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「もやしには何の栄養素」があるかご存知ですか?健康効果も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/11/13
「もやしには何の栄養素」があるかご存知ですか?健康効果も管理栄養士が解説!

もやしの栄養素とは?メディカルドック監修医が豆もやしの栄養素・もやしの健康効果・効率的な摂取方法・保存方法・摂取する際の注意点などを解説します。

越川 愛子

監修管理栄養士
越川 愛子(管理栄養士)

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保育園で食育や給食管理、栄養管理業務に従事しました。管理栄養士の資格取得後は、ドラッグストアを運営する会社でお客様への栄養相談や特定保健指導に携わりました。現在は保育園で子どもたちに食の楽しさや大切さを伝えられるよう、心を込めて給食づくりを行っています。

「もやし」とは?

「もやし」とは?

もやしとは植物名ではなく、豆類や穀類などの種子を水に浸し、暗所で発芽、伸長させたものの総称です。「もやし」という名前は、豆を発芽させることを意味する「萌やす」から「萌やし」、「もやし」となったそうです。 現在日本では、緑豆や大豆、ブラックマッペを種子とするもやしが、主に生産されています。 「緑豆もやし」は、国内生産の約9割を占めます。やや太めで、クセのない味です。名前の通り緑豆から作られます。 「大豆もやし(豆もやし)」は、大豆を発芽させて作ります。茎だけのもやしより、栄養価が高く、食べ応えがあります。 「ブラックマッペもやし」は、黒色のケツルアズキという豆が原料です。緑豆もやしより、やや細く、シャキシャキした食感が特徴です。

もやしに含まれる栄養素

もやしに含まれる栄養素

食物繊維

もやしにも食物繊維が含まれています。含有量は多くはありませんが、腸の健康を保つうえで役立つ成分です。 食物繊維はヒトの消化酵素で消化・吸収されずに大腸まで届く成分で、水に溶けて腸内をゆっくり移動する「水溶性食物繊維」と、水分を吸収して便のかさを増やし腸を刺激する「不溶性食物繊維」に大別されます。 もやしだけでは十分な量を摂りにくいため、海藻類、きのこ類、野菜などと組み合わせてバランスよく取り入れるとよいでしょう。

ビタミンC

もやしには、水溶性ビタミンの一つであるビタミンCが含まれています。ビタミンCは体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があります。コラーゲンの生成を助け、鉄の吸収を促進するほか、抗酸化作用によって細胞を酸化から守る働きがあります。 ただし、ビタミンCは水や熱に弱く、調理の過程で失われやすい栄養素です。ゆでる場合は短時間で加熱するか、電子レンジ調理や蒸し調理など、水に触れる時間を短くする方法がおすすめです。 不足するとコラーゲンの合成が妨げられ、血管や皮膚がもろくなり、壊血病などを引き起こすことがあります。

カルシウム

もやしには、カルシウムが含まれています。カルシウムは、生体内に最も多く存在するミネラルです。骨や歯の構成成分になるほか、生体膜の透過性の維持、血液凝固作用、神経・筋肉の機能維持、細胞内の情報伝達などに関与しています。

ビタミンB2

もやしには水溶性ビタミンのひとつである、ビタミンB2が含まれています。ビタミンB2は糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生に関与する酸化還元酵素の補酵素として働きます。皮膚や粘膜、髪、爪の細胞の再生にも関与しています。

アスパラギン酸

もやしには、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸が含まれています。アスパラギン酸は、エネルギー代謝や窒素代謝に関わる成分で、体内の代謝を助ける働きがあります。また、うま味成分の一つとして、もやしの風味にも関係しています。 一部では疲労回復への効果が期待されますが、食品として摂取した場合の明確な効果については、十分な科学的根拠はありません。栄養バランスのよい食事の中で、自然に取り入れるとよいでしょう。

豆もやしに含まれる栄養素

豆もやしに含まれる栄養素

たんぱく質

豆もやしには、たんぱく質が含まれています。野菜の中では比較的多い方ですが、主要なたんぱく源としては量が少ないため、肉、魚、卵、豆腐などと組み合わせて摂ることがおすすめです。 たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚、骨、毛髪など体のさまざまな組織をつくる重要な成分であり、ホルモンや酵素、抗体の材料にもなります。生命の維持と健康のために欠かせない栄養素です。

カリウム

豆もやしには、身体の機能を正常に保つために欠かせないカリウムが含まれています。神経間の信号伝達や筋肉の弛緩、収縮に関与しています。また細胞内液の浸透圧や水分の調節、酸・塩基均衡を維持する働きもあります。ナトリウムを排泄する作用があるため、高血圧予防に効果が期待できます。

