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ブロッコリーなどに含まれる「スルフォラファンの副作用」とは?管理栄養士が解説!

 公開日:2025/10/28
ブロッコリーなどに含まれる「スルフォラファンの副作用」とは?管理栄養士が解説!

スルフォラファンの副作用とは?メディカルドック監修医がスルフォラファンの一日の摂取量・効果・過剰摂取すると副作用・効率的な摂取方法などを解説します。

佐藤 直美

監修管理栄養士
佐藤 直美(管理栄養士)

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病院・老健・老人ホーム・障害者施設などで給食管理・調理・栄養管理・衛生管理などに携わってきました。
2015年管理栄養士免許取得。

「スルフォラファン」とは?

「スルフォラファン」とは?

スルフォラファンは、ブロッコリーやブロッコリースプラウトなどのアブラナ科の野菜に多く含まれる、辛味をもつ成分で、植物由来の機能性成分「フィトケミカル」の一種です。必須栄養素ではありませんが、免疫力の向上、抗酸化作用、解毒作用、抗炎症作用など、健康へのさまざまな効果が期待されています。 フィトケミカルとは、植物が紫外線や外敵から身を守るために作り出す、色素・香り・辛味・苦味などの成分の総称で、人の健康にも良い影響を与えるものとして注目されています。 スルフォラファンは、植物中では「グルコラファニン」という配糖体の形で存在しており、これが「ミロシナーゼ」という酵素の働きによって加水分解されることでスルフォラファンが生成されます。 なお、スルフォラファンは熱に弱いため、加熱しすぎるとミロシナーゼの酵素活性が失われ、スルフォラファンの生成が妨げられることがあります。その点、ブロッコリースプラウトはグルコラファニンとミロシナーゼの両方を豊富に含み、生のままでも食べられるため、効率的にスルフォラファンを摂取しやすい食品として注目されています。

スルフォラファンの一日の摂取量

スルフォラファンの一日の摂取量

日本人の食事摂取基準2025年版には、スルフォラファンの一日の摂取量の基準はなく、特に決まっていませんが、ブロッコリースプラウトであれば1週間に50gほどが目安とされています。 毎日こまめに食べてもいいですし、スルフォラファンの効果は3日間持続するので、2〜3日に一度食べると効果を持続できる可能性があります。 サプリメントなどを利用する場合は、メーカーが推奨する摂取量を守ることが大切です。

スルフォラファンの効果

スルフォラファンの効果

フィトケミカルの中でも、スルフォラファンの抗酸化作用、解毒作用はとても優秀です。これは、スルフォラファンが体内の酵素の生成を促す働きのおかげだと考えられています。

抗酸化

細胞レベルの研究で、体内で細胞を傷つけて劣化させる活性酸素を撃退する抗酸化酵素の生成を促進することがわかっています。また、スルフォラファンの抗酸化作用は持続性があるのも特徴で、抗酸化酵素の生成を促進し、活性を高め、120時間以上も効果が持続したという研究結果が報告されています。

解毒

ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンには、有害物質を排出させる解毒酵素を活性化させる働きが認められています。

血糖値の改善

スルフォラファンが、糖尿病を悪化させるタンパク質セレノプロテインPを減らすことを発見したという研究が発表されています。これにより、インスリン抵抗性が改善され、血糖コントロールの改善に繋がる可能性があるとされています。

抗糖化

体内でたんぱく質と糖が結びつくと、AGE(終末糖化産物)と呼ばれる物質が生成されます。AGEが蓄積すると、細胞機能の低下や老化を促進し、肌のしわやたるみ、内臓機能の低下、動脈硬化など、さまざまな健康リスクに関与することが示唆されています。また、AGEの蓄積はアルツハイマー病などの神経変性疾患との関連も報告されています。 ヒトを対象とした研究では、一日に25gのブロッコリースーパースプラウトを2か月間摂取したところ、血中のAGE濃度が有意に低下したという結果が示されています。こうしたことから、スルフォラファンの継続的な摂取が糖化対策の一助となる可能性があると考えられています。

