「鉄分サプリ」は効果が出るまでどれくらいかかる？女性におすすめの鉄分サプリも解説！

「鉄分」とは？

鉄は、体内に約3g含まれる無機質（ミネラル）のひとつで、必須微量ミネラルに分類されます。無機質とは、カルシウムや鉄、亜鉛など、体の構成成分や機能の維持に必要な栄養素の総称です。 体内の鉄は機能鉄と貯蔵鉄に分類されます。機能鉄は赤血球の血色色素であるヘモグロビンとして全身に酸素を運んでいます。 腸管から吸収された鉄はフェリチンとして貯蔵されます。この貯蔵鉄は必要に応じ鉄を血液中に供給します。 鉄には肉や魚介類などから摂取するへム鉄と、卵や乳製品、野菜類などから摂取する非へム鉄の2種類があります。 鉄は小腸で吸収されますが、へム鉄はたんぱく質にくるまれており吸収されやすい形になってます。一方、非へム鉄は吸収率が低く、摂取量が多すぎると消化管に負担がかかることがあります。しかし、一緒に食べたものに影響されるためビタミンCや動物性たんぱく質などにより吸収が促進されます。

鉄分の一日の摂取量

区分	年齢・条件	推奨量（mg/日）
男性	1～17歳	4.0～9.5
	18～74歳	7.0～7.5
	75歳以上	6.0
女性	1～9歳	4.0～8.0
	10～64歳（月経なし）	6.0～9.0
	10～64歳（月経あり）	10.0～12.5
	65歳以上	5.5～6.0
妊婦（付加量）	初期	+2.5
	中期・後期	+8.5
授乳婦（付加量）	―	+2.0

鉄分サプリの効果

鉄不足の予防

体内の鉄が不足すると貧血になります。貧血の度合いが進むと体は酸欠状態となり、めまいや動悸などの症状をひきおこします。 鉄欠乏性貧血は、鉄の供給不足(鉄の吸収障害や摂取不足)、鉄の需要拡大(妊娠・授乳・成長・発育期)、鉄の損失増大(月経・子宮筋腫・消化管出血)によっておこります。

運動機能低下の抑制

鉄が不足すると、筋肉にまで酸素が十分に運ばれず、運動機能が低下します。 適度な運動は内臓機能を回復させ、鉄の吸収を高めます。鉄分サプリメントと適度な運動をすることで運動機能の低下を防ぐことが期待できます。

認知機能低下の予防

鉄は血液中のヘモグロビンの材料として必要な栄養素です。ヘモグロビンはへム(鉄)とグロビン(たんぱく質)が結びついたものです。鉄を摂取することでヘモグロビンの量が維持され、脳をはじめとする全身の細胞へ酸素も行き渡り認知機能の低下を防ぐことが期待できます。

骨強度低下の予防

骨は、有機成分（主にたんぱく質からなるコラーゲン）と、無機成分（主にカルシウムやリン）から構成されています。これらの成分が不足すると骨密度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなります。 鉄は、赤血球中のヘモグロビンをつくるだけでなく、骨形成にも関わっていることがわかってきています。鉄が不足するとコラーゲン合成がうまくいかず、骨の質が低下する可能性があるほか、骨芽細胞（骨をつくる細胞）の働きにも悪影響を及ぼすとされます。そのため、鉄分を適切に補うことは骨の健康維持にも重要です。 なお、カルシウムは鉄の吸収を妨げる作用があるため、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや、鉄の吸収を促進するビタミンCをあわせて摂取することで、栄養素を効率よく体内に取り入れることができます。

肌や爪・髪の健康

肌や爪・髪はコラーゲンによって潤いを保持し、健康に保たれています。 たんぱく質からコラーゲンを生成するには十分な酸素とビタミンC、そして鉄が必要です。さらに爪は細胞の増殖が盛んに行われるため、鉄分も多く必要になります。

鉄分サプリの副作用となる症状

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

胃腸障害

非へム鉄のサプリメントは腸管から吸収されにくく、さらに空腹時に摂ると胃腸障害をおこすことがあります。ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂取することで吸収率があがるため、鉄分サプリメントだけに頼ることなく食生活を見直し、うまく活用しましょう。

免疫力の低下

鉄は摂りすぎると細胞を酸化させるので免疫力の低下につながります。健康な体は余分な鉄を細胞に取り込まないようにしますが、肝臓や腎臓の機能が低下している人は鉄が蓄積されやすく細胞に障害を与え、病気のリスクを高めてしまいます。