ビタミンB1

豆もやしには水溶性ビタミンのひとつである、ビタミンB1が含まれています。ビタミンB1は、解糖系やクエン酸回路での糖質代謝に関与しています。エネルギー代謝の亢進時や、糖質を大量摂取した時には必要量が増加します。

葉酸

豆もやしには、ビタミンB群の一つである葉酸が含まれています。葉酸は、赤血球の形成を助け、DNAやRNAといった核酸の合成、アミノ酸の代謝に関わる重要な栄養素です。 妊娠期には胎児の発育に欠かせないビタミンとして特に重要ですが、豆もやしに含まれる量だけでは必要量を満たすことはできません。緑黄色野菜やレバーなど、葉酸を多く含む食品と組み合わせて摂取するとよいでしょう。

豆もやしには、微量ミネラルの一つである銅が含まれています。銅は、赤血球の形成や鉄の利用、エネルギー代謝に関与するほか、抗酸化酵素(スーパーオキシドディスムターゼ)の構成成分として、活性酸素の働きを抑える役割を持ちます。 通常の食生活では不足することはまれですが、極端に不足すると貧血などを起こすことがあります。バランスのとれた食事を心がけることが大切です。

もやしの健康効果

もやしの健康効果

便秘、大腸がん予防

もやしには、不溶性食物繊維が含まれています。不溶性食物繊維は水分を吸収して便のかさを増やし、腸の蠕動運動を促すことで排便をスムーズにします。これにより、便秘の予防に役立つとされています。 また、水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあります。こうした作用は、結果的に大腸の健康維持に寄与しますが、もやしだけで十分な食物繊維を摂ることは難しいため、野菜、きのこ、海藻類など他の食物繊維源と組み合わせてバランスよく摂取することが大切です。

高血圧予防

もやしには、ミネラルの一つであるカリウムが含まれています。カリウムには、腎臓でナトリウムの再吸収を抑えて、余分なナトリウムを尿として排出する働きがあり、塩分の摂りすぎによる高血圧やむくみの予防に役立つとされています。 ただし、もやしのカリウム量は特別多いわけではないため、野菜や果物、いも類などカリウムを多く含む食品と組み合わせて摂ることが大切です。あわせて、日頃から減塩を意識した食生活を心がけましょう。

疲労回復

もやしに含まれるアスパラギン酸は、体内でのエネルギー生成を促進する働きがあるため、疲労回復効果を持ちます。カリウムやマグネシウムなどのミネラルを細胞に運ぶ働きにより、エネルギーを効率よく産生することができるため、スタミナの向上効果も期待されています。

生活習慣病予防

もやしに含まれる水溶性食物繊維は、小腸での栄養素の吸収を緩やかにし、急激な血糖値の上昇を抑えます。コレステロールの吸収を阻害し、血清コレステロールを低下させる効果もあります。この効果により、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の予防に役立ちます。

免疫力向上

体内に侵入した、ウイルスや細菌といった病原体と戦う白血球やリンパ球は、多くのビタミンCを含んでいます。もやしに含まれるビタミンCは、この免疫細胞の働きを助け、病原体への抵抗力を高めます。 また免疫細胞が病原体と戦う際に、活性酸素が発生します。活性酸素は病原体を攻撃する一方で、過剰に発生すると正常な細胞まで傷つけてしまうことがあります。ビタミンCの強い抗酸化作用により、活性酸素の働きを抑え、免疫機能が正常に働く環境を維持します。

もやしの栄養素を効率的に摂取する方法

もやしの栄養素を効率的に摂取する方法

もやしと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

色々な食品と一緒に摂取することで、もやし単体では摂取しにくい栄養素を補ったり、含まれる栄養素の効果を高めることができます。 具体的には、豚肉と組み合わせ蒸し料理にすると、豚肉に豊富に含まれるビタミンB1と、もやしに含まれるアスパラギン酸により、疲労回復効果を高めることができます。加えて、もやし単体では不足しがちなたんぱく質を補うことができます。 鮭と組み合わせてホイル焼きや、ちゃんちゃん焼きにすると、鮭に含まれるビタミンDが、もやしに含まれるカルシウムの吸収を助け、骨の健康維持をサポートしてくれます。 ほうれん草やニラ、にんじんなどの緑黄色野菜と組み合わせ、和え物や炒め物にすると、もやしだけでは不足しがちなβカロテンを補うことができます。

もやしの栄養効果を高める摂取タイミング

もやしは3食のどの時間帯に摂取しても問題ありませんが、糖質が少なく、食物繊維が豊富なため、食事の最初に食べることで血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。 夜は活動量が少なく、エネルギー消費が少ないため、食事で摂ったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。もやしは低カロリーで満腹感を得られやすく、食べ過ぎ防止にもつながるため、ダイエット中や食べ過ぎてしまった日の夕食におすすめです。

