「ビタミンBは何を予防する効果」があるかご存じですか?管理栄養士が徹底解説!

ビタミンBの効果とは?メディカルドック監修医がビタミンBの効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
神尾 澄恵(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「ビタミンB」とは?

ビタミンBは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類からなるビタミンの総称で、「ビタミンB群」と呼ばれることもあります。水溶性ビタミンの一種です。主にエネルギーの代謝をたすける補酵素として、また糖質や脂質、タンパク質の分解に関わっています。
ビタミンBの一日の摂取量

日本人の食事摂取基準では下記のように摂取の目安が記載されています。
30歳から49歳の値を参照
ビタミンB1 男性:0.8~1.2㎎/日 女性:0.6~0.9㎎/日
ビタミンB2 男性:1.4~1.7㎎/日 女性:1.0~1.2㎎/日
ビタミンB6 男性:1.2~1.5㎎/日 女性:1.0~1.2㎎/日
ビタミンB12 男性:4.0µg/日 女性:4.0µg/日
ナイアシン 男性:13~16mgNE/日 女性:10~12mgNE/日
パントテン酸 男性:6㎎/日 女性:5㎎/日
葉酸 男性:200~240µg/日 女性:200~240µg/日
ビオチン 男性:50µg/日 女性:50µg/日
妊婦さん、授乳婦の方は、必要なエネルギー量が増えますので、それに伴ってビタミンB類も増えてきます。
ビタミンBの効果

代謝がよくなる
ビタミンB1は、糖質代謝などの補酵素として働き、エネルギー産生に深く関わっています。ビタミンB1は、空腸と回腸で吸収されます。糖質が分解されブドウ糖になり、ブドウ糖がピルビン酸という物質になるまでの過程を解糖系といいます。エネルギーを産生します。ピルビン酸はさらにアセチルCoAという物質になり、クエン酸回路に入って酸素を使って代謝されます。ビタミンB1は、ピルビン酸からアセチルCoAに変わる際に必要となります。
美肌効果
ビタミンB2は、糖質、脂質、タンパク質のエネルギー代謝や脂質代謝の補酵素として働いています。皮膚や粘膜の健康維持にも関わっているビタミンです。肌の生まれ変わり(ターンオーバー)をスムーズにしてくれる働きがあります。
不調を改善
ビタミンB6は体内でタンパク質、脂質、糖質の代謝に関わるほか、赤血球やヘモグロビンの合成、皮膚や粘膜を健やかに保つ働きをしています。
肌トラブルの改善、つわり症状の緩和、PMS症状の緩和、脂肪肝予防にも効果があります。筋肉をつけてダイエットしたい方にもおすすめの栄養素です。
貧血予防
ビタミンB12はタンパク質と結合していて、タンパク質や核酸の生合成、アミノ酸の代謝に関与しています。また、血液を作る赤血球の成熟に関与して、葉酸と共に骨髄で正常な赤血球を作ります。
胎児の発育
葉酸はビタミンB12とともに、赤血球の生産を助ける働きをしています。DNAやRNAなど細胞の再生を助けることから、体の代謝にも重要なビタミンです。葉酸は細胞の分裂や熟成を左右するため、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクを減らすことができます。
ビタミンBが不足すると現れる症状