スギ花粉の炎症緩和

スギ花粉によるくしゃみや目のかゆみなどのアレルギー反応は、IgEと呼ばれる抗体が原因です。スルフォラファンには、IgEの生成を抑制する作用が確認されています。つまり、スルフォラファンの摂取によってアレルギーを軽減する働きが期待できるのです。

スルフォラファンを過剰摂取すると現れる副作用

スルフォラファンを過剰摂取すると現れる副作用

消化器系の不調

過剰摂取により、お腹が張ったり、便秘になったり、下痢を引き起こすことがあります。 これらの副作用は一般的に軽度であり、摂取量を適切に調整することで回避可能です。 症状が悪化した場合、消化器系の病院を受診すると良いでしょう。サプリメントなどを利用しているときは、商品を持参すると良いでしょう。

肝臓への負担

過剰なスルフォラファンは肝臓で代謝されるため、肝臓に負担がかかる可能性があります。 症状の落ち着かせ方として、バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレスの軽減などが大切です。 症状が悪化した場合、内科や消化器内科を受診してください。必要に応じて、肝臓専門医を紹介されることもあります。

栄養バランスの乱れ

スルフォラファンは野菜に含まれる成分であり、通常の食品としての摂取で栄養バランスが崩れる可能性は低いと考えられています。しかし、サプリメントなどで偏って過剰に摂取した場合、日常的な食生活において他の栄養素の摂取が不足するなど、間接的に栄養バランスが乱れる恐れがあります。 対策としては、スルフォラファンだけに偏らず、さまざまな食品をバランスよく摂ることが重要です。万が一、体調に異変を感じた場合には、内科や消化器内科、または栄養相談外来で相談することをおすすめします。

甲状腺機能への影響

ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンは、グルコシノレートの一種であるスルフォラファングルコシノレートが体内で代謝されることで生成されます。これらのグルコシノレート由来の成分(特にイソチオシアネート類)は、ヨウ素が不足している状態で大量に摂取された場合、甲状腺ホルモンの合成を阻害する可能性があると報告されています。 そのため、甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病、甲状腺機能低下症など)を抱えている方や、ヨウ素摂取が不十分な方は、スルフォラファンを過剰に摂取しないよう注意が必要です。 万が一、甲状腺に関わる不調(疲労感、体重増加、寒がり、首の腫れなど)を感じた場合には、内分泌内科や耳鼻咽喉科(甲状腺外来)を受診することをおすすめします。甲状腺疾患は症状が重なりやすく、専門医による正確な診断が重要です。

薬の効用への影響

スルフォラファンが豊富な野菜(ブロッコリー・ブロッコリースプラウト・キャベツなど)は、ビタミンKも比較的豊富です。 抗血液凝固剤であるワーファリンを内服されている方が過剰摂取をすると、薬の効用が減少する可能性があります。

スルフォラファンを過剰摂取してはいけない人の特徴

スルフォラファンを過剰摂取してはいけない人の特徴

妊婦・授乳婦

スルフォラファンが胎児や乳児に与える影響については、まだ十分な研究がありません。そのため、妊娠中や授乳中の方は、摂取を控えるか、医師に相談してから摂取するようにしましょう。

特定の疾患をお持ちの方

スルフォラファンは、一部の疾患の治療薬と相互作用する可能性があります。例えば、血液凝固に関わる薬を服用している場合は、スルフォラファンの摂取により、出血のリスクを高める可能性があります。また、肝臓や腎臓に疾患がある場合も、スルフォラファンの代謝に影響があるため、注意が必要です。

消化器系の不調を抱えている方

スルフォラファンは、消化器系の不調を引き起こす可能性があります。特に、過剰に摂取すると、お腹の張りや便秘、下痢などの症状が出ることがあります。消化器系の不調を抱えている場合は、摂取量を控えめにし、様子を見ながら摂取するようにしましょう。

