取が不足するとエネルギー不足となり、それを補うために体内のたんぱく質が分解されてエネルギー源として使われるため筋肉量が減少することがあります。
便秘
食物繊維の摂取が不足すると腸の働きが悪くなるため、便秘になりやすくなります。
炭水化物のカロリーを抑える方法

混ぜご飯にする
主食を芋ごはんや炊き込みご飯にすることで、白米の量を自然に減らしながら糖質由来のカロリーを抑えることができます。具材として芋類や野菜、きのこなどを加えると食物繊維も補えるため、少ないご飯量でも満腹感を得やすくなるのがメリットです。
甘い嗜好品類を控える
菓子パン、アイスクリーム、ジュースなどには多量の砂糖が含まれており、カロリーも高めなので控えるようにしましょう。どうしても難しい場合は間食を果物に変えたり、栄養成分表示を見てカロリーや砂糖の少ない方を選ぶなど、できるところから工夫していく事が大切です。
野菜、きのこ、海藻類から先に食べる(ベジファースト)
食物繊維を豊富に含む野菜、きのこ、海藻類をはじめに摂取する事で満腹感を得られやすくなり、主食の食べる量を減らす事ができます。主食であるご飯などは、最後に食べるように心がけましょう。
活動量を増やす
1日の活動量を増やすことでカロリーを消費する事ができます。特に食後30分〜1時間後の運動は筋肉へのブドウ糖の取り込みを促進し、血糖値の急激な上昇を抑えます。また夜は活動量が減少し、カロリーの消費量が低下するため夜食などから炭水化物を多量に摂る事は控えましょう。
「炭水化物のカロリー」についてよくある質問

ここまで炭水化物のカロリーについて紹介しました。ここでは「炭水化物のカロリー」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
脂質と炭水化物はどちらが太りやすいでしょうか?
森 絵美子
冒頭の方で述べた通り、炭水化物(食物繊維を除く糖質)は1gあたりのカロリーは4kcalでした。それに比べて脂質は1gあたりのカロリーが9kcalと糖質の2倍以上です。しかしながら、炭水化物(糖質)は過剰に摂取すると体内で脂肪に変わり、体脂肪増加の原因となりやすいため、どちらも摂りすぎには注意が必要です。
ダイエット中にお米100gはカロリーが多すぎますか?
森 絵美子
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人の1日に必要なエネルギーのうち、50〜65%を炭水化物からとることが目標とされています。
炊いたお米100gには、約35gの糖質が含まれ、カロリーはおよそ140kcalです。例えば1日の必要エネルギーが1600kcalの場合、炭水化物から摂る目安は800〜1040kcalとなります。
お米100gを1日3回食べたとしても
140kcal × 3食 = 約420kcal
にしかなりませんので、一般的には「食べすぎ」とは言えません。
まずは自分に必要な1日の適正カロリーを知ることが大切です。目安としては、体重(kg)に25〜30をかけると、おおよその必要エネルギー量が求められます。
なお、糖尿病などで糖質制限が必要な場合や、主食量の調整が必要な方は、自己判断せず医師や管理栄養士に相談するようにしましょう。
まとめ
今回、炭水化物とは糖質と食物繊維の総称であること、糖質と食物繊維のそれぞれの違いや効果について説明してきました。カロリーが低いから良いという訳ではなく自分の必要な適正量を理解した上でバランス良く食べる事が重要です。これを機に、ご自身の炭水化物をはじめとした各栄養素の適正量を計算し、毎日の食事を意識的に摂取してみてはいかがでしょうか。
「炭水化物」と関連する病気
「炭水化物」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
「炭水化物」と関連する症状
「炭水化物」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 疲労感、だるさ
- 思考力、判断力の低下
- 筋肉量の減少




