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慢性腎臓病(CKD)の治療法を医師が解説 どのような薬を服用するのか

 公開日:2023/07/11
慢性腎臓病(CKD)の治療法を医師が解説 どのような薬を服用するのか

腎臓は全身の細胞の機能を正常に働かせる環境を作るために、いらないものを尿として排泄し、必要なものを再吸収して体内のバランスをとっています。しかし、腎機能が低下すると、むくみや血尿からはじまり、高カリウム血症や心不全を合併することもあります。このような異常が出る前に予防する上で最も重要なのは、「腎臓が悪くなる原因を取り除くこと」だと言います。そこで今回は、筑波大学附属病院腎臓内科の中島健太郎先生に慢性腎臓病(CKD)になったら、どのような治療を行うのか、お話しを伺いました。

中島 健太郎さん

著者
中島 健太郎(筑波大学附属病院 腎臓内科)

プロフィールをもっと見る
茨城出身。秋田大学医学部医学科を卒業。その後茨城県で初期研修を行い、筑波大学腎臓内科に入局。県内各地で腎臓内科としての鋭意修行中。
山縣 邦弘さん

共著者
山縣 邦弘(筑波大学 医学医療系腎臓内科学教授)

プロフィールをもっと見る
1984年筑波大学医学専門学群(現・医学群医学類)卒業、筑波大学附属病院内科医員、同講師を経て2001年米国オレゴン大学にResearch Associateとして留学。2004年筑波大学大学院人間総合科学研究科助教授、2006年より現職。日本腎臓学会理事、日本腎臓リハビリテーション学会理事長。

腎臓は一度悪くなると元に戻らないことが多い

腎臓は一度悪くなると元に戻らないことが多い

編集部編集部

悪くなった腎臓を元に戻すことはできるのですか?

中島 健太郎先生中島先生

腎臓の糸球体で炎症が起きる一部の疾患や、早期のたんぱく尿や血尿だけのときには、専門医が正確な診断をして適切な治療を行うことによって治癒する場合があります。しかしながら、糸球体は一度壊れてしまうと修復することはできません。

編集部編集部

一度悪くなった腎臓は良くならないのでしょうか?

中島 健太郎先生中島先生

はい。そのため「糸球体などの破壊が進まないようにすること」が治療の基本です。また、生活習慣病関連の慢性腎臓病においては、悪い生活習慣を改善することが腎障害の進行を抑制したり合併症を予防したりするのに最も有効であることがわかっています。

腎臓の悪化要因を取り除く治療法 基本は腎臓病の要因疾患を治療する

腎臓の悪化要因を取り除く治療法 基本は腎臓病の要因疾患を治療する

編集部編集部

腎臓の悪化要因を取り除く治療法にはなにがありますか?

中島 健太郎先生中島先生

慢性腎臓病における悪化要因は様々ですが、主に高血圧、高血糖、脂質異常、高尿酸血症、肥満、便秘などが挙げられます。

編集部編集部

高血圧の治療ではどのようなことをするのでしょうか?

中島 健太郎先生中島先生

高血圧の治療では、まず食事での塩分制限が重要となります。腎機能が低下すると、塩分排泄が不十分となって体内に蓄積しやすくなり、塩分が多いと体内へ水分をため込みやすくなります。これが血圧を上昇させることにもつながるため、塩分制限は腎機能低下を抑制し心臓への負荷を減らすことにつながります。

編集部編集部

塩分制限をしても血圧が下がらなかった場合はどうするのですか?

中島 健太郎先生中島先生

それで不十分な場合には、降圧薬と言った血圧を下げる薬剤を使用します。特にたんぱく尿がある場合には、たんぱく尿を減らす効果があるとされる「RAS阻害薬」と呼ばれる降圧薬がたんぱく尿を減らし、腎機能低下の抑制効果があるとされており、使用されることが多いですね。

編集部編集部

血圧が高いとどうして腎臓が悪くなるのでしょうか?

