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ステロイド軟膏の副作用にまつわるウソ・ホント 使用時の注意点を薬剤師が解説

 更新日:2023/06/16
ステロイド軟膏の副作用にまつわるウソ・ホントを薬剤師が解説 使用時の注意点は?

ステロイドと聞いて、まだまだ「怖いもの」「たくさん使ってはいけない」「長く続けてはいけない」「使いだすとやめられない」と思っている方は多くいらっしゃると思います。しかし、これらの情報は誤りで、ステロイド軟膏は、正しく使用すれば効果が高く、重篤な副作用が起こることはほとんどありません。今回は、ステロイドにまつわる真実や正しい使い方について、薬剤師の川村さんにお話しを伺いました。

川村 文栄

監修薬剤師
川村 文栄(薬剤師)

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総合大学薬学部薬学科卒業後、大手製薬メーカーにて医薬品申請業務に従事。ブランクを経て再就職。公立病院・調剤薬局にて勤務。各診療科の処方箋を応需、管理業務も経験。現在も調剤薬局に在籍しながら、医療ライターとして活動中。

ステロイド軟膏の成分・効果について解説 強さの分類がある?

ステロイド軟膏の成分・効果について解説 強さの分類がある?

編集部編集部

ステロイド軟膏の効果にはどのようなものがありますか?

川村 文栄さん川村さん

強力な抗炎症作用、簡単に言うと炎症をおさえる効果が一番大きいですね。湿疹やアトピー性皮膚炎などで炎症が起こると、かゆみやカサカサ、ジュクジュク、赤みといった症状が表れます。ステロイド軟膏はこの炎症を鎮める効果がとても強い薬になります。ほかにも免疫抑制作用や細胞増殖抑制作用、血管収縮作用などがあります。

編集部編集部

ステロイド軟膏の成分について教えてください。

川村 文栄さん川村さん

合成副腎皮質ホルモンです。もともと副腎という臓器で作られる副腎皮質ホルモンに強い抗炎症作用があることがわかっており、これを化学的に合成し、炎症をおさえる薬として販売されたものですね。

編集部編集部

ステロイド軟膏に強い弱いなどの種類はありますか?

川村 文栄さん川村さん

病院で処方されるステロイド軟膏は5段階の強さ(ランク)に分けられます。効果が高い順に「strongest」「very strong」「strong」「medium」「weak」と呼ばれており、軽い症状や皮膚が未発達の乳幼児、皮膚の薄いところ、毛穴の多いところには弱いものを、症状が強いところや皮膚の厚いところ、吸収しにくいところには強めのものをといった具合に、症状の強さ、使用する部位、年齢などで使い分けられます。また、種類としては軟膏・クリーム・液体などがあって、感触や季節、使う部分などで使いわけます。軟膏はべたつくことがありますが、刺激は少ない薬になっており、クリームの方が皮膚への吸収はいいとされています。

ステロイド軟膏の副作用まとめ 実際に起こる副作用と誤解されている情報を紹介

ステロイド軟膏の副作用まとめ 実際に起こる副作用と誤解されている情報を紹介

編集部編集部

ステロイド軟膏で実際に起こる副作用はどのようなものか教えてください。

川村 文栄さん川村さん

ステロイド軟膏を使用して起こる副作用は、下記になります。

皮膚が薄くなる
毛細血管が目立ってくる
皮膚が赤くなる・かぶれる
にきびやおできができやすくなる
皮膚感染症がおこりやすくなる
塗った部分に毛が生える

どれも皮膚に限った副作用で、全身に起こる強い副作用はほとんどありません。

編集部編集部

ステロイド軟膏を使うと体の中に蓄積したりしますか? 骨が弱くなったり糖尿病になったり、やめられなくなったりすると聞いたことがあります。

川村 文栄さん川村さん

軟膏の場合は起こりません。ステロイド内服薬や注射薬を大量に長く使った場合は、骨が弱くなったり血糖値が高くなったりする副作用がみられることはありますが、軟膏を使った場合は、皮膚から吸収される量が少ないため、このような強い副作用は起こりません。やめられなくなると感じるのは、しっかり治る前に使うのを止めてしまい、症状がぶり返してしまうからですね。

編集部編集部

ステロイド軟膏を塗り続けると皮膚が黒くなることはありますか?

川村 文栄さん川村さん

ステロイド軟膏を塗り続けたことで、皮膚が黒くなることはないと言われています。黒くなるのはアトピー性皮膚炎の症状が長く続いていることによるものが大きいと考えられています。逆に、ステロイド軟膏をしっかり使い続け、アトピー性皮膚炎を早く治すことで皮膚が黒くなるのを防ぐことができます。

ステロイド軟膏の正しい使い方・注意点は? 副作用が出にくくなるコツはある?

ステロイド軟膏の正しい使い方・注意点は? 副作用が出にくくなるコツはある?

編集部編集部

ステロイド軟膏の正しい使い方を教えてください。

川村 文栄さん川村さん

回数や時間、塗る量、塗る場所は用法・用量に記載されている通りに使ってください。基本的に1回5g、手の指の第一関節の長さ分が、大体両手のひら分に塗る量です。少なく使わず十分な量を使ってください。強く塗りこまず、優しく伸ばすように塗りましょう。

編集部編集部

ステロイド軟膏を使う際の注意点はありますか?

川村 文栄さん川村さん

効果が出たら治るまでしっかり使いましょう。1週間ほどたっても改善しない場合や悪化する場合は、医師や薬剤師にご相談ください。

編集部編集部

副作用が出にくくなるコツはありますか?

川村 文栄さん川村さん

用法・用量通りに使ってください。恐がらずに使用する量は守ってください。できれば治ったと感じても、回数を減らしてしばらく使うことで、症状がぶり返すことがなくなります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

川村 文栄さん川村さん

ステロイド軟膏は安全性・効果が高い薬になっています。ステロイド軟膏に限らず、お薬には副作用があります。使い方を間違ったり、怖がって早めに治療をやめたりすることで、かえって治りが遅くなったり、皮膚状態が悪くなったり、副作用が出たりします。症状があるときはしっかり用法・用量を守って治療しましょう。そのためのお手伝いを私たち薬剤師がしますので、ご相談ください。

編集部まとめ

ステロイド軟膏は、アトピーなどの皮膚の炎症を鎮める効果の高い、良いお薬であることがわかりました。副作用も皮膚に限定されたもので、症状・頻度も低いものです。ステロイド軟膏の副作用をより少なく、効果をより高くするために、用法用量を守り、正しく使用するようにしましょう。

この記事の監修薬剤師