便秘・下痢

鉄は胃や腸の細胞を酸化させるため、鉄サプリメントを摂取することで、便秘や下痢をおこすこともあります。症状が続く場合には一度摂取を中止し医師に相談しましょう。

鉄分サプリの選び方

鉄の種類

鉄分サプリメントには、吸収されやすいヘム鉄と、吸収率はやや劣るものの加工によって改良された非ヘム鉄（ピロリン酸第二鉄やクエン酸鉄など）の2種類があります。ヘム鉄は副作用が少ない一方、動物由来のため風味や食習慣によっては摂りにくいこともあります。非ヘム鉄は植物性由来で風味も抑えられていますが、胃腸に刺激を与えることがあります。 最近では、吸収率が高く胃腸障害も少ないとされるフェリチン由来の鉄サプリにも注目が集まっています（※研究段階のため、使用には注意が必要です）。

鉄の含有量

鉄の許容上限量は設定されていませんが、鉄の過剰摂取により健康な人でも臓器の細胞内や皮膚に沈着することがあり、鉄分サプリメントには鉄含有量の多いものがありますので摂取する際は気をつけましょう。

栄養素の配合

鉄分サプリメントには鉄以外にビタミンCや葉酸など他の栄養素が配合されているものもあります。 サプリメントの原材料に何が入っているのか確認し、アレルギーのある方は必ずアレルギー物質が入っていないことを確認しましょう。

鉄分サプリの効果が出るまでどれくらいかかる？

鉄の含有量や摂取回数、健康状態にもよりますが、鉄分サプリメントの効果がでるまでは数ヵ月程度かかります。空腹時に飲んでしまうと胃腸に負担がかかってしまうため食後をおすすめします。 健康な方でも長期にわたり鉄分サプリメントを摂取することで臓器に蓄積され病気のリスクを高める可能性があるため、摂取期間については注意が必要です。

妊娠中に鉄分サプリを服用してもいい？

妊娠中の鉄分サプリメントの使用については、個人の健康状態や食事状況により異なるため、医師と相談の上で使用しましょう。妊娠中には悪阻で食事ができないという方もいると思います。その際は不足分を補う目的でサプリメントを上手に活用すると良いでしょう。特に妊娠中は医師の指示のもと摂取することが大切になります。

女性におすすめの鉄分サプリとは？

鉄分サプリメントにはへム鉄と非へム鉄の2種類のサプリメントがあります。 吸収されやすいへム鉄のサプリメントがおすすめですが、非へム鉄のサプリメントのなかには一緒に摂ることで吸収されやすくなるビタミンCが配合されているものがあります。 ビタミンCは強い抗酸化作用をもち、ホルモンの合成促進やメラニン色素の沈着を防いだり女性には嬉しい働きがたくさんあります。

鉄分サプリの服用に向いている人

スポーツ選手

体を激しく動かすスポーツ選手は大量の発汗により鉄が失われ、筋肉の増量によってたくさんの酸素が必要になります。そのため鉄不足になりやすいです。

月経のある女性

女性は月経から鉄が失われるため鉄不足になりやすいです。鉄不足から鉄欠乏性貧血になりやすいため、注意が必要です。

妊婦・授乳婦

妊娠中は胎児への栄養補給に鉄を必要とします。妊娠中期・後期には妊娠していない人に比べ倍近い鉄が必要になります。食事からの摂取が理想ですが、体調が悪く摂取できない場合には医師に相談の上、サプリメント摂取を検討しましょう。

鉄分サプリを服用する際の注意点

海外から購入

海外事業者が製造・販売する鉄サプリメントは過剰症のおそれがあります。 日本人の推奨量を大きく越える量の鉄を含む場合があり鉄過剰症や肝機能障害の危険があります。吸収されやすい状態の鉄が簡単に個人輸入できるため注意が必要です。

長期にわたり摂取

健康な人であっても長期にわたり鉄分サプリメントを摂取した場合、臓器への鉄蓄積を介して健康障害をおこす可能性があります。

阻害因子

非へム鉄の吸収を妨げるものとしてタンニン・カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶等)、フィチン酸(穀物の外皮、玄米等)、食物繊維(大豆、海草等)、シュウ酸(ほうれん草、煎茶等)があります。