もやしを食べる際の注意点

もやしを食べる際の注意点

新鮮なものを選ぶ

もやしは水分が多く、傷みやすい野菜です。新鮮なもやしは色が白く、ツヤ、ハリがあります。根やひげが茶色く変色していたり、袋の底に水分が溜まっているものは避けましょう。豆もやしの場合は、豆が黒ずんだり、開いていると鮮度が落ちている可能性があります。豆が淡黄色でプリっとしたものを選びましょう。

生食は避ける

もやしは、加熱調理することを前提に生産されています。いくら新鮮であっても、生食は食中毒を起こすリスクがあるので避けましょう。加熱することで、青臭さがなくなり、風味がよくなります。必ず火を通し、安全に、美味しくいただきましょう。

加熱しすぎない

もやしを調理する際には、加熱のしすぎに注意しましょう。長時間加熱すると水分が抜けて、もやし特有のシャキッとした食感が損なわれてしまいます。また茹ですぎると、ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性の栄養素が流れ出てしまう恐れがあります。茹でる場合は沸騰したお湯に入れたり、炒める場合は強火でさっと炒めるなど短時間で調理することで、栄養素の流出を防ぎ、食感もよく仕上がります。水を使わない電子レンジでの加熱もおすすめです。

もやしの保存方法や期間

もやしの保存方法や期間

もやしの鮮度を保つ保存方法

もやしの鮮度を保つには、温度管理が大切です。設定温度が高めの野菜室は避け、冷蔵室やチルド室で保存しましょう。袋のまま保存する場合は、爪楊枝などで数か所穴をあけて通気を良くすると、もやしの呼吸を助け、傷みにくくなります。 保存容器にもやしを入れ、全体が浸る程度に水を加えて空気に触れないようにして保存する方法もあります。この方法では鮮度を保ちやすい一方で、水溶性ビタミンなどが流出することがあるため、数日ごとに水を取り替えて早めに使い切りましょう。 もやしは冷凍保存も可能です。保存する際は、さっと下茹でして粗熱を取り、水気をしっかり拭き取ってから小分けにして冷凍します。未加熱のまま袋ごと冷凍するのは、品質や衛生面の観点からおすすめできません。冷凍したもやしは食感がやや柔らかくなりますが、味噌汁やスープ、炒め物など加熱料理に使うとおいしく食べられます。解凍後は再加熱してから使用するようにしましょう。

もやしの保存期間

保存方法によって日持ちの目安は異なります。袋のまま保存する場合は2〜3日程度、水に浸して保存する場合でも2〜3日を目安にし、毎日水を取り替えるようにしましょう。冷凍保存した場合は、約2週間を目安に使い切るのがおすすめです。 もやしは非常に傷みやすい野菜のため、できるだけ早めに使い切ることが大切です。調理前には、変色や異臭がないか、水が濁っていないかを確認し、少しでも傷みが見られる場合は使用を避けましょう。

「もやしの栄養」についてよくある質問

「もやしの栄養」についてよくある質問

ここまでもやしの栄養について紹介しました。ここでは「もやしの栄養」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

もやしのメリット・デメリットについて教えてください。

越川 愛子越川 愛子 医師

もやしのメリットは、年間を通じて安価であること、食物繊維やビタミン類が豊富であること、手軽に購入出来ること、簡単に調理できることです。カロリーが低く、料理のボリュームを出せるので、満足感を得ながら無理なく摂取エネルギーを抑えることができます。ダイエット中の食材としてもおすすめです。 デメリットは、日持ちしにくいことです。また水分が多く、他の食材と比べると栄養価が低い傾向にあります。もやしばかりを大量に食べると栄養素の偏りを招く恐れがあるため、色々な食品をバランスよく摂ることが大切です。食物繊維が多いので、摂りすぎると消化不良をおこす可能性があります。

まとめ

もやしは水分が多く、栄養素が少ないイメージを持つ人も少なくないかもしれませんが、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が含まれています。 クセがなく、どんな料理にも合わせやすいので、様々な料理に活用できます。食材の組み合わせを工夫することで、不足しがちな栄養素を補ったり、効率よく栄養素を摂り入れることができます。年間を通して価格が安く、安定して手に入るので、ぜひ日々の食事に積極的に取り入れましょう。 種類によって食感や味が異なるため、料理によって使いわけたり、もやしの魅力を楽しんでみるのもいいですね。

「もやし」と関連する病気

「もやし」と関連する病気は3個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

「もやし」と関連する症状

「もやし」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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