中島 健太郎先生中島先生

腎臓には糸球体という小さなろ装置がありますが、そこへの圧が高いとそれだけろ過装置に負担がかかってしまうからです。また、腎臓は多くの血管が集まった臓器で、高血圧が持続すると動脈硬化が進行し、腎臓の血流障害から腎機能の悪化を招きます。一部の糖尿病の薬剤なども、そうした圧を下げることで腎臓の保護効果があるとされ、最近使用されるようになりました。また、浮腫などで体内の水分が過剰と考えられる場合には、水分排泄を促すために利尿薬なども使用されます。高血糖、脂質異常、高尿酸血症、便秘に対しても異常がある場合には正常化するために生活、食事の改善を行い、それでも改善しない場合には、投薬によってコントロールします。

腎臓の働きを補助する薬の効果を解説

腎臓の働きを補助する薬の効果を解説

編集部編集部

腎臓の働きを助ける薬にはどのようなものがあるのですか?

中島 健太郎先生中島先生

本来、腎臓から排泄される物質が身体に溜まってしまう状態を改善するための薬、腎臓の出すホルモンを補充する薬、体液のバランスを調整する薬など様々です。たとえば身体の中の酸性・アルカリ性のバランス(酸塩基平衡)が崩れた場合には、重曹などのアルカリ剤を服用していただきます。これらの薬は検査結果に基づき、医師の指導通り服用することが極めて重要です。

編集部編集部

腎臓からの排泄を助ける薬にはどのようなものがありますか?

中島 健太郎先生中島先生

腎臓から排泄されるものとして重要なものにリンがあります。リンが過剰な状態を改善するには、食事でのリン摂取を減らすこと、リンの腸管での吸収を抑える薬を飲むといった方法があります。また、活性炭を加工した薬剤で腸管内での尿毒症毒素を取り除く薬剤があり、ある程度の腎機能悪化抑制効果が知られております。そのほか、血液中のカリウムが上昇して、食事のカリウム制限だけではコントロールできないときには、カリウム吸着薬が処方されます。

編集部編集部

リンは摂りすぎないようにすることも重要なのでしょうか?

中島 健太郎先生中島先生

はい。排泄も大切ですが、老廃物を身体のなかで作りにくくすること、身体の中に取り込まないこと、腎臓以外から捨てるようにすることなど様々な方法を駆使して調整しています。これは薬剤だけでなく、リンを摂り過ぎないように普段食べるものを工夫することも大切です。それでも不十分な場合には「リン吸着薬」を服用していただき、リンが腸で吸収されるのを防ぎます。

編集部編集部

腎臓からの排泄を補助する薬の服用するときの注意点はありますか?

中島 健太郎先生中島先生

尿からの排泄を腸管からの吸収抑制、排便による排泄で補助するような薬剤を服用するときには便秘等来さないように注意が必要です。また、電解質の中でも「カリウム」について腎からの排泄が低下し体内で過剰になった場合は危険な不整脈を引き起こすため注意が必要です。一方、カリウムは低値ではかえって腎機能を悪化させる危険性もあり、この手の薬剤の服用には血液検査の結果をもとに医師の指示に従うことが極めて重要です。

編集部編集部

腎臓の出すホルモンとはどのようなものでしょうか?

中島 健太郎先生中島先生

腎臓はエリスロポエチン(EPO)という、赤血球を作る指示をするホルモンを出しています。これまで腎臓病などでエリスロポエチンの産生量が少なくなった場合は、注射製剤で体内に直接エリスロポエチンを投与していましたが、最近では飲み薬で体内のエリスロポエチンの産生を促す薬もでてきています。このように腎臓が悪くなり体内で足りなくなったものは飲み薬で補ってあげることがある程度まではできます。また、ビタミンDについては活性化ビタミンDが薬としてありますので、必要に応じて服用していただきます。

編集部まとめ

慢性腎臓病の薬には様々なものがあり、特に腎臓の悪化因子の除去や体内バランスを調整するためには、薬より食事や生活習慣の改善が優先されることも少なくありません。その上で、コントロール出来ないものについて、医師の指示通りに薬を服用することが重要です。腎臓が悪くてその上、血圧、尿酸、血糖の薬と、どうしても薬剤の種類が増えてしまうこともありますが、それぞれの薬には目的があります。その点を含め十分理解していただき、食事、生活習慣の改善ともに、正しく薬を服用していくことが重要だとよくわかりました。

この記事の監修医師