疲れやすくなる
ビタミンB1が不足すると、糖質をエネルギーに変換しにくくなります。よって食欲不振、疲労、だるさなどの症状があらわれる可能性があります。重篤な場合には中枢神経が侵される障害がおこることもあります。
口腔トラブル
ビタミンB2やB6は、体の免疫力をサポートし、代謝をサポートしており、口内の粘膜を健やかに保つ働きがあります。口の中も肌のターンオーバーと同じです。不足すると粘膜を保護・修復する機能が働かず、小さな傷が治らずに広がり、口内炎になることもあります。1〜2週間程度で治らないときは受診をおすすめします。
肌荒れ
ビタミンB2やB6は、脂質の代謝に関わる栄養素であり、皮膚、爪、毛の発育にも関与しています。不足すると、皮脂分泌の盛んな部位(頭皮や顔面など)に発生しやすい慢性炎症性疾患である脂漏性皮膚炎が悪化することがあります。脂漏性皮膚炎では、皮脂が多い部位に赤みやかゆみ、フケなどの症状がみられることもあります。
貧血
葉酸やビタミンB12は全身に酸素を運ぶ「赤血球」の産生や神経の働きに関与します。そのため、不足すると巨赤芽球性貧血や動脈硬化が進行しやすくなります。進行すると、歩行障害や精神障害などの症状が現れます。血液検査で物質の測定をすることで診断します。
脚気
ビタミンB1が不足すると末梢神経の障害と心不全によるむくみを起こします。初期には食欲不振があり、他に全身がだるく倦怠感が現れます。ビタミンB1不足と糖質過剰が重なることで、脚気リスクが高まります。
ビタミンBが不足しやすい人の特徴

糖質を多く摂りすぎる
ビタミンB1、B2、ナイアシンは糖質の代謝に関与します。体の中に入ってきた糖質をブドウ糖へ分解し、エネルギーに変換するには多くの過程があります。その過程で多くのビタミンBを消費します。そのため、糖質を多く摂取する方は不足傾向になりがちです。
お酒を多く飲む
アルコールを分解するには、ビタミンB1を多く使います。そのため、アルコールを大量に摂取する人は、ビタミンB1が不足しやすくなります。
過度なダイエット
食事制限により、摂取量が減ってしまうと必要なビタミンが不足して、代謝がうまくできず、かえって太りやすい体質になり、リバウンドの原因になってしまいます。ビタミンBは代謝に関わる栄養素です。無理な食事制限は控えて、バランスの良い食事を摂取することが大切です。
ビタミンBを過剰摂取すると現れる症状

ビタミンB1
過剰摂取による重大な健康被害の報告はありません。ビタミンB1を大量に摂取した結果、2週間半で、頭痛、いらだち、不眠、速脈、衰弱、刺激性、かゆみが発生した事例がありますが、中止したところ2日で症状が消失したため、摂りすぎを示唆する耐容上限量は設定されませんでした。
ビタミンB2
ビタミンB2が可食部100gあたり1mgを超える食品は、肝臓以外では存在しません。そのため、通常の食品では、過剰摂取による健康障害が発現したという報告はありません。また、ビタミンB2は大量に摂取しても体内への吸収量は最大で約27mgとされていて、一度にたくさん摂取する意味は少ないようです。
ビタミンB12
ビタミンB12は、大量に摂取しても体内に吸収されにくいです。通常の食品を摂取している人では、胃から分泌される因子によって小腸からの吸収量が調節されていると考えられます。
ビタミンB6
大量のビタミンB6を摂取したことにより、感覚性ニューロパシーという健康被害が観察されました。神経症状で、障害される神経により手足のしびれ、歩行困難、感覚障害、異常知覚が生じる病気です。これを防ぐため、ビタミンB6には耐容上限量が設定されています。通常の食品を摂取している場合に健康被害が発現した報告はないため、サプリメントで摂取する場合には用量を守って摂取することが重要です。
葉酸
通常の食事では過剰摂取による健康障害の被害はみられません。一方で、サプリメントや葉酸が強化された食品から摂取された葉酸に限り、耐容上限量が定められています。悪性貧血(巨赤芽球性貧血の一種)患者の方が多量に摂取すると神経障害が起きるという症例報告があります。そのため、サプリメントを使用する際には用量を守る必要があります。
ビタミンBを多く含む食品