スルフォラファンの効果的な摂取方法

スルフォラファンの効果的な摂取方法

スルフォラファンを多く含む食品の摂取

スルフォラファンは、ブロッコリースプラウトやブロッコリーをはじめ、キャベツ、カリフラワー、ケール、芽キャベツ、菜の花などのアブラナ科の野菜に多く含まれています。これらの野菜を日常的に取り入れることで、スルフォラファンを自然に摂取することができます。 なお、農林水産省は2024年に、ブロッコリーを2026年度から「指定野菜」に追加する方針を発表しました。指定野菜とは、特に消費量が多く、国民生活にとって重要とされる野菜を国が定めたもので、価格安定などの政策の対象となります。ブロッコリーはその高い栄養価と調理のしやすさから、近年ますます需要が高まっている野菜のひとつです。

スルフォラファンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

スルフォラファンの働きをサポートする栄養素としては、ビタミンCやセレンが挙げられます。また、スルフォラファンの前駆体であるグルコラファニンは、ミロシナーゼという酵素と反応することでスルフォラファンに変化するため、この酵素を含む食品を一緒に摂ることも効果的です。 パプリカやレモンなどのビタミンCを多く含む食品は、抗酸化作用を高めるうえで役立ちます。 まぐろやイワシ、貝類にはセレンが豊富で、スルフォラファンと組み合わせることで体内の抗酸化酵素の活性をより高める可能性があると考えられています。 また、アボカドやオリーブオイルなどの良質な油と一緒に摂ることで、脂溶性の栄養素(例:ビタミンEなど)も補え、全体の健康効果が高まるとされていますが、スルフォラファン自体は水溶性であり、油による吸収促進効果については明確な根拠はありません。 スルフォラファンは熱に弱いため、ブロッコリースプラウトなどは生で食べるか、軽く加熱する程度に留めるのが望ましいとされています。よく噛んで食べたり、細かく刻んでスムージーやジュース、サラダにするなどの工夫で、吸収効率を高めることが期待できます。

スルフォラファンの効果を高める摂取タイミング

スルフォラファンの効果を高める摂取の時間帯は、特に決まっているわけではありません。 スルフォラファンは食品なので、飲むタイプや粉末タイプに関わらず、食前、食後、食間のいつ摂取しても問題ありません。 また、摂取を避ける時間帯も特にありません。スルフォラファンは基本的に安全な栄養素ですが、体質によっては合わない場合もあります。体調に異変を感じたら、摂取を控えるようにしましょう。

「スルフォラファンの副作用」についてよくある質問

「スルフォラファンの副作用」についてよくある質問

ここまでスルフォラファンの副作用について紹介しました。ここでは「スルフォラファンの副作用」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

スルフォラファンは脳にどんな効果がありますか?

佐藤 直美佐藤 直美

抗酸化作用による脳の保護、炎症の抑制、神経伝達物質の調整、記憶力や認知症の改善などが期待されています。

スルフォラファンは毎日摂取しても問題ないのでしょうか?

佐藤 直美佐藤 直美

スルフォラファンは毎日摂取しても基本的に問題ありません。ただし、過剰摂取には注意が必要です。妊娠中や授乳中の方、特定の疾患をお持ちの方、また、消化器系の不調がある場合は、摂取量に気を付ける必要があります。

まとめ

スルフォラファンは一般的に副作用が少ないとされていますが、過剰摂取により、お腹の張りや便秘、下痢などの消化器系の不調を引き起こす可能性があります。また、妊娠中や授乳中の方、特定の疾患を持つ方は、摂取前に医師に相談することが推奨されています。 スルフォラファンは、ブロッコリーやブロッコリースプラウトなどに含まれる成分で、抗酸化作用や解毒作用、抗炎症作用などが期待されています。しかし、過剰摂取は体に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。サプリメントなどを利用する場合は、メーカーが推奨する摂取量を守ることが大切です。

「スルフォラファン」と関連する病気

「スルフォラファン」と関連する病気は11個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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「スルフォラファン」と関連する症状

「スルフォラファン」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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この記事の監修管理栄養士