ビタミンB1
<可食部100gあたりの含有量>
・豚ひれ赤身肉…1.32mg
・うなぎ(かば焼き)…0.75mg
・えだまめ(ゆで)…0.24mg
・だいず乾燥・国産…0.71mg
・オレンジ・バレンシア…0.10mg
ビタミンB2
<可食部100gあたりの含有量>
・豚・肝臓…3.60mg
・うなぎ(かば焼き)…0.74mg
・糸引き納豆…0.30mg
・豆苗…0.27mg
・アボカド…0.20mg
ビタミンB6
<可食部100gあたりの含有量>
・若鶏むね肉・皮なし(焼き)…0.66mg
・みなみまぐろ赤身…1.08mg
・バナナ…0.38mg
・玄米(めし)…0.21mg
・さつまいも(焼き)…0.33mg
ビタミンB12
<可食部100gあたりの含有量>
・さんま(焼き)…16.0μg
・かつお・秋獲り…8.6μg
・きはだまぐろ…5.8μg
・カキ・養殖…23.0μg
・牛・肝臓…52.0μg
葉酸
<可食部100gあたりの含有量>
・えだまめ(ゆで)…260µg
・ほうれん草(油炒め)…140µg
・だいず乾燥・国産…260µg
・卵黄…150µg
・玉露(浸出液)…150µg
ビタミンBの効果的な摂取方法

ビタミンBを多く含む食品の摂取
ビタミンBが豊富に含まれている食品は、レバー、豚肉、うなぎ、大豆、卵黄などに多く含まれています。野菜類ではほうれん草、えだまめに多く含まれています。
ビタミンBと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
ビタミンB2とB6は、糖質、脂質、タンパク質の代謝を助ける栄養素です。そのため、ビタミンB2、B6を多く含む食品を同時に摂取すると効率よく取り込みやすくなります。例えば、ご飯を玄米に変更する、カツオの刺身、ほうれん草のお浸し、豆苗と卵のスープなど、定食タイプの主食、主菜、副菜がそろった食事であれば、まんべんなく食材を取り入れられると思います。
ビタミンBの効果を高める摂取タイミング
水溶性ビタミンは水に溶けやすく、脂溶性ビタミンと比較して尿中へ排泄されやすいです。そのため、定期的に摂取することが大切です。アルコールを大量に摂取するとビタミンが失われます。飲酒のときは効果は少なくなる可能性が考えられます。
ビタミンBは初めに述べたように、水に溶けやすい栄養素なので、汁物や煮込み料理すると損失が少なくなります。
「ビタミンBの効果」についてよくある質問

ここまでビタミンBの効果を紹介しました。ここでは「ビタミンBの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ビタミンB6が一番多く含まれている食べ物について教えてください。
神尾 澄恵
ビタミンB6が多く含まれている食品は、みなみまぐろ100g中1.08mgです。夏が旬の魚です。養殖のみなみまぐろは安定した入荷があり、一年中入手することができます。刺身、寿司、漬け丼、カマ焼き、フライなどさまざまな調理法で食べることができます。
ビタミンB6は美容に効果的なのでしょうか?
神尾 澄恵
ビタミンB6が多く含まれている食品は、みなみまぐろ100g中1.08mgです。夏が旬の魚です。養殖のみなみまぐろは安定した入荷があり、一年中入手することができます。刺身、寿司、漬け丼、カマ焼き、フライなどさまざまな調理法で食べることができます。
まとめ
ビタミンBは8種類あります。それぞれ細かな働きは異なりますが、栄養素の代謝に関わります。不足すると肌や口腔のトラブルが起きやすいです。水溶性ビタミンですので、1度にたくさん摂取するのではなく、3食の食事でこまめに摂取することをおすすめします。
過剰摂取については、通常の食事からでは健康被害の報告はありませんが、サプリメントを摂取するときは用量を守って摂取しましょう。
「ビタミンB」と関連する病気
「ビタミンB」と関連する病気は5個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
- 貧血
- 肥満
- 疲労
「ビタミンB」と関連する症状
「ビタミンB」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 肌荒れ
- 疲れやすい
- しびれる(神